Cendrillon | ナノ


▼ #弾丸×携帯×希望の石


 暗闇の中、嫌な予感しかしない銃声が辺りに響く。
 駆け上がったビルの階段のその先。
 壁にもたれ、ぐったりとしている友の姿がバーボンの目に飛び込んできた。


「スコッチ!」
「裏切りには……制裁をもって答える……だったよな?」
「ライ、貴様っ! なんで……お前も、お前だってノックじゃないか! なんで、こんな……」
「……あーおい、二人とも落ち着け。俺は死んでないぞ。しかし……痛ってぇ……」
「「スコッチ!?」」


 その日、その世界で消える筈だった運命はついぞ訪れなかった。
 起こり得た事態は決まったものではなかったのかもしれない。彼は命を長らえる。
 それが過去となってしまった今、彼は助かる運命だったとも言えるだろう。
 しかし、それを知る者は誰もいない。ここにも、どこにもいなかった。



 * * *



 左胸に弾丸を受けた男が平然と会話に混ざり込んできた。
 死んだとばかり思っていたライとバーボンは、共に幽霊でも見たかのように目を見張りいまだ座り込んだままのスコッチを見下ろす。
 その二人の視線を受けスコッチは痛みがあるのか胸を手でさすりながら苦笑した。

「ハハッ……ライも、意外と動揺してたんだな? 確かに自分でも死んだと思ったし、そのショックと衝撃で一瞬意識は失ったが、血は出てないし呼吸もしていただろ?」
「……胸のポケットの壊れた携帯が目に入ったからな。助かるとは思わんだろう……」

 そう言ったライは再びスコッチの胸元を見つめる。やはりシャツには穴が開き、間違いなく弾丸はそこに当たった事を物語っていた。
 我に返ったバーボンがスコッチに駆け寄りしゃがみ込む。

「胸に被弾したんですよね? 怪我は? でも何故、助かったんだ?」
「痛みはするが怪我はない。……お守りに守られたって感じ、かな……?」
「お守り?」

 バーボンの訝しげな表情にスコッチは少し困ったような反応を見せる。今ここで不用意に名前を出してはいけない人物が絡んでいたからだ。

「それは――あとでな。ちゃんと説明するよ。でも正直、俺もよく分からないんだけどな」
「何ですかそれ? 適当ですね」
「いやー……それにしても見事に死に損なったな、俺。でも……良かった。結果を見て振り返れば、本当に馬鹿をやったと思う」

 スコッチはいまだ立ち上がれずに額を押さえ、少し震えていた。自分の行動の際どさを実感していた。
 訪れていたかもしれない自身の終わりを紙一重で躱していたのだ。自ら招いた筈のその恐怖が遅れてスコッチを襲っていた。
 青褪めた様子のスコッチの言葉の意味がバーボンには分からず、眉を顰める。

「何です、どうしました。スコッチ?」
「バーボン、咄嗟に俺は……間違った」
「? スコッチ、何を……」
「足音を組織の追手と勘違いして……早まった」
「え……?」

 早まったというのはスコッチのこの状況……胸に弾丸を撃ち込まれそうになったこの状況の事か……そうバーボンは判断する。
 ライは……違う。最初はライがスコッチを撃ったものと勘違いしたが、そもそも敵ではない。それをバーボンは知っていた。
 では銃を撃ったのはスコッチという事になる。

「……っ?!」

 何故それに今の今まで思い至らなかったのだとバーボンは愕然とした。つまり自殺しようとしたのだ。目の前の友人は。

「待て、待ってくれ……」

 そしてバーボンは気付きたくない事実に気付いてしまった。
 スコッチを見て、ライを見て、辺りを見回し、自分がこの場に駆け付けた時の状況を思い出し、そんなわずかな一瞬の考察で聡明な男はすぐに真相を知った。

「まさか……これは、ぼ、僕の、足音で……?」

 スコッチの言葉が意味する事は、導き出した答えと相違ないのだろう。
 バーボンは片膝をついていた地面にガクリとよろけて手をつく。思ってもいなかった事実を受け入れられなかった。

 今目の前にいる幼馴染は運が悪ければもしかしたら、死んでいたのかもしれなかった。
 スコッチと……ヒロと、二度と言葉を交わせなくなっていたのかもしれないのだ。しかもそれは他ならぬ自分が原因でだ。

「僕……僕の、せい? スコッチが、死ぬところだった? 僕が……死なせる? そんな、僕が――」

 今まで感じた事のない、不安に似た感情がバーボンの胸を埋め尽くす。肺の空気はソレで全て押し出され、息が出来ないような気がした。もう窒息してしまいそうだった。

「僕が、殺すところだった……!」

 慟哭のような悲痛な声が闇に溶けた。
 もしそうなっていたかと思うと、恐ろしくて苦しくて堪らない。それなのに泣きそうに顔を歪め、自分の胸を押さえる事しかバーボンにはできない。頭がぐらぐらと揺れるようなそんな眩暈がした。立っていないにもかかわらず身体もふらつく。
 いつの間にかライが静かにバーボンの背後に立っていた。

「……とりあえず、今は場所を変えよう。今後について話し合わなければ」
「そういや直前に、ライからFBIだって言われてたな……」
「あぁ、保護を申し出ていたところだったがスコッチが引き金を、な……」
「…………」

 ライが心なしか気遣わし気にバーボンを見やる。スコッチに合わせて膝をついていたバーボンの肩を、ライは軽く撫でてやった。放心状態のバーボンはまるで生気のない顔をしている。

「バーボン……いや、ゼロ。気にしないでくれないか。黙っててもお前ならいずれ気付くだろうから、隠さずに言ったんだ。そんな顔をさせるためじゃない」
「……ヒロ」
「このざまは俺の早とちりだった。お前のせいじゃないよ。それに俺は死ななかった。そうだろう?」
「……」
「そして俺は今、早急に身を隠す必要がある。二人共、協力してくれ」

 明らかに話を変えるためだったが、零は景光のその言葉に従った。

「あ、あぁ……そうですね――」

 零は一度目を瞑り、それで気持ちを切り替えたようだ。そして立ちあがると同時に気丈に赤井へと話し掛けた。

「ライ……いや赤井。今まで僕達は互いの素性を薄々感づいていながら、明確な言葉にはしてきませんでした。ですがそれを改める必要がありますね」
「そうだな。暗黙の了解で流すのはもう終わりだ。だが、まずはここを離れるべきだ。……零君に景光君、歩きながら話そう」

 そう言って秀一はまだ覚束ない零に代わって景光に肩を貸し、ビルから抜け出すために動き出した。
 その道すがら秀一と零、景光はそれまで避けていた、いわば己たちの素性、過去について語り合う事になる。



 * * *



 夜の闇が三人の男を包んでいた。
 その男たちは人目を避けながらも迅速に移動を繰り返す。そんな中、口火を切ったのは景光に手を貸しつつ先導していた秀一だった。

「――俺は君達が警察官になりたいと言っているのを聞いた事があった。反対に君達も俺の事を聞いていただろう?」
「ええ。あなたはFBIに、と」
「互いにそれ以外の道はあり得なかった」
「そうだな。俺達も赤井も将来は決まっていた。数回しか会った事のない、短い付き合いだったけど赤井が組織の純粋な幹部だとは思ってなかったよ」

 景光の言葉に秀一は頷く。

「俺もだ。だから俺はある意味、組織で君達との仕事の間だけは孤立無援だとは思わなかったよ。所属は違うのにな」
「まぁ、それは俺達も似たようなものかな? 目的も同じだろうし」
「……こうなっては、他国の捜査機関との連携も視野に入れる事になるでしょうね」
「上に報告すれば自ずとそうなるだろうな。……行先はこっちが用意した。悪いがこのままついて来てくれ」
 
 秀一はかねてから――景光に疑いの目が向けられ始めた時から準備しつつあった、セーフハウスへと二人を案内する。

「準備が良いですね。結局何もかも僕は後手でした。本来ならこちらの拠点の一つが望ましいですが、今はあなたに従いますよ」
「俺は口出せる立場じゃないから二人に合わせる」
「すまんな」

 その後しばらく会話は止み、三人は目的地まで黙々と足を進めた。
 しかし、やはりしばらく経ってから、ふと沈黙を景光が破った。

「――でも、俺達ってすごくないか?」
「何がです?」
「いやだって俺達、子供の頃に出会ってるだろ? その上似たような仕事について、さらに同じ組織に潜入。しかもそのノックが三人で組まされるって、どれだけの確立なんだろうな?」

 景光は自分達の状況が並大抵な事ではないと、少し熱っぽく語る。

「くっ、確かに。事実は小説より奇なり、を体現したような状況ではある」

 薄く笑った秀一を横目に、零はぽつりと零した。

「確かにこの三人を繋ぐ縁は、尋常ではないんだろうな――」

 これは偶然なのだろうかと、自分達を繋いだ一人の女性を――しばらく会っていない幼馴染を思い浮かべながら、零はある種の確信を抱いていた。



 * * *



 セーフハウスに辿り着くと、互いにまずそれぞれの所属先に事の顛末の報告を始める。景光の扱いなどはFBI、公安の上層部の判断を仰ぐ事になった。

 取りあえずだが組織への報告に関してはライが始末をつけた事にし、後ほど連絡する予定である。またスコッチと親しかったと組織内で認識されているバーボンはこの件でライと確執が生まれたように振る舞う事が基本の方針として決まった。自分達の繋がりを察知されないようにするためだ。

 任務を優先して様々な関係先に連絡していたがそれもひと段落が付けばひとまず猶予がある状態となる。バーボンもライも組織関連の仕事を残してはいたが、バーボンならばノックであるスコッチの捜索、ライならばスコッチの後始末という言い訳が立つためしばらく時間を潰しても問題はない状況だ。

 それなりに時間が経過しようやく緊張感も解けてきた頃合いだった。
 ポツポツと話し始める程度に余裕も生まれていた。
 景光の助かった状況について話が及んだのも、その時だ。

「――俺が助かったのって、これのおかげなんだよな」

 景光が零とビルの屋上で約束した話を口にし始めた。ゴソゴソと景光がポケットに手を入れる。何やら景光には見せたいものがあるようだった。 

「さっき、お守りと言っていたやつですか?」

 思い当たる物を口にした零と話を聞いていた秀一は、何が出てくるのかと景光の動きを目で追った。そして景光がポケットから取り出した物を見て同時に声を上げた。

「え、それは菫の……」
「ん? それは菫が……」

 景光がある物を見せた瞬間、零と秀一の言葉は重なり思わず言葉を止める。

「「……」」

 さらに顔を見合わせた上に視線を逸らすところまでがセットだった。

「ははっ、何だ二人とも菫ちゃんのだって知ってるんだな?」

 その様子を見ていた景光は声を上げて笑いながら手の上のそれをもう片方の手で優しくなぞる。

「そうだよ。菫ちゃんが持ってろって押し付けてきたんだ。このペンダントをさ。俺のせいで台無しになってしまったけど、な……」

 景光の手の上では、銃の弾丸がめり込んだ紫色の石がキラキラと輝いていた。



 * * *



 その景光の手の上の紫の石を見て、何やら疑問顔の秀一が言った。

「しかしそれは、本当にただの宝石なのか?」

 秀一は景光の方へと手を伸ばし触れてもいいとの許可を得てから、その紫の石のペンダントを矯めつ眇めつし始める。
 その美しい紫色の石は直径7cmほどある楕円形をしており、平べったくした卵のように見える。そしてそれは細工が美しい枠状の金属製の台座にすっぽり嵌まっていた。
 大ぶりな石は重みもあり、女性の胸元を飾れば結構な存在感を放つだろう事が見て取れた。

 だがその石の中央には今、どう見ても不釣り合いな武骨な金属の塊が埋まっている。
 景光の命を奪う筈だった弾丸だ。

「あー……俺、菫ちゃんになんて謝ればいいんだ? お守りって言われはしたけど、貰える訳ないだろ? 俺、ちゃんと返すって約束してたんだよな……」

 頭を抱えている景光は心の底から憂鬱そうにため息をつく。
 石は辛うじて割れてはいないが割れるのも時間の問題のようにも見える。弾丸のせいで元の美しさも大いに損なわれていた。
 そんな景光に零は追い打ちをかけるようなこのペンダントに纏わる話を共有する。

「ヒロ。これ、菫がとても大切にしていた物ですよ? 大事だから記念日にだけつけるって、小さい頃に言ってましたからね。それも小学校に上がった頃には記念日でも身に付けては外出しなくなりましたけど」
「ああ、それは俺のせいだな。菫が年齢に不釣り合いなアクセサリー……まぁ、これなんだが。それを着けているのを見て注意したんだ。大切なら盗まれないよう気を配れるまで、家で身に着けて楽しめ、と」

 菫はイギリスで知り合ったその日、ひったくりに遭っていた実績があるからな……と、秀一はその助言をした経緯を説明する。
 外国でひったくりに遭ったなどと聞いていない零は苦い表情を浮かべたが、そんな大事な物なのか……と、景光はさらにガックリときている。

「それより今回初めて手に取ってよく見てみたが、この石はやはりおかしい。この紫の石をアメシストだと仮定してもモース硬度は7だ。硬度10のダイヤモンドやそのダイヤより衝撃に強い靭性8のルビー、サファイアでさえ、銃の弾丸では砕ける。原形を留めているという事は、これは宝石では……ない?」

 答えが出ず首を捻るしかない秀一は眉を顰める。それには零も同意した。

「そうですね。最初に携帯を貫通して弾丸の威力が弱まっていたとしても、まず宝石じゃ盾代わりにはならないでしょう」
「弾丸を受け止めるには宝石では脆すぎるって事だよな」
「……ちょっと僕にも見せてください」

 秀一が一通り見終えたらしいと判断すると、今度は零がペンダントを手に取った。

「……判断のつかない幼い頃は、子供が持つ物なら単純に素材はガラスだと思っていたんですけどね。しかもこんなに大きい石ですし。でも、それこそガラスなら粉々になっていますよね?」
「かと言って防弾ガラスの筈もないよな? こんなアンティークのペンダントだ……。でもそうなると正体不明だな、これ」

 景光と共に零は首を傾げる。
 その零の手元のペンダントに目を向けながら、秀一は現状分かっている事実を述べた。

「宝石でもないし、ガラスでもない。弾丸を受け止められるこんな代物、菫はどうやって手に入れたんだ?」
「まーなんにせよ、これのおかげで俺は助かったのは事実だ。菫ちゃんには誠心誠意、謝る。その上で最上級の感謝も伝える。もうそれしかない!」

 秀一の疑問もなんのその、気持ちもまとまったらしい景光が宣言するようにそう言った。
 だがすぐに景光は少し躊躇いながら、何とも言えない表情で零と秀一に尋ねた。

「でもこれをゼロでも赤井でもない、二人ほどその価値を知らなかった俺に、お守りとして渡すって事に違和感があるんだよな……。なぁ、菫ちゃんはこうなる事、分かってたと思うか? そもそも俺達を繋げたのって……菫ちゃんだよな?」

 零も秀一もその言葉を否定できなかった。思い当たる事があり過ぎた。

「思い返すと赤井と一番最初に会う事になったのって、菫ちゃんが熱心に誘ってきたからだったよな? そうだろ? ゼロ」
「……ああ。菫はやたらあの時、年上の頼りになる男を紹介したいって言ってましたね。正直に言いますとね、赤井。菫が事あるごとに、それも惜しげもなく称賛するあなたの印象は、子供心に最悪でしたよ。今にちょっと引っ張っているくらいです」
「ふ、睨まれたのは覚えているよ。相当良いように言ってくれたようだな。菫は。だが俺も同じだ。とても優しくて頭の良い二人の友達を、どうしても紹介したいから会ってくれないか、とな」

 俺も少しばかり妬くくらいには褒めちぎっていたぞ、と秀一は照れもなくあっさり口にする。
 何やら菫による面映ゆい言葉を聞き、嬉しく思う気持ちもあった。しかし零を始めとするこの場にいる三人には消えない疑問が残ったままで、素直に言葉の通りに喜べない。

「ふぅ……つまり、僕達の過去からの縁も、ヒロが助かったのも、菫が何やら関わっているって事ですよね? そして僕達はそれを解き明かす情報が全く足りていない」

 ここにきて一気に菫の存在に謎が積み重なっていく。本来ならば警戒に値するほどだ。
 それでも三人はこの件に関して……菫に関しては、欠片ほども不安はなかった。

「まぁ、菫ちゃんなら危険性はないと思うけど」
「……あの菫だしな」

 事の発端が自分達が子供の時というのもあった。幼い子供に一体何を企てられるというのか、というものはなかなか崩しようがない。
 菫は敵ではない、自分達を脅かさない。あの悪意の欠片もない菫に何ができるというのだろう。そんな昔からの付き合いによる信頼もある。
 そして、何となく菫には常識を外れるような理由がありそうだと、それぞれが予感している事も原因かもしれなかった。

「菫ちゃんには聞きたい事は山とあるけど、しばらく連絡取れないよな……」
「潜伏生活が始まるヒロなら時間はとれそうですけど。僕なんかよりよっぽど」
「今後忍ばなくちゃいけない俺に、接触は許されないだろう?」
「会えない事もないとは思うがな。菫が何をどれだけ知っているのか、探りを入れる必要があるんじゃないか? もし何か感づいているのなら仲間に引き込むのが一番安全だ」
「……そうですね。ただ菫の事はありのままに上に報告するものでもない類です。少し常識を疑いますからね」
「俺も菫ちゃんの件の詳細は公安を通さない方が良いと思う。ただ、俺達の懸念がただの杞憂の時、何も知らない菫ちゃんを俺達の事情に必然的に巻き込む事にならないか?」

 景光たちは三人の出会いや景光自身に渡されたお守りの謎について解明したいとは思っている。だがそれは公安やFBIという立場としてではない。
 もしこれまでの全てが偶然の産物ならば、探りを入れられた菫は望まずして危険な情報を得る事になってしまうのだ。
 だが、そんな景光の不安を秀一は一蹴した。

「何も知らないというのは甘いんじゃないか? むしろ何もかも承知している方が自然だ。これまでの事を考えたら俺はそういう結論になる。そして菫は今まで俺達にそれを気付かせなかった。俺は菫を見誤っていたのではないかと思い始めたところだよ。元々昔から、少し不思議なところがあっただろう? 菫ならあり得なくないと、そんな気がしてる」
「「……確かに」」

 秀一の言葉に零と景光も種類は違うが謎めいたところが確かにあったと思い出す。

 答えが出ない疑問の果てに、三人は菫について雑談に興じ始めた。
 そして時間が来るまで菫に関する情報共有がこの頭脳明晰な男たちの中で行われる事となる。
 果たしてそれが菫にとって吉と出るか凶と出るかは、後に再会するその日まで不明となるのだった。



 ―余談ー

 ペンダントを片手に謝罪(と探り)に菫の家に後日訪なった景光は、泣きじゃくる菫と再会する事になる。
 涙する幼馴染を初めて目にした景光はしどろもどろに菫を宥めながら天を仰ぎ、心の中で呻いた。

(あぁ〜俺一人じゃ無理! 無理してでもゼロを連れてくるべきだった!)

 抱きついてきた菫の背後には……つまり景光の目の前には、青筋を浮かべたヴィオレが凄みのある美しさで微笑んでいたからだ。



小難しい事は考えずに、あースコッチ助かったんだーと、さらりと読んでくださいませ。ペンダントが弾丸を防いで助かった、みたいなあるあるネタですみません……。


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