【リーマスと推理小説】 12話後



彼は天才だよ。

ううん、書いたドイルが天才なんじゃなくて、紙面の中で生きているホームズ自身が天才なんだ。ドイルは…強いて言うなら鬼才かな。だってそうだろう?彼の生み出したシャーロック・ホームズは、もはや彼の手中を飛び出して勝手に動き回っているんだからね。何十年も経った今も尚。これって物凄いことだと思わない?ナマエの国では、1000年も前の物語が今尚人気を博しているらしいけど、ホームズシリーズだって、きっと1000年経っても色褪せないと思うね。間違いなく。そりゃあさ、彼は麻薬中毒だし、人間として良くない部分はたくさんあるよ?おいおいドイル、何もそこまで書かなくたって…ってシーンだって。シャーロッキアンの中には、そんなホームズの一面から目を背ける者もいる。だけど、それじゃあ僕はファンとは言えないんじゃないかなー、と思うね。そんな完璧じゃない部分も含めて、ウィリアム・シャーロック・ホームズという人物なんだから。彼の冷徹さや真実を追い求める鋭い姿勢、洞察力、思慮深さ、どれを取っても、これはホームズ、と言わざるを得ないんだ。それ以外の何者でもない。これはイギリスが世界に誇れることだと思うよ。マイクロフトの社会的地位からもうかがえるけど、イギリス独特の文化とか美学って言うのかな、そういうのが淡々と全く違った視点から見えてくる。ナマエがこれでイギリスを知ったのなら、それは僕らに取って喜ばしいことだ。もちろん、マグルの話だけど。あぁ、君に聞かれる前に答えるけど、イギリスの魔法界にはまともなミステリ作家がいない。みんなふざけた内容ばっかりなんだ。どうしてなんだろうね?これは研究に値すると思う。今度ナマエと議論しなくっちゃいけないなぁ。あ、話がそれたね。どこまで話したっけ?あぁそうだ。それでホームズは…、え?男色家かどうかって?ううん、これは難しいけど…そう読み解く人が多いのは確かだね。ワトソンが結婚してベイカー街の家出てすぐにビリーという少年を雇ったりしているしね…。でもあくまで憶測の域を出ないから、そんなことはどうでも良いことだと思う。君の注意はそんな所にしか向かないのかい?いくらホームズが女嫌いで有名だったとしたって、誰しもが君のように女好きってわけでもないんだから。あぁ、ごめんごめん。今はナマエ好き、だったね。悪かった訂正するよ。続けて良い?うん。僕が一番好きな話は【瀕死の探偵】かな。とっても短い話なんだけど、でも彼の天才っぷりが存分に凝縮した話だと思うね。ワトソンと信頼関係も浮き彫りになる良い話だ。あぁ、なんかジェームズがお好きとかぶってる?あれ?時間軸可笑しい?あれはまだ管理人アップしてないんだっけ?ごめんごめん。いいや、シリウス、大人の事情だよ。こっちの話。今のは忘れてくれる?うん、ありがとう。ってさぁ、僕なんかだんだん面倒臭くなってきちゃったよ。いくらシリウスの為だからってさ、「さっきナマエと何話してたんだ?一字一句教えてくれ!」って無理があるよ。君にはディープすぎてついて来れない世界なんだ。悪いけど、彼女のホームズ話に付き合えるのはホグワーツの中じゃ僕だけだと思う。だってナマエってば日本のミステリ作家をバンバン引用して議論を叩き込んでくるからね。僕イギリス人なんですけど、って話だよね。でも江戸川乱歩やら横溝正史やらは散々読まされたからさ、嫌でも盛り上がってしまうわけなんだよ。もうしょうがない。ミステリ好きなんだから、不可抗力。だからさ、何を話したかなんて一々覚えてないんだ。とりあえずナマエから色々借りて読んでみたら?彼女の翻訳の魔法は超一流だよ。なんたって僕が散々「日本に良いミステリがあるはずない」って貶したら、翌日に目を真っ赤に充血させて【成吉思汗の秘密】の英語版を僕に差し出してきたんだ。しかも、わざわざイギリスの作家にバリバリ影響を受けた作品を持ってくるところあたりが、ナマエらしいというか何と言うか。意地っ張りだよね。うん、僕も可愛いと思うよ。作品の感想は、まぁ悪くは無い。でもやっぱり…っていうのが正直なところかな。でも頭ごなしに貶そうとは思わなくなる程度には良い作品だった。読み応えもあったし、何より個性的というか独創的だったのがね。とにかく、何が言いたいかっていうと、ここで僕なんかに探りを入れてる暇があったら、ナマエに言って本を借りて読め!ってことだよ。実を言うと、僕、さっきナマエに言い負けてかなり機嫌が悪いんだ。論破出来なかったのが悔しくて悔しくて。だから部屋に閉じこもってもう一度緋色の研究を解釈し直さないといけないわけ。なのに貴重な時間を君に割いた理由、君なら分かるよね?シリウス。君の痘痕面をホグワーツ中に晒したら、きっと良いストレス解消に…。あっ、ちょっと待ってよ。シリウス!


「あーあ、逃げられちゃった。」

リーマス・J・ルーピンは今日も絶好調!


End?

back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -