すきなわけじゃなかったの 死んだような目で無為に毎日を過ごす君に、惹かれていた。 私は、初めて恋をした。 「安藤くん」 「……なんだい?」 「オトモダチになっていい?」 「お断りするよ」 出席番号7番の彼は、私に初めて嫌悪感を送った人だった。 生意気な彼は私以外のクラスメートには寛容で、なのに皆から嫌われていた。 私はクラスメートにキツくあたっているのに好かれているのにね。 そんな不可思議で理解不能な彼に近付いていたのは、ただの興味本意だったのに。 彼にだけ笑ってみせたら他のやつらみたいに簡単に揺らぐかな、とか。 好きって言ったら笑ってくれるかな、とか。 仮初めであっても彼を愛してみたら堕ちるかな、とか。 「仕方がないから安藤くんをアイシテアゲルよ」 「そう。それはどうも」 本当に好きになるなんて、思いもしないじゃない? それでも表情を変えない彼に、滅茶苦茶に愛を注いでみたかったなのに。 なんでこっちをみてくれないのかな、あんどうくん! ╋╋╋ (君を愛してみたいと思った) 2012.07.10 back |