Cendrillon | ナノ


▼ *ゴッドマザー
ゴッドマザー:代母、教母、女性の後見人、名付け親。


「ナタリーさん、顔色が悪いですよ? 大丈夫ですか?」
「え? やだわ。菫さんも航と同じ事言うのねぇ?」

 先日、伊達にナタリーの様子を見てくれと頼まれ、菫はナタリーに久しぶりに会って話をしないかと誘いを掛けていた。ナタリーはそれを嬉しそうに快諾し、女性に人気だという喫茶店で語り明かそうという事となった。
 そして二人の約束の日、待ち合わせの駅前でどこかフラフラしているナタリーを見つけた菫は慌てて駆け寄る。

「せっかく足を運んでもらいましたけど、今日のお出掛け、中止にしませんか? おうちで休んでた方が良いと思います」

 出会い頭に菫が思わず帰宅を促すほど、ナタリーの体調は悪そうに見えた。

「ううん、菫さん。なんだか航も心配するんだけど、意外と平気なのよ? それに私も最近家に籠りっきりだったから楽しみにしてたの。だから出掛けましょ?」

 何とも儚げに笑うナタリーに菫は眉を顰める。今にも倒れそうで出歩くのは難しそうに感じた。しかし、当の本人は自身の体調に無頓着のようで、また確かに声の調子からすると空元気ではないように菫にも思えるものだった。

「そう、ですか? それなら予定通りに出掛けます? でも、電車はやめておきましょうね? タクシーで行きましょう。それとやっぱり具合が悪い……ってなったら、すぐに言ってくださいね?」

 当初は目的地までは電車での移動を予定していたが、さすがにそれは許容できないと菫はタクシーでの移動を提案する。

「わざわざタクシーを使うなんて勿体ないわ、菫さん。私に気を使ってなら、大丈夫よ?」
「いーえ! ナタリーさんは大丈夫って言いますけど、そうは見えないんですよ? 念のために車にしましょう? その方が早く着きますし、ね?」
「菫さんが、そういうなら……」

 菫が折れなさそうだと判断したのか、ナタリーは苦笑してそれを受け入れた。



 * * *



 早速捕まえたタクシーの車内で、菫とナタリーは早くもお喋りに花を咲かせる。だがやはり、ナタリーは少し気だるげであった。菫は伊達からの要望もあり、ナタリーに何か問題がないかと思案しながらの会話だ。
 しかしその会話の中でナタリーが、自分一人では外出する気になれなかったので、誘ってくれてありがとう……と口にした。それを取っ掛かりに菫は話を切り出す。

「ナタリーさん、最近家に籠り切りって言ってましたよね? 何かあったんですか?」
「そうねぇ……なんだかここしばらく、体調が悪い訳じゃないんだけど怠いって感じで……。それに眠気もとれなくて。そのせいか気分も落ち込んで外に出るのが億劫だったの」
「睡眠不足? それとも不眠気味ですか?」

 真っ先に睡眠障害のようなものかと想像した菫だったが、ナタリーは首を振る。

「ううん。眠れない訳じゃないの。むしろ寝てばかりね。寝ても寝ても、寝たりないのよ。本当に最近は航が仕事でいない間は、ほとんど横になって過ごしてるの……。結婚して仕事もやめたから、怠け癖が付いちゃったのかしらって、働いている航に申し訳なくて……」

 悲しそうに俯くナタリーに菫も困ったように眉を下げる。一日の大部分が睡眠に当てられているらしい。そこまで身体が休息を欲しているとなると、何か病気などではないのかと菫は思ってしまう。もしくはナルコレプシー……過眠症のような症状でもある。
 だが、素人が気軽に言えるものでもなく助言が難しい。いっそ医師の診断を仰ぐ方が不安もなくなるのではないかと菫には思えた。

「ナタリーさんに限って怠け癖とかじゃないと思いますよ? それに気分が落ち込むのが長期間続くなら、病気を疑った方が良いって聞きますし。ナタリーさん、病院とかには行きました? もしかしたら眠気の理由、分かるかもしれないですよ?」
「いいえ、行ってないわ。だって本当に眠いだけなのよ? それに気分が落ち込むのも、航が一生懸命仕事をしてる時に、私ばっかり休んでるのが居た堪れないからだもの」
「うーん……でも分かりませんよ? 眠気も立派な体調の変化だと思いますから。体調不良に引きずられて精神が不安定になる事ってありそうですよ。何より病院に行けば、お医者様に何か改善できる方法とか教えてもらえるかもしれませんよ?」

 ただそうは言っても、ナタリーだけでは病院へ行くのは今の様子を見ていると望みが薄いと菫は思う。受診を勧めても行動にまでは移せなさそうだと菫はナタリーの言動から感じた。そしてその通り、ナタリーはあまり乗り気ではない。

「病院に行くほどのものかしら? 眠気が治まらないなんて恥ずかしいわ」
「でも日常生活に支障をきたしてるって、ナタリーさんは思ってるんですよね? 私もついて行きますから、病院に行きませんか? 意外と病院で診てもらったら、あっさり治るかもしれないですよ? 何か他に変わった症状みたいなものないですか?」
「病院、行った方が良いのかしら……あ、でも風邪っぽいかなとは最初は思ったの。微熱が続いてるみたいに身体が火照ってる感じがあって。でも咳が出る訳でも頭痛がする訳でもないから、やっぱり風邪じゃないと思うのよねぇ」

 そのナタリーの言葉を聞いて菫は、え? と一瞬硬直した。

(微熱……それに、眠気と気分の落ち込みが伴うのって……)

 それまで聞いていた症状のようなものと組み合わせると、パッと連想するもの、脳裏に浮かんだ事があった。だがかなりデリケートな話のため、タクシーの運転手に聞こえぬよう菫はナタリーの耳元に顔を寄せ、声を潜めて聞いてみた。

「あのぉ……ナタリーさん? 不躾に聞いてしまいますけど、最近……月のもの、ありました?」
「え? あ…………しばらく、来てないわ――」

 菫の一言でナタリーも一つの可能性に気付いたようだ。しかし全く予想の範疇外だったのか、思考が停止してしまったようにナタリーは固まってしまう。

「もしかすると、もしかしませんか? 予想と違ったら申し訳ないんですけど、ナタリーさんが言っていた内容だと妊娠の初期症状のような気がします」
「妊娠……? ……あ、どうしよう。菫さん。私、どうすれば……」
「と、とりあえず病院ですよ! ナタリーさん、病院に行くべきです!」
「そ、そうね……」

 どこか茫然としているナタリーに代わり、菫も若干余裕をなくしながらタクシーの運転手に近くに産婦人科の病院はないかと尋ねる。そして付き添い向かった病院で、菫はナタリーと手を取り合って喜ぶ事になるのだった。



 * * *



 病院で診察を終えると、本来の予定にあった喫茶店には寄らずに伊達家へと菫はナタリーを送り届けた。ナタリーをリビングのソファに座らせると、菫は帰る途中で買い込んできた持ち帰りの軽食や飲み物をテーブルに広げる。

「ごめんなさいね、菫さん。色々手間を掛けさせてしまって」
「そんな事ないですよ、ナタリーさん。ナタリーさんこそ、これから大変なんですから。赤ちゃんを産むっていう大仕事が待っているんですよ? 周りに動ける人間がいるなら、その人達に頼るのが一番です。今後も何かあったらどんどん声を掛けてくださいね? 私今、お仕事を休業中なのですごく暇なんです!」

 あまり堂々と言う事でもないが菫が気にした様子もなく言ってのけるため、ナタリーは軽く笑いながら礼を述べた。

「ありがとう、菫さん」
「この程度の事、気にしないでください。それに食欲がある今のうちに、沢山食べた方が良いですよ。もしつわりがひどい体質なら、ご飯が食べられなくなるかもしれませんからねぇ」

 ナタリーは今のところ、つわりなどの分かりやすい症状はないようだった。しかし、産科の医師からは近いうちにつわりも始まるだろうと言われている。食べられるうちに食べた方が良いと菫が甲斐甲斐しく世話をした。


 ・
 ・
 ・


「――ねぇ、菫さん」
「はい? 何ですか?」

 食事を済ませ、今後の予定などを聞いていた時だ。ナタリーが思いがけない事を切り出してきた。

「突然なんだけど、生まれてくるこの子供の後見人になってくれないかしら?」
「え?! 後見人って親代わりって事ですよ? 私なんかでいいんですか?」

 ナタリーは母親がアメリカ人なため、日本人が考えるよりも後見人制度が身近なのであろう。ナタリーからの提案はさほど不思議ではないのだが、それを頼まれるの自分である事に菫は驚きを隠せない。

「もちろんよ。菫さんだからお願いしたいのよ」
「本当に私ですか? あの、後見人に選んでもらえるのはすごく光栄だと思います。でも、もっと相応しい人がいるんじゃ……」

 菫としては後見人に指名される事は胸に込み上げるものがある。我が子の後見人を決めようと思った時に、生半可な人間は選ばないだろう。信頼されている証しだと思うとナタリーのその気持ちが嬉しかった。何より伊達とナタリーの子供の後見人となれば、その喜びもひとしおだ。
 しかし、自分よりもっと適任の人間がいるという気持ちも強く、その話を受けるのには菫も躊躇してしまう。それでもナタリーは菫が良いという。

「だって……菫さんは航を助けてくれたんでしょう?」
「……え?」
「航が言ってたわ。結婚前に謝られたのよ。俺はお前を置いて死ぬところだった……って。そして菫さんに助けられたってね。航が死んでいたら、きっと私も後を追ったと思うの。だから菫さんは私達の命の恩人なのよ」
「あの、それは……」

 まさかここで、過去の話が出てくると思わず菫はしどろもどろとなる。だが、何故かナタリーは菫の焦った様子を訝しむ事無く、泰然と見つめながら話を続けた。

「菫さんが私達を守ってくれた……。この赤ちゃんが生まれてくるのは菫さんのおかげでもあると思うわ。そして、とても縁深いんじゃないかって。だからこそ菫さんが後見人になってくれたら、この子はきっと何か大きな力で守ってもらえるような気がするの」
「……」

 伊達は菫の事情を秘密にすると言っていたため、詳しい事まではナタリーも知る由はない筈だ。それでもナタリーは何かを察しているような雰囲気があった。

「こんな事頼んだら、菫さんには負担かしら……」
「そんな……とんでもないです! 後見人のお話は本当に嬉しいんです! ただ、私に務まるか……」
「私は菫さんだからこそ心配ないと思ってるのよ?」
「でも……」

 踏ん切りがつかない菫にナタリーはまるで宥めるように言葉を重ねる。

「菫さんが嫌だと思っていないなら、引き受けてほしいわ」
「本当に、私でいいんですか?」
「ええ、もちろんよ」
「それ、なら……ナタリーさんに、そこまで言って頂けるなら――」

 ナタリーの熱心な言葉に、菫もこの栄誉ある役目に本腰を入れて取り組むべきでは……という気持ちが芽生えてくる。しかし、菫はもう一人の当事者が不在である事に気付いた。

「あ、でもナタリーさん? 伊達さんとも話し合われた方が良いんじゃ? 伊達さんの事ですから、子供が出来た時の事を考えていないって事はないでしょうし……」

 伊達にとっては初めての子供、第一子だ。思い入れもあるだろう。そうなるとやはり自分の一存だけでは返答できないと菫は思う。しかし、ナタリーはそれを気にも留めずに菫の心配を否定する。

「大丈夫よ。航だってきっと同じ考えだわ。私、分かるもの」

 まだふくらみなど全く見られない腹部を優しく撫でながら、ナタリーはふわりと笑った。

「航も菫さんが後見人なってくれる事を望む筈だわ」


 ・
 ・
 ・


 その後、帰宅した伊達にナタリーを託し、菫は早々に友人宅を辞去した。子供が出来たとナタリーは直接報告したいという事で、伊達もまだこの慶事を知らないのだ。きっと微笑ましい光景が繰り広げられるとは思うものの、その場に自分がいない方が良いだろうと菫も遠慮したのである。

「菫! 今日はありがとうな!」

 菫が帰路についてしばらくした頃、伊達から興奮冷めやらぬといった調子の電話があった。伊達には珍しく高揚した歓喜の溢れる声だった。
 ナタリーを病院に連れて行った事への感謝の言葉から始まり、伊達はおもむろに夫婦二人で決めた事だと、菫へ真剣な声でナタリーが予想した通りの事を口にした。
 ナタリーの提案に賛同しているらしい伊達からの再度の依頼により、菫は後見人の話を正式に受諾する事となる。またその際、伊達夫婦からさらに思ってもいなかった事を頼まれ、菫は大いに慌ててしまうのだった。



 * * *



 翌日、菫はある本を抱えてポアロへと訪れていた。ちょうど出勤していた零にコーヒーを注文しながら菫はカウンター席で本を取り出し、早速それに目を落とす。

(あぁ……後見人ばかりか、もっと大それた事を引き受けてしまった……)

 伊達夫婦からある重大任務を菫は引き受ける事になり、昨日からそれに掛かり切りであったのだが、良い案が浮かばずに早くも煮詰っていたのだ。
 気分転換を兼ねての外出だったが、場所を変えれば何か思い浮かぶかもしれないという期待もあった。零がコーヒーを用意している間も菫はそれについて内心ウンウンと唸っていると、少し離れた所から声が掛かる。

「菫さん、何を見てるの? それになんだか悩んでるみたいだね?」

 ボックス席に座っていた先客のコナンが不思議そうに尋ねる。入店して来た菫が、自分や一緒にいる蘭と園子を見て挨拶もそこそこにカウンター席に座ったのが、常らしからぬと思ったようだ。

「え? うん、これだよ。コナン君すごいね、確かにちょっと悩んでるねぇ……」

 菫はその問いに手元の分厚い本の表紙を三人に見えるように持ち上げる。するとコナンがその本のタイトルを読み上げた。

「えーと、『子供への一番最初の贈り物〜古今東西の女の子の名前〜』。……え? これ……名付け辞典?」
「そう。これが本屋さんで一番まともそうだったやつなの」

 昨日、菫は生まれてくる子供の名前を考えてくれないかと伊達に頼まれてしまったのだ。名付け親という責任重大さに菫も最初は断りを入れた。しかし、「後見人になるなら、ついでに名前も付けてくれ」と伊達とナタリーの二人がかりで代わる代わる説得され、菫は最終的に後見人だけでなく名付けも引き受ける事となる。

(うぅ……子供の名前なんてそんな大切なもの、私には荷が重すぎるのに、伊達さんに口では勝てなかった)

 ただやはり、両親に名前を決めてもらった方が良いのではないかと菫も強硬に主張したため、妥協案として男の子が生まれた場合は伊達やナタリーが、女の子が生まれた場合は菫が名前を付けるという事で落ち着いたのだ。そのため菫は昨夜、女の子の名付けの本を大急ぎで買い求めに走ったのである。

「……え? 名付け辞典なんてどうしたんですか、菫さん?」
「名付けって菫さん、それってもしかして……?」
「はい? 皆さん、今なんて仰いました?」

 しかし、菫から今まで全くそのような話を聞いた事がなかった蘭と園子に焦ったように順に問い掛けられる。またコーヒーの準備で珍しく状況の把握が遅れた零が手を止め、その名付けという単語に眉を寄せて言葉を挟んだ。
 だが、周囲のどこか緊張感のある雰囲気など気付きもせずに菫は本に没頭しており、どこか上の空で答えてしまう。そのせいか肝心なところが言葉足らずであった。

「それが実はね、(友人に)赤ちゃんが生まれるから、名前を考えているの……」
「「「えぇ〜!!」」」
「ひゃっ!」

 若者達の驚愕の声に菫はビクッ! と身体を震わせ、ある意味我に返る。何故こんな大きな声を上げられるのかが、菫には分かっていなかった。菫としてはしっかり伝えたつもりで、直前の自分の発言が原因だとは思っていない。

「な、なに? どうしたの、皆……?」
「どうしたの? じゃないわよぉー! 菫さん、いつの間に!? 相手は誰よ〜!」
「相手? 園子ちゃん、何言って……」

 席から立ち上がりカウンター席まで近づいてくる園子のその勢いに、菫は目を白黒させる。またその問いが理解できずに菫は首を傾げるしかない。菫がそれを確かめる前に、蘭も慌てながら菫を窘めた。

「あ! ダメですよ菫さん! コーヒーなんて頼んじゃ! カフェインはあまり良くないって聞きますよ?」
「え? え? コーヒーダメ?」
「菫さん。どういう事か説明してください」

 カウンターから出てきた零が菫に無表情で問い質してくる。何故かものすごく威圧感を感じ、菫には冷や汗が流れた。かなり怖い。
 しかし、零をはじめ、三者三様に自分に掛けられるその言葉の意味が、やはり菫には分からない。

「え? 説明?」

 そんな菫に的確に質問をしてくれたのはコナンだったが、その内容は思ってもいないものであった。

「菫さん、妊婦さんなの? 今何か月?」
「はい? えっ?! ち、ちが――」

 勘違いされてる! と菫が慌てて自分の事ではないのだと訂正しようとした時だ。


 カランカラン


 ドアベルの音が店内に鳴り響く。一瞬、その場にいる者達は喋るのを止め、その音の主に目を向けた。
 一斉に5人の視線を一身に浴びたその人物は、ギョッとしたように後退りながらもポツリと呟く。

「……取り込み中?」

 最近顔を出すようになった、コーヒーを飲みに訪れた景光が店内の光景を見て眉を顰めた。カウンター席に座る菫が零とコナン、そして蘭と園子に取り囲まれ、何となく吊し上げられている状況だ。
 だが、天の助け! と言わんばかりに菫が情けない声を上げる。

「あぁ、景光さん、助けてくださいぃ……」
「何、どうしたの菫ちゃん。皆にいじめられてる?」
「そんな事する訳ないじゃないですか。景光さん、あなたもこれを聞いたら平静でいられませんよ?」
「ん? 安室が平静でいられないって菫ちゃん、何かしちゃったの?」
「それが、皆ご――」

 皆誤解している、自分は妊婦ではない、と菫は最後まで喋らせてもらえなかった。園子が怒ったような、悲しそうな声で遮ったからだ。

「菫さんに男がいたのよ! しかも妊娠してるなんてぇ〜! 恋人がいるって黙ってるなんてひどい!! 何で今まで教えてくれなかったのよぉ〜」
「は!? 菫ちゃん、どういう事かな?」

 もう一人の幼馴染も真顔で詰め寄ってきた。
 菫は思わず半眼になる。菫の今の心情は正に、ブルータス、お前もか……であった。

「だから、違いますってば……。私じゃな――」
「菫さん、相手はどこの馬の骨ですか」
「あのね……」
「そうよ! その男に一発入れてやらないと気が済まないわ!」
「菫さん、赤ちゃんはいつ生まれるんですか?」
「だから――」
「もう生まれる赤ちゃんの性別が分かってるの? 確か性別が分かるのは妊娠12〜22週以降だって、僕聞いた事ある」
「菫ちゃん。大丈夫。男親がいなくても、俺や安室で面倒見れるから」
「……説明を、説明をさせてください……」

 ぐったりと菫はカウンターに突っ伏した。結局、菫が友人夫婦に生まれてくる赤ん坊の後見人となり、名付けをする事になったと説明するのには、しばらく時間が掛かるのだった。



伊達カップルが幸せになってるところが見たかった(涙)。ついでにゴッドマザーはカクテルの名前でもあります。カクテル言葉は「無償の愛」。最後のやり取りはお約束なやつ……。ちなみに赤ちゃんの名前を考えるのが難題なので続きません。でも赤ちゃんが生まれるなら、そしかい後でしょうね。

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