節穴だらけ 「あははは、安藤くん大好きだよ」 「そうかい」 今日も彼女は憎々しい笑いを僕にだけ向ける。 そんな汚れた表情で何を掴もうというのだろうか。 愛。幸福。僕、と僕の笑顔と僕との毎日。それから僕の好意。 自惚れているわけじゃない、確かに彼女はそれをねだって毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日飽き飽きするほどに接触してくる。 クラスメートの誰かが言っていた。 彼女は天使だと。 それに対してまた誰かが言った。 いや、彼女は太陽だと。希望だと。 ふざけていると思った。 こんなに毒を撒き散らす天使がいてたまるか。真っ暗な太陽があってたまるか。 希望があるとしたら、それはパンドラの箱の、底にこびりついたちっぽけなものだ。 近付く意図は無くとも勝手に土足で近付いてきて、僕の領域を荒らしていく。 翼は溶かさなくともむしりとられ、手足をもがれ鎖で繋がれる。 そんな奴が天使で、太陽で、希望だなんて。 大概君達も見る目がないね。 ╋╋╋ (イカロスの翼) 2012.08.10 back |