修正不可能なズレ 酷い倦怠感が体を支配する。 彼女のそれは性欲処理には酷く都合のいいもので、需要と供給のバランスがいやによかった。 甘えたようにすり寄ってくる彼女を無視してさっさと服を整えて帰りたい。彼女はまだ情事の痕跡の残る様子で裸のまま抱きついてくる。 使ったゴムをキツく縛って投げ捨てた。 「えへへ、安藤くん好きだよ、大好き、愛してる」 「ああそう」 「ナマでしてくれてよかったのに。安藤くんを体いっぱいで感じさせてくれてよかったのに。安藤くんとの赤ちゃんをいっぱいいっぱい愛してあげるのに。ふふ、潔癖症だよね」 黙れ、クソビッチのくせに。 見苦しい体を見ないように彼女に毛布を投げた。なにを勘違いしたのか、一瞬固まってから喜んでいたけれど。 舌打ちをして目を瞑った。 「君はこんなことをして楽しいのかい?」 「え?」 あまりに唐突な僕の質問に、彼女は目をしばたかせてから満面の笑みを浮かべて言った。 「そんなの、当たり前でしょう?」 ╋╋╋ (幸せだよ?) 2012.08.12 back |