今年一番の冷え込み


「寒い」
ゼラはそういって赤くなった鼻をすすった

「確かに今日はやべー」
俺も耳が痛いくらいだ
秘密基地から見える景色は間違いなく凍っている

ゼラの「今宵、解散」
のあとにぐたぐた話していると
あっという間に6時を過ぎてしまった
帰り支度をしていざ秘密基地から1歩足を踏みだすと
もの凄い冷気に俺もゼラもたじろいでしまった

そうは言っても
そのままで固まっている訳にはいかないから
自然と早足になる

「俺、この冬一番な冷え込みって言葉を何回も聞いた」
「確かに、僕もそう思う」
「毎日がこの冬一番の冷え込みだから困るよな」
お天気お姉さんの「この冬一番の冷え込み」に
俺とゼラは悪態をつき、そして少し笑った


空気が切れるくらいに張り詰めているから
蛍光町の薄汚れた空でも綺麗に見える

ゼラの横顔を見ると
ゼラの視線も紺色の空に向かっていた

「星がよく見えるよな」
「ああ、そうだな」

「あれは、なに?」
「あれは、オリオン座だ」

物知りなゼラは白い指でオリオン座を指し示した


紺色の空を指さすゼラの白い手は
コントラストがはっきりとして綺麗に見えた

「ゼラって冬が似合うな」
「寒い」
「お前、夏は嫌いだろ」
「暑いから嫌だ」

顔にあわない子供のような文句が可愛いかった

「でも、冬は嫌いではないな」

呟くゼラの白い手を俺は黙って握りしめて
ヨレヨレのコートのポケットに入れた

ゼラの指も氷のように冷えていた
「タミヤ」
一瞬訝し気な顔をして
少し抵抗するそぶりも見せたがすぐ大人しくなった


きっと俺のポケットの中のほうが暖かかったから

「タミヤ、皮膚温度高いな」
確かにゼラよりは高い気がする

ポケットの中のゼラの指先は
溶けだした氷のように
徐々に緩んでいった

「冬は嫌いでないな」
もう一度小さく呟いたゼラが可愛いくて
俺はポケットの中のゼラの華奢な手をぎゅっと握った



雷蔵「なにあれ」
ダフ「デンタク、手かして」
デンタク「ポッ///」
ジャイボ「うわーうわー…」
金田「タミヤ君、ベタだなぁ」
ダフ「ハァハァ…」
金田「田伏君落ち着いて」
カノン「ライチは…冷たいかな」
ライチ「温めて、おく」
ニコ「ゼラ…俺のゼラ………」


今年もよろしくお願いします


2011/2/1/Web


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