Cendrillon | ナノ


▼ ∴02


「菫、遅いな」

 伊達が時計を見つめる。菫より後に出たにもかかわらず、酒を購入した伊達の方が一足早く帰宅していた。

「菫の事だから、店員に声を掛けられずに店でウロウロしてそうだな……」
「もう罰ゲームとしては充分じゃないか? 菫ちゃんを迎えに行っても良いだろ?」
「だが、出掛けについてくるなと言っていたし、僕達が顔を出したら怒りそうだぞ?」
「そこはもう甘んじて受け入れるしかないんじゃないか?」

 幼馴染組が画策している横で、松田も片割れに再び文句を言う。

「これも萩原が余計な事を言うからだ。反省しろ」
「陣平ちゃん、俺も今回は反省してるってばぁ〜。もう責任とって、お迎えついでに菫ちゃんに怒られてくる……」

 ソワソワと落ち着かない男達を代表して萩原が迎えに行くと名乗り出たところで、玄関の扉の開く音がした。

「ただ今戻りました〜。遅くなってすみません!」
「んん?」

 思っていたよりも明るい声で帰宅した菫に違和感を覚えない者はいなかった。持ち帰る物が物だけに、菫ならばひっそりと戻って来るのではないかと誰もが思っていたからだ。
 そして菫はリビングに入るなり、笑顔で言った。

「店員さんお勧めっていうのを借りました! 皆で見ましょう!」
「は……? 菫?」
「菫ちゃんどうしたの?!」

 予想外すぎる菫の言葉に、まず幼馴染二人が顔色を変える。慌てる零と景光を気にも留めず、菫はリビングに設置されているテレビに近寄るとDVDの機器を起動させ始めた。

「羞恥心が限界突破したか、菫……」
「いや、いくらなんでも菫らしくないだろ? なんかワクワクしてるっぽいぞ?」
「景気づけにお酒でも飲んだの? 菫ちゃん酔っ払ってる?」

 松田、伊達、萩原は驚きはあるものの訝し気に首を捻る。以前酒に飲まれ醜態を見せてからというもの、菫は零たちに禁酒を言い渡されていた。本日も一滴だって口にしていない。しかし罰ゲームを遂行するために酒で勢いをつけた可能性が萩原の頭をよぎる。ただそれは菫によって否定された。

「酔ってませんよ! それよりすっごく可愛いんですからね!」
「か、可愛い?」
「そう! 零くん、きっと皆も気に入る筈!」
「気に入る?! 皆もって、菫ちゃんも!?」

 零も景光も菫の発言が信じられず驚愕の表情を浮かべていた。二人は普段の冷静さをかなぐり捨てたようにしどろもどろで菫の周りでオロオロとしている。

「店内のテレビで少しだけ映像を流してたの!」
「店内で流れてたの?! それを菫ちゃん見たのー?!」

 店頭で販促用の映像が流れていたと言う菫に、景光はもはや悲鳴のような声をあげている。もちろん他の男達も混乱していた。

「どうしよう陣平ちゃん、中身を見た上で可愛いって……。菫ちゃん、まさか女の子が好きってオチはないよね?」
「その前に、あの菫だぞ? AV見てこの反応はねーだろ」

 幼馴染の二人ほどの衝撃はないようで、萩原と松田はコソコソと菫の言動を分析する。さらに伊達が冷静に最もな指摘をした。

「そもそも販促とはいえAVを店で流すかぁ?」

 その答えは菫の借りて来たDVDを見ればすぐに解決した。


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「あ、うん。確かに可愛いね……」

 と、景光。

「紛う事なくAVではある」

 と、伊達。

「店内で流すには問題ないな。だが菫、驚かすな……はぁ〜」

 と、零。

「つーか紛らわしい! 焦ったわ!」

 と、松田。

 男達は皆疲れたように息をついたり、こめかみを押さえたりとしていたが、菫は全くそれを一顧だにもしない。テレビ画面の映像に目を奪われ、菫は顔を蕩けさせていた。

「あぁ、可愛い……。一度でいいから、抱っこしてみたい」

 ファンシーな音楽と共に動物の声が聞こえてくる。テレビに映し出される映像に、萩原は微妙に納得がいかないと言いたげに叫ぶ。

「AVはAVでもアニマルビデオ!」

 テレビの中ではコロコロと仔犬と仔猫が団子になって遊んでいた。動物の赤ちゃんの映像を集めたDVDである。

「AVならコレが一番! って勧められました!」

 店員曰く、店をあげて猛プッシュしている作品なのだそうだ。しかもポップを設置し店頭で一部映像を流すなどして、ちょうど明日から本格的にレンタル促進をする準備中のところに菫は出くわしたらしい。午前中に同店に訪れていた五人には全く知りようがない話であった。

「健全なAVだね〜。……でもそうだよね。菫ちゃんがこんな楽しげにAVなんて借りてくる筈がなかった」

 萩原が肩を落とし、菫ちゃんが恥ずかしそうに帰って来るところが見たかった……というサドっ気を内心に隠しつつ呟く。だがそれに続いた菫の言葉はその場にいる全員の度肝を抜いた。

「あ、私、お題はクリアしましたよ? ちゃんとしたAVも借りてきてます!」
「え?! 本当に〜?! 菫ちゃん、18禁のカーテンの奥まで入っちゃったの?」
「いえ! そこまでは!」

 萩原の問いに菫はブンブン首を振った。カーテン奥は未踏破らしい。
 菫はレンタルバッグからもう一枚DVDを取り出し、少し照れた様子で早口に言った。

「あのこれ、店員さんが一部の男性に根強い人気があるってお勧めしてたやつです。ちょうど返却されたばかりのがレジにあったので、そのまま借りてきました! ただ、女の子には刺激が強いから彼氏にだけ見せてって……」
「はぁ?」
「菫ちゃん、彼氏って何?」

 ドスのきいた零の声のあとに景光が目を細めて低い声で聞き返すと、菫はあっさりとレンタル店でのやり取りを説明する。

「なんだか、彼氏に罰ゲームか何かで、エッチなDVDを借りてくるように言われた彼女だって思われたみたい?」
「この場合、彼氏がハギになるんだが?」
「わ〜俺、暫定彼氏〜?」
「おめーは調子に乗るんじゃねぇ!」
「でもその勘違いのおかげで必要以上に恥ずかしくなかったから、個人的には助かった感じで……」

 零の不機嫌そうな指摘や萩原と松田の掛け合いに菫は宥めるように口ごもる。菫は恥を忍んで店員に萩原の命令通り、お勧めのAVを尋ねている。だがそれも女性店員だったため出来た事だ。これが男性店員であったなら、菫はまだしばらく店内で右往左往していただろう。
 そして真っ赤な顔でそんな事を聞いてきた菫に、店員は訳知り顔で同情してきたという。そんな男は反撃しないとつけあがる、と。

「恥ずかしがる彼女にAVを借りさせて、彼氏がニヤケて見てるってパターンが結構あるみたいですね?」
「あー、確かに俺も店員だったら、若い女がそんな物を借りに来たらカップルとかの罰ゲームかなんかだなって思うわ」

 どうやら似たようなゲームをしているカップルに、その店員は何回か遭遇しているらしい。伊達もそんな情景が容易に想像できたようで納得顔だ。菫も言い訳するのも何なので誤解は解かずにきたらしいが、それに眉を顰めた者が何人かいた。

「なんか腹立つわ」
「同感」
「ハギめ、諸悪の根源のくせに……」

 松田と景光、零があえて菫には聞こえないようにしていたため、菫は気にせず言葉を続けた。

「それでですね。このDVD、絶対に彼氏さんに見せて感想を聞かせて〜って言われました。続編を発注するかの参考にしたいそうです。という事で、あとで皆で見てください」
「エ゛ッ?! マジで言ってるの? 菫ちゃん?」

 菫は一番近くにいた萩原にそのDVDを押し付ける。さすがにAVを見ろと言われて、このメンバーの中で最もこの手の話題に耐性がありそうな萩原も驚きを隠せなかった。

「はい、お願いできませんか? 面白くて親切な店員さんだったんです。照れてる私にすごく気を使ってくださったんですよ? 可愛いアニマルビデオも教えてくれましたし、だからお礼がてらに店員さんの要望に応えたいなぁーって……」

 菫は、出来れば自分がいなくなったあとに見て、朝にでも感想を教えてほしい、と事もなげに言う。またアニマルビデオを期限一杯見たいので、自分が返却しに行く時に感想も伝えるとも言った。

「店員さん、来週の同じ曜日に出勤なんですって。その時に皆の感想伝えます!」
「え〜……」
「それに! 私だって恥を忍んで借りてきたんです。見もしないなんて報われません! 皆も責任もって見てください!」
「雁首揃えてこんなの見ろってのかよ。萩原だけでいいだろ」
「え!? やだ! 俺、王様だったのにぃ〜」
「そのあたりはお任せします。この際誰か一人でも良いので、あとで感想教えてくださいね? あ、あとは返却時にカードは必要ないので、レンタルカードは研二さんにお返ししますね」

 やり返せたのが嬉しいのか、少し楽しげに菫は預かっていたカードを持ち主の萩原へと手渡そうした。すると萩原がそれを受け取り、引っ込められようとしていた菫の腕を掴みながら悪い笑みを浮かべ言った。

「そうだ! ね、どうせだし菫ちゃんも一緒に見ようか?」
「え……えっ!?」

 萩原の悪戯っぽい声音の問い掛けに菫は瞬きを繰り返すが、その意味を理解して一瞬で顔を赤らめる。

「あ、あの! それは、あのっ……!」
「は〜ぎ〜わ〜らっ!! ふざけんな!」
「またかハギ! 菫をからかうな!」
「二度目はないって言ったよな?!」
「学習してくれ、萩原……」

 同じ轍を踏み抜いた萩原は、他のメンバーに次々と拳をお見舞いされるのだった。


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 その後、もう私寝ます! と菫が寝室にそそくさと引き上げると、零たちは顔を見合わせ取りあえず件のDVDを見る事にした。去り際の菫に感想は聞かせて欲しいと念を押され、断る暇もなかったのである。
 零たちは嫌々それを見る羽目になり、テンションもかなり低い。正直、菫が一つ屋根の下にいてのDVD鑑賞など不本意であった。

「女一人の状況で男にAV見るように勧めるって、菫はアホか」
「諸々の危険性を微塵も感じてないな、あれ」
「男の生態とか生理現象ってものをあまり理解してないっぽいね〜……」
「菫がそんなの知っていたら、それはそれで複雑だ」
「まぁ、そこは突き詰めても不毛だし、仕方ないから菫ちゃんからのノルマをクリアしよう……」

 渋々ではあるが男達はDVDを再生させる。何故か店員と仲良くなってしまった菫の事だ。自分達が感想を言わなければ、菫は店員の期待に応えるため律儀に自身でDVDを見るだろうと思われた。男の欲望の権化である生々しい物を菫に見せるのはかなり躊躇われる。だが、かといって自分達が見るのも何か違うような気がしてならない。

「何が悲しくて、女の家でAV見なきゃなんねーんだ……。クソ萩原死ね」
「陣平ちゃんひどい!」

 萩原が文句を言うが、納得がいかない様子の松田のぼやきはその場にいる者全ての代弁であった。また、伊達がテーブルの上に置きっぱなしの物を見て提案する。

「真面目に見るのもなんだし、カードでもするか?」
「「「「異議なし」」」」

 そして、気乗りしないまま視聴をするついでに、零たちは再びトランプに手を出し始める。この状況を許容していないという全員一致の見解により、カード遊戯の片手間に見るともなしにDVDは流しておく事にした。

 五人は感想を聞かれたら答えられる程度にテレビを気を掛けながら、比較的大人しく遊んでいた。しかしこのレンタルショップ店員お勧めの作品は、実は五人の想像を超える代物であった。

 まず気付いたのは伊達だ。

「……おい、なんか……これ違くないか?」
「あ? 違う? 何がだよ?」

 経験値がそれなりにある面々なためか、虚構の映像にさほど心惹かれずゲームの方に熱中してしまっていた。しばらく放置していた物語は何やら途中から先が読めなくなっている。
 映し出されている登場人物の様子がおかしい事に気付いた彼らは手を止め、訝しげにテレビに目を向ける。

 登場人物は一人の女性と二人の男性。ストーリーに重きを置いているのか、濡れ場は思いの外少なく、ここまで淡々と話は進んでいた。この三人で繰り広げられるありきたりな展開の話だろうと、五人はなんの疑いもなく眺めていたのだが、突然事態は急変する。

 AVの要であろう女優がフェードアウトしてしまい、物語は二人の男優の独断場となったのだ。そこまでは良かった。しかしすぐさま映し出された決定的なシーンに、リビングの男五人の背中に悪寒が走った。


「「「「「!!」」」」」


 男性同士のキスシーンが大画面に映し出されたのだ。声にならない悲鳴があがる。

 そのあとは、消せ! リモコンどこだ?! 静かにしろ、菫が起きる! 早く止めろ! リモコンが反応しねぇ!? とリビングは一時バタバタと騒がしくなり、阿鼻叫喚と化した。

「男のラブシーンなんて興味ないよっ?!」

 焦った男達はなかなか映像を止められない。男優二人の濡れ場に突入しそうな辺りで、ひぃっ!! と先程より恐怖交じりな声がそこかしこからあがる。

「電源を落とせ!」

 そしてそこでようやくテレビ本体の電気の供給を絶つ事に気付いたという有様であった。

 恐慌状態に陥りながらもコンセントを抜き、何とかテレビが沈黙すると零たちは一拍後、口々にわめき出す。

「お、恐ろしいものを見てしまった! 男の絡みは無理! 同性愛は否定しないけど、俺ふわふわの女の子が好きだし! 背筋がゾワゾワするぅ〜」
「当たり障りのないタイトルで中身が想像できんかったが、こういう内容だったとはなぁ……。俺もナタリーがいるから、こういうのは無理だわ」
「女性を巡った三角関係の体を取ったストーリーかと思いきや。俺だってノーマルだよ、無理……」
「本当に直前まで気付かなかったな。まさかこう来るとは。僕だって無理だ……」
「これ、どう考えても店員の罠じゃねーか! 俺だって無理に決まってんだろっ!」

 皆息切れしながら、たった今見た内容を忘れようと努めていたところで、萩原がハッと気づく。

「あ〜!! そういえば俺のレンタル履歴が汚された?! ゲイビの履歴なんて嫌だ―! 消してほしいんだけど!」
「因果応報だな、ハギ。たぶん店員からの天誅だ」
「自業自得だろーが。むしろテメーのせいで俺達も巻き込まれたんだがな!」
「身から出た錆だよ、萩原。そしてそっちのけのない人間には、キツイ映像だった……」
「悪事身に返るだなー。取りあえず俺はナタリーには同じ過ちを犯さないと心に決めた。ついでにお前らも恋人が出来たとしてAVなんて借りさせるなよ」

 伊達のコメントに皆、異論も唱えず頷く。そして言葉少なに、それぞれが宛がわれた部屋へと全員ブルブルと震えながら引き上げるのだった。


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 翌朝。さわやかな朝日の差し込むリビングで、起き出してきた男達に菫が含みもなく、どうでした? と尋ねる。
 すると、男五人は揃って頭を下げて謝罪した。

「「「「「すみませんでした!」」」」」
「え? あれ、感想……?」

 正直、この女性関係を卒なくこなしそうな五人ならば、さらりと照れなどなく所感を述べるだろうと思っていた菫は予想外な対応をされ戸惑った。またその直後、萩原が本気で泣きの入った声で菫に抱きつく。

「菫ちゃ〜ん! すっごく怖かったよ〜!」
「お前が原因だろうが!」
「何でそこで抱きつくかな?!」

 それはすぐさま幼馴染たちがベリッと乱暴に引き離す。また、調子乗んな! と松田にも叩かれていた。
 いつも飄々としている研二からの怖いという言葉に、一瞬腕に囲まれたのも忘れて菫は首を傾げた。

「こ、怖かった? 研二さん、ホラー交じりだったんですか?」
「ホラーと言えばホラーだった。とりあえず、DVDを見た男が平身低頭謝っていたと、その店員に伝えれば相手には通じる」

 萩原に鉄槌を下した後、無我の境地のような表情で零は言った。恐怖映画である事を否定しない。

「そ、そうなの、零くん……」
「そうなの。間違っても菫ちゃんは中身見ないでね? あれ絶対女の子は見ちゃいけないやつ」

 かなり心配そうに菫へ注意を促す景光は青褪めていた。

「見ちゃいけないって……? ヒロくん、もしかしてグロテスクなやつだった?」
「Gと言えばそうだな。グロ以外に別の意味のGもあるが……」

 遠い目の松田の発言の真意は菫には分からなかった。だが他の四人には通じている。

「別の意味のG……? え、ゴキ……? んぅ? 商業物で流石にそれはないですよね。えーと陣平さん、どういう意味です?」
「そこは知らん方がいい。知らない方が幸せだ」

 追及してくれるなと伊達は達観した表情だ。五人の様子を見ればだいぶショッキングなものだったらしいと否応なく菫にも理解でき、申し訳なさが芽生えてきた。

「伊達さんがそこまで言うんですか……。なんだかごめんなさい。とんでもない物を見せちゃったみたいで……」
「あんな命令した萩原が100%悪い。気にすんな」
「まぁ、これでハギも懲りただろ」
「これで学習していなかったら、もう救えない」
「イヤ! 俺もこれは二度と経験したくないよ! むしろ忘れたいのに脳裏に刻まれた!」
「ま、あれだ。今回は連帯責任だ。菫のせいじゃねーから、松田も言ったがあんま気にすんな」

 そう言って代表で伊達が菫を慰めてはくれたものの、せっかくの休日に訪れた幼馴染たちは疲れの色濃く警察学校へと帰っていくのであった。

 ちなみに後日、レンタルショップにDVDの返却へ行った菫が零の言った通り説明すると、例の店員はあっさりまろやかにDVDの内容をバラしてきた。五人が黙っていた甲斐なく、菫は事の次第を把握してしまう。

(あー、そんなの見ちゃったんだ……)

 菫にも同性愛を主題とした読み物――主に過去に読んだ女性向けのソフトなBL小説――だが、知識が一応ある。
 五人が落ち込んでいた理由を知り、免疫のない人間には衝撃的かもしれない……と菫は申し訳なくなった。

(でもこの程度なら隠さなくても良いような? 皆私に気を使い過ぎだよね。見たい訳じゃないけど、こういう話だったよって教えてくれてもいいのに。だけど男女間ではこんな話は避けるべき? そういうのってやっぱり、同性同士のみでするものかなぁ……親しき仲にも礼儀あり? これは違う?)

 自分だって猥談くらいは出来ると思う……と菫は自負しているが、実際のところそんな話で盛り上がれる性質ではないと理解されているため、菫へそういった話を振るには相当な勇気が必要であった。菫自身も上手い返しが出来るとは思っていないので、居心地も悪くなるか……と、あまり手を付けない方がいい話題ではあると結論付ける。
 結局、五人が自分に知られないようひた隠しにしていた事もあり、菫も自分が知ってしまった事は伝えないのだった。またその後菫はレンタル店の常連になったが、萩原のレンタルカードはそれ以降使用される事がなく、有効期限が切れた後、会員権も失効したらしい。



同性愛を差別する意図はありません。AV(アダルトビデオ)は和製英語らしいですね。分かる方にはアニマルだときっとバレてた。

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