Lightnin' Bar Blues


※SR進:「経験と順応」ネタ





「救世主きた―――!」
「なんかレイから連絡あって来たんだけど……」

“このままじゃ魚介専門バーになっちまう、助けてくれー!”という文面がLINEで送られてきたのだ。レイのバイト先であるバーに急いでやってきたものの……男4人がカウンター席の中央に集まって暗い雰囲気で料理を囲んでいる。まるで状況が読めない。何に一体困っているのか。


「……で、一体どういう状況なの?」

4人に問いかけると、レイが堰を切ったように話し始めた。店長が用事で他のアルバイトもタイミング悪くて来れなくて、今日の営業が難しい状況でどうしても営業して欲しいと店長から頼まれたこと、急遽OSIRISのメンバーを集めて手伝ってもらうことになったことを聞いた。

「なんとか今日を上手く乗り切ればいいんだ!頼む!手伝ってくれ!」
「私はエデンのスタッフであってOSIRISのメンバーじゃないけど」
「エデンの顧客のピンチだろ!それになまえは進の彼女だからOSIRISの一員みたいなもんだろ!」
「もうなんか理論が滅茶苦茶ですね」

真琴のツッコミが冴えている。確かに真琴の言う通りだ。……でも確かにOSIRISはエデンにとっても私個人にとっても大切な存在だし、進の力になりたいとは思う。

「それで、進に厨房任せたら魚料理しか出なくてな……」
「進に任せたらそうなるのは目に見えてるでしょーが」
「何気に失礼だな、なまえ」

進はフォローしてくれよと言わんばかりになまえを見やる。それに対して、バランスが偏ってる上に、進は肉料理ほとんどできねーんだ…としょぼくれるレイ。付き合い始めてから何度かごちそうになったけど、進の手料理はとてもおいしい。確かに魚料理限定でだけど。

「もう魚介専門でいいじゃない、進の手料理おいしいし」
「バーというよりはちょっと居酒屋っぽいですけど」
「そこで女性の意見ももらおうってなってな……悪いな、なまえ」

申し訳なさそうに進は儚げに笑う。なんとかして彼の力になりたいと思う。なまえは別にいいわよそれくらいと進の肩を叩いた。


「あと、おいしい肉料理も食べたい……」

小声で呟いた京の悲痛な要望になまえは全てを理解した。つまりは、肉料理を作れと。

「進の魚料理みたいなとびきりおいしいのは作れないけど……」
「普通のおいしさでいいから!」
「人気料理店の話はもう諦めたの?」
「肉もあった方が絶対人気でるって!」
「まあ肉も扱っている方が客層が広く掴めるので異論はありませんが…」

……ということで、肉料理を2、3品作ってみることとなった。ステーキとピカタと…蒸し鶏でいいかな。素材は牛も豚も鶏もあるし。進にカルパッチョを作ってもらっている間になまえは手際よく進める。



「はい、できた」

数十分後、できたての肉料理が皿に盛られてカウンターに並ぶ。それを見て男4人は感嘆の声をあげた。

「おおおー!」
「うまそうな匂いだな」
「じゃあ、味見してみて。はい」

ステーキを一切れ切って進の口に運ぶ。ん、と差し出された肉片を進は口に含んだ。何度か咀嚼した後、進の顔が綻ぶ。

「……お、うまいな!」
「そう、良かった」
「やっぱなまえの肉料理ならすごくうまく感じるんだよな」
「ありがとう。うれしい」

良かった。魚派の進もおいしいと言ってくれるならいけるだろう。…それに、やっぱり好きな人に褒めてもらえるとうれしい。「他のも味見させてくれ」というので、ピカタも一切れ切って食べてもらう。


「……そういうことはよそでやってくれませんか」
「「え、普通だろ(でしょ)」」

コホンと咳払いしながら真琴は言った。レイはいつものことだと思っているのか何も言わない。息ぴったりで熟年夫婦のようだ……と京はひそかに思った。

うーん…つい進や自分の家で普段しているみたいにしたのがダメだったろうか。思い当たる原因についてなまえは頭を悩ませた。そんななまえをよそに、レイは彼女の作った料理を味見する。

「うまい、まあこれでなんとかなりそうだな!」

開店の看板かけてくるわーとレイは看板を店の外へと持って行く。京は客寄せをしに、やれやれなんとかなりそうだと真琴もため息をつきながら外の空気を吸いにレイに続いた。厨房担当2人だけが残る。


「……店、なんとかなりそうだな」
「そうだね。…でも今日のお客さんは進の手料理食べられるなんて妬けちゃうな」
「また作ってやるよ。……今度はお前のためだけに」

かわいいこと言うなあ、なんて言って進はなまえの頭を撫でながら笑った。




タイトルはHanoi Rocksの曲名から。もしかしたらカバー曲かも…。SR進のストーリーを読んで思いついて突発的に書いたもので、OSIRIS夢になった感が否めませんすみません…。
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