Cendrillon | ナノ


▼ *November7
菫さんは爆弾事件には縁があるので、最後もやっぱり巻き込まれる。


「もー、学校に爆弾5個って、犯人はバカなの?」
「そりゃバカだろ」

 萩原と松田は11月の肌寒い空の下、紫煙を吐き出しながら、どこか気が抜けたように取り留めのない会話を交わしていた。

 東都タワーでの爆弾騒ぎは、ちょうどエレベーターに閉じ込められた高木という伊達が過去に教育係で世話をした刑事と、何故か小学生の子供の手によって事なきを得た。当初はこの二人が犠牲になってしまうかと思われ、関係者の間で重い空気が流れるも、寸前で爆弾は解除される。さらにこの刑事と少年はもう一つの爆弾の在処の答えを携えて帰還していた。

「今回こそ捕まるといいねー」
「そうだな」

 そして、この二人に爆弾解体の手解きを間接的にしていた萩原と松田は、先ほどまさに帝丹高校に仕掛けられていた爆弾を解体し終えたばかりでもあった。あとは警官総出で犯人を見つけるという仕事だけが残っていたが、今回に関しては萩原と松田はここでお役御免だ。
 だが、二人が高校の駐車場の片隅でタバコを片手に駄弁り、空に消えていく煙を見送りながら一息をついているところへ連絡が入った。萩原と松田は同時に届いたメッセージアプリの通知音にスマホを取り出す。

「――あ、菫ちゃんからだ」
「菫? なんだ、こんな時間に珍しいな……」

 松田がそう言うのも無理はない。今はまだ明るい日中で、公務員であれば勤務時間だ。菫は比較的定時で上がる事が多い爆発物処理班の二人に対しては、この時間帯の連絡を避けているふしがあった。
 それを知っていた松田が訝し気に首を捻ると、あ……と萩原が眉を下げて呟く。

「っていうか陣平ちゃん。7年前、3年前ときてこのタイミングで菫ちゃんから連絡って……やばくなーい?」
「いやいや、まさかソレ絡みとは決まってねーだろ?」
「本当にそう思ってる?」
「……チッ、つくづく妙な日に連絡してくるやつだな、菫は……」

 微妙に嫌な予感がしつつ、二人は届いたメッセージを確認する。そしてその内容に、松田も萩原も一瞬言葉を詰まらせた。

「……は?」
「うぇー……やっぱりぃ……」

 菫からのイレギュラーな連絡は、やはり非日常を知らせるものだった。しかし、松田は眉を顰め、萩原などは呻き声をあげつつも素早く行動を起こしていた。タバコの火を消し、爆発物処理の他の仲間のいる場所へと駆け出している。だが走りながらも萩原は叫ぶ。

「もぉ〜、なんでまた米花中央病院に爆弾があるんだよー!」
「知るか! 犯人に言え! 取りあえず、菫に電話して状況確認するしかねーだろ!」

 そう言いながらも松田は手早くスマホを操作している。萩原は知る得る限りでも一、二を争う厄介な状況に、つい泣き言が漏れた。

「しかも、その場に菫ちゃんが居合わせるとか! なんて悪夢!」
「うっせー! 俺だって信じたくないっつーの! お前は上に報告しとけ!」
「りょーかーい! 班長〜! あの爆弾魔、まだ爆弾仕掛けてるみたいです―!」

 後処理をしていた上司に萩原はどこか緊張感の欠けた声でもう一つの爆弾の存在を告げると、何ー?! と上司のみならず、その場にいた者たちも驚きの声をあげる。場が騒然とするそんな中、松田は菫へ掛けた電話のそのコール音に耳を澄ませながら、そういえば……と疑問を口にした。

「つーか、なんで菫は病院にいるんだよ?」
「あれ? そういえばなんでだろ?」

 しかし疑問には思うものの、その次の瞬間に繋がった電話口の菫の申告してきた内容に松田も萩原も気を取られ、結局病院で再会するまでその理由は知れない。爆発物処理班は新たな爆弾の情報に一部の人間を高校に残しバタバタと車に乗り込み出す。もちろんその車の行き先は米花中央病院だった。



 * * *



 帝丹高校を歩道橋の上から双眼鏡で見物をしていた犯人は逃走を図るも、佐藤刑事、そして高木と目暮によって拘束されていた。事件は全て終わったかと思われたが、手錠を掛けられた犯人は突如大声で笑いだした。

「ハハハッ! 俺が捕まったって、最後に仕掛けた爆弾が爆発する! 爆発まで20分もないんだからな!」
「な、なんだとぉ! まだ爆弾があるだと?!」

 目暮が犯人の襟首を掴み揺さぶるが、犯人はそれを苦しがる様子もない。

「そうさ! 今からじゃ絶対に間に合わないだろうな?! それをお前らは虚しく見てればいいんだ!!」

 狂気に満ちた笑顔を浮かべながら犯人は嬉しそうに言う。警察を出し抜けた事を心から喜んでいるようだった。

「なんですってぇ! どこに仕掛けたのよっ?!」

 佐藤刑事も詰め寄るが、犯人はまるで関係のない、自分の言いたい事だけを声高に主張する。

「3年前に打ち上げられなかった戦友の首を弔う大きな花火だ! 遠隔も仕込んでいない単純な爆弾だよ。だから俺にも、誰にも止められない。時間が来れば確実に爆発する! 止められないのは警察のせいだ!」
「戦友の首を弔う花火……。警部、3年前に爆弾が仕掛けられた杯戸町の大観覧車と米花中央病院では? 爆発物処理班によって未然に爆発は防がれています」

 高木が犯人の言葉に、過去に爆弾が不発に終わった事件現場の名を口にした。それに犯人は一瞬動揺する。当然その場にいる刑事たちはそれを見逃さない。

「昔失敗したからって、また観覧車と病院に爆弾を仕掛けたってわけね?!」
「チッ……だが、今から向かったって間に合わないだろ! しかも二か所だ!」
「いえ、多分大観覧車は……問題ない筈。そうですよね、目暮警部?」
「うむ、大観覧車は運営しているショッピングモールが、今日の観覧車営業を自粛している」

 今回、帝丹高校に爆弾が仕掛けられたと直前まで不明だったため、一度爆弾を仕掛けられた過去があるモールの運営者が、犯人が捕まっていない事を受けて自主的に観覧車の操業を停止している。人が集まる施設の一つという事でそれを警察は把握していた。

「たとえ爆発物があったとしても、大観覧車には人はいないでしょう」

 観覧車は大規模な爆発自体は未遂ゆえに再び狙われる事を恐れ、店側が重点的に警備をしており忍び込むのは容易ではないのだ。よってこちらに爆弾が仕掛けられる可能性は低いと警察は見ていた。仮に大観覧車に爆弾が仕掛けられたとしても、人的な被害はほぼないと言ってよい状況である。

「あんたねぇ、この期に及んでブラフなんて小賢しいのよ! でも警部、病院の方が!」
「そうですよ、警部! 病院は通常通り、患者を受け入れている筈です!」
「分かっとる! 爆発物処理班を今から向かわせる!」
「ハッ、今から病院に行って何ができる? 爆弾がどこに設置されているかすら、お前らは分かってないんだろ?」

 犯人の勝ち誇った言葉に、三人の刑事は悔しそうに歯噛みをした。



 * * *



「おい、菫。もう一回聞くぞ? 液晶パネルに何が表示されてる?」

 松田は現場に向かう車に乗り込みながら菫に電話越しに話し掛ける。

「は、い……数字がカウントされてて、今は残り……15分を、切ってます」

 緊張しているのか、聞こえてくる菫の声はどこか掠れていた。スピーカーにしていたため、それははからずしも萩原にも伝わる。機動隊の車は列を成して一斉に現場へと急行していたが、松田と共に車に乗り込んだ萩原は腕時計の針を見て苦しげな声を出した。

「ここから病院までは、どんなに急いでも20分か……」
「萩原の声は聞こえたな、菫。つまり解体はお前にしてもらう必要がある。爆弾は動かしてないな?」
「あのこれ、椅子の下にあって。引っ張り出した時に動かしたきりです。水銀レバー、でしたか? 動かすと危ない爆弾があるんですよね?」
「ああ。この爆弾魔の事だから、それ以上は不用意に動かさない方が良い」
「菫ちゃん、周りに人はいる?」
「いえ、一応病院の方には爆弾があるって伝えたので、皆さん避難されてます。爆弾があったのは、病院の一階の待合スペースなんです」

 菫は小刻みに呼吸を繰り返しながら状況を説明する。やはり過去に爆弾が仕掛けられた事のある施設だけに、避難誘導は迅速だった。行動手順がマニュアル化していたようで幸いな事に今現在、病院の受付周りには人がいない。

 菫も最初は避難するよう声を掛けられていたが、第一発見者であり警察に知り合いがいるという事で、ギリギリまで爆弾のそばから離れる事を遅らせていた。警察が到着すれば速やかに後ろに下がらされたであろうが、生憎の都内全域に渡る爆弾騒ぎの影響で、不幸な事に病院にすぐに駆けつけられる警察官はいなかった。

「私が失敗したら、沢山の人に迷惑、掛けちゃいますね……」

 菫の自信なさげな声が聞こえてきて、萩原がわざと明るく、そして軽い調子で声を掛ける。

「菫ちゃん、落ち着いて。大丈夫、俺達が指示する通りにやれば、簡単に解体出来るからさ」
「心配すんな。俺なら3分もありゃバラせるが、菫なら倍の6分もあれば出来る筈だぜ。時間は充分だ」

 萩原と松田は菫をひとまず安心させようと、これからする事は何も難しい事ではないと断言した。

「……はい。研二さん、陣平さん。お願いします。でも……」
「でも、どうしたの?」

 菫が少し言い淀んだため、萩原が不安があるならば取り除かねばと続きを促す。ただ返ってきたのは心細げな小さな声だった。

「あの……二人にも、連絡したんです。でも、繋がらなくて……」
「「……」」

 菫の言う二人とはもちろん自分達の事ではない。松田も萩原も揃って表情を歪める。もう何年も連絡の取れない、消息も分からない同期達の事だろうと思った。

「それでお二人にお願いが……。私に何かあったら、零くんとヒロくんに伝えて――」
「何かある訳ないだろ! 俺はメッセンジャーなんかやらねーぞ」

 松田が菫の言葉を遮った。次いで萩原も優しい声で菫を宥める。不吉な言葉は聞きたくなかった。

「そうだよ、菫ちゃん。その心配は杞憂だ。俺達がサポートするから、20分後にはすぐ会えるんだからね?」
「あの二人に言いたい事があるなら、直接言え!」
「……そう、ですね。すみません。時間を無駄にしましたね。大丈夫です。指示をください」

 微かな沈黙の後、菫は気を取り直したようにはっきりとした声で指示を請う。だがやはり、その声は平時と異なるように松田と萩原には聞こえた。しかし、今は菫の目の前にあるであろう爆弾を処理しなければならない。

「……よし。菫、コードを切るものはあるな? ハサミ? 上等だ。それならまずは――」
「次は――だよ、菫ちゃん」

 松田と萩原は菫から爆弾の特徴を聞きだしながら、的確にそして素早く、それを解体させていくのだった。


 ・
 ・
 ・


「……これで最後、ですか?」

 爆発物処理班二人の指導の良さもあってか菫は順調に作業を進め、爆弾解体はあっという間に最終段階だった。時間にすれば5分も経っていない。電話越しに荒い菫の息使いが聞こえる。

「あぁ、遠隔もない単純な爆弾だ。その最後の一本を切れば、それはただの置物になる」
「菫ちゃん、安心して。聞いた限りじゃそれには何のトラップもない。それを切っても爆発なんかしないよ」

 絶対の自信があるようで、松田も萩原も残りの一本の配線を切るようにと言う。
 だが、菫は不安だった。二人の言葉を信じない訳ではないのだが、今この場にいるのが自分だという事に何か因縁めいたものを感じてしまう。

(この11月7日の爆弾の事件……。亡くなる筈だった研二さんも陣平さんも生きてる。爆発する筈だった爆弾も爆発してない。でもそれって、本来あり得なかった)

 菫の知る未来と変わっている。それに自分が関与しているという事が不安材料だった。

(私が手を加えた……全部、私も関係している。伊達さんの時みたいに――運転手の人が怪我をしたみたいに、本来なら関係のない人が怪我をしたり、亡くなったりするかもしれないって……思ってた)

 しかし、それは正しいのかといつからか疑問も芽生えていた。

(でも、関係ない人より、私がソレを引き受けるのが妥当な気がするのって、何も不思議じゃないよね?)

 決まっていた運命をご破算にした自分に、ソレが降りかかっても文句は言えないような気が菫にはしていた。震える声で菫は再度、松田と萩原に言伝を頼む。今日が最期になるかもしれないのである。

「陣平さん、研二さん……。あの、やっぱり、伝えてもらえませんか? 零くん達に――」
「だぁー! まだ言ってんのかお前は!」
「菫ちゃん、本当に大丈夫だから! だから残りのコードを切るんだ。早く!」
「でも、二人に……」

 煮え切らないようなはっきりとしない菫に、萩原と松田は思わず自分の腕時計を覗く。時間はまだあった。だが、この爆弾の解体をしているのはまだ車で10分以上の距離がある先にいる菫だ。そして菫は何故か最後の一本のコードを切るのに躊躇している。

「菫ちゃん、お願い、早くそれを切って……」
「菫、何やってんだ。残りは一本だけだ。それだけなんだよ……」
「だって……」

 松田と萩原に促されるも、菫は言葉を濁し、ぐずぐずとまるで立ち竦んでいるかのように動けない。
 ジリジリと時間が過ぎていく。菫が配線を切らなければ終わらないのだ。

(陣平ちゃん、ヤバいよ〜。菫ちゃん、結構平然としているかなって思ってたけど、最後の最後でパニックになってるんじゃない?)
(くっ、仕方ねーと言えば仕方ねーか……。菫は俺達みたいに訓練は受けてねーしな)
(そうだった……菫ちゃんは一応一般人だもんね。一応)

 電話口を塞ぎながら、コソコソと二人は打開策を探る。

(萩原どうする? 全部菫に掛かってる。が、あいつは今、冷静な判断が出来てない)
(……陣平ちゃん。菫ちゃん、心残りがあるから切れないんじゃ?)
(ここまで来てゼロとヒロか! クソッ!)

 先程から菫の願っている事は一つ。幼馴染たちへの伝言だ。
 松田と萩原からすればそれは不要な行動なのだが、爆弾を解体するという通常ではありえない行為の真っ最中の菫にとっては必要なプロセスなのだろう。それが叶わなければ安心できない。次へ進めなかった。
 松田は悔しそうに菫を次の行動へと繋がる返答をする。

「……チッ! 分かった、伝えてやるよ! 菫! 俺達を伝書鳩扱いしやがって、お前あとで覚えとけよ!」
「菫ちゃん。ゼロとヒロに伝言があるんでしょ? 一旦俺達で預かるよ」
「え? ……いいんですか?」
「おぅ! とっとと言え! そして切れ!」
「あの、ありがとう、ございます」

 松田と萩原が承諾してくれた事に、菫はホッとしたような嬉しそうな声を上げた。時間は着実に浪費されている。内心の焦りを隠しながら、萩原は菫に問うた。

「それで、菫ちゃん、二人になんて言いたかったの?」
「はい。二人に、零くんとヒロくんに、伝えてほしいんです」
「うん」

 菫は一言だけ言った。

「――って……」
「は?」
「え?」

 それを聞いた瞬間、二人からはつい聞き返すような短い声が漏れた。決して聞こえなかったからではなかった。菫の伝えたかった言葉が、あまりにも予想外だった。

「菫ちゃん? それだけ?」
「おい菫、それでいいのか?」
「それじゃ、あの、き、切ります! 陣平さん、研二さん、零くんとヒロくんの事、お願いします!」

 二人の言葉は聞こえていないのか、また思い残す事がなくなったのか、まるで言い逃げるかのような早口だった。菫はそれを言い終えるのと同時に、持っていたハサミに思い切って力を入れる。そしてそのすぐ後、パチンッとコードの切れる音が機械越しに鳴り響いた。


 ・
 ・
 ・


 最後の一本だった配線が切れる音がしてから、ただ静寂が満ちていた。

「菫?」
「菫ちゃん?」

 松田と萩原の読み通り、爆発は起こらなかった。そして菫からの反応もない。だがその数拍後、事態は動く。


 ドサッ!!


「おい? 菫!!」
「菫ちゃん、どうしたの?!」

 急に何かが床にぶつかる様な音に松田も萩原も慌てたが、それは近づいてくる足音と第三者の声で解消された。

「……あの、すみません。警察の方ですか?」
「あぁ? あんたは?」

 菫の電話から全く知らない男性の声が聞こえてきて、松田が低い声で応答する。

「この病院の責任者です。こちらの爆弾の解除をされていた方が急に倒れられたんですよ。あの、爆弾はもう問題ないという事でよろしいでしょうか?」
「液晶パネルの表示を確認してくれ。カウントが止まっていれば問題ない。爆弾は解除されている筈だ」
「――あぁ、良かった。カウントは止まっているようです」

 爆弾を確認したのだろう、安堵した声が返って来るが、松田と萩原からすればそんな事より菫の方が気になる。

「取りあえず警察が到着するまでその爆弾には触らず、動かさないでください。ところであの、その女性――菫さんは大丈夫ですか?」

 松田に代わって萩原が菫の状態を聞きだす。

「はい、見たところ気を失っているだけのようです。緊張が切れたんでしょうか……? ――いえ、熱がかなりありますね」
「先生。その方、お見舞いに来た方じゃなくて、受診されに来た患者さんなんじゃないですか?」
「顔も赤いですし、呼吸も早い。その可能性が高いですね。君、すぐに部屋を一つ準備して――」

 電話の向こうで他の人間とやり取りしているのが聞こえてくる。また同時にバタバタと騒がしくなり始めた。松田や萩原など蚊帳の外に病院側では病人の対応に追われ始めたようだ。だが、すぐに電話口の医師は状況を説明し出す。

「――あぁ、すみません。こちらの女性は病院で責任をもって対応させて頂きますね。受付で声を掛けてくださったら、ご案内できるようにしておきますから……」

 そう言うと相手から忙しそうに話を切り上げられてしまった。ツーツーというコール音に切り替わると、取りあえず松田と萩原も、爆弾は無事処理されたと上司や仲間たちにそれぞれ業務連絡を行う。
 そしてそれを終えると、おもむろに萩原が口を開いた。

「……菫ちゃん、もしかして病人だった?」
「だから病院にいたのか? 菫は……」

 そういえば、終始菫の声の調子や、いつになく落ち着かない息遣いなど様子がおかしかったようだ……と、二人は今更ながら菫からの違和感に気付く。爆弾の解体など滅多にない事件に巻き込まれた事が要因だと思っていたが、元々体調が優れなかったのかもしれないと思えばそれもしっくりした。

「……出掛けた先で爆弾と遭遇とか、菫も災難だな」
「っていうか、俺達の厄が菫ちゃんに移ってるんじゃ……?」
「言うな。実は俺もそう思ってる」
「この一連の爆弾騒ぎ、ほとんど俺達に絡んでるもんね……」

 何とも言えない、というより若干申し訳なさそうな表情で、松田と萩原は互いに顔を逸らした。



菫さん、深読みしすぎでした。別にしっぺ返しはないです。まだちょっと続いて次回、後日談的なものあり。

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