( 冬季限定 )





自分から行動を起こすのは得意ではないが、堪え性のあるほうでもなかった。差し込んだ舌先で甘い味を感じるより先に、壁に押し付けた肩がおどろきで強張る感触を意識する。思い切りよく噛み付いてしまったので無理もない。首を傾けて、行き場を失っている舌を舌先で辿りながら、ようやく溶け残ったチョコレートとナッツの香りを味わった。…甘い。挑発やおふざけの類をいちいち間に受けて先走っては怒られている、が、そんなのは挑発するほうがわるいのだと最近では開き直っている。案の定、非難するように二の腕に爪を立てられて、俺は渋々唇を離した。……おまえさあ……。至近距離で向けられるジト目にももう慣れたものである。俺は返事をせずにもう一度目の前の唇を舐めた。宥めるように押し付けた肩を撫で下ろすと、開き直った口がひらいて彼方から噛み付いてくる。その頃には俺はもうチョコレートの味など忘れていた。当然の結果だと思っている。あとになって、美味しかった? と問われて、おまえが? と返したのだが、死ねと言われた。ふざけたつもりは毛頭ないので釈然としない。



おわり



メルティーキッス(やかましいわ)
バレンタインのついログ掘ったので移殖

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