白黒


そこから後の記憶は途切れ途切れだった
タミヤは自分の中で逝ったのかすら定かでない
まともに歩けない僕は
タミヤに抱えられ保健室の白いベッドに寝かされていた

★★★

寝てたのだろうか
いや気絶してたのだろうか

覚醒した僕の視界に真っ先に飛び込んだのは
ベッドにもたれかかるようにして
床に座るタミヤの後ろ姿があった


窓から差し込む西日は弱々しく随分時間がたってしまっていた事が分かった

薄茶色のくせ毛ヘアーを見て
ムカつくような殺してしまいたいような愛しいるような
複雑な気持ちになった



「なぁ、ゼラ」
不意に声をかけられて驚いた
「タミヤも寝てるかと思った…」
「起きてる」


「お前、俺に優しくしてほしい?」
後ろ姿のまま呟いたタミヤの言葉にどう返事していいか解らなくなった


「だって、お前優しくした方が中が締まるんだもん」
起き上がる気力があるなら、こいつの後頭部をおもいっきり殴っただろう


「嘘だよゼラ」
僕の殺気に気付いたのかタミヤは起き上がってベッドの端に腰かけた


「ごめん、ゼラまた傷つけちまった」

なんで加害者の癖にお前が被害者みたいな悲しそうな顔をするんだ

被害者の僕はもっと情けなく悲しい気持ちになるじゃないか


「謝るなら今すぐ此処で死ね」


「嫌だ」
「なら謝るな」



完璧な人間なんて存在しない
タミヤだって同じで所詮は子供
正義のヒーローで明朗活発好青年も
自分勝手で我が儘で変態で暴力的で万年発情期の馬鹿男も
全てがタミヤ自身なんだろうと思う


だから全力で彼を受け入れる
彼なりの愛情表現を
とりあえず僕の命が続くまで…

「知っているか?僕だって君を愛しているんだタミヤ」

この無茶苦茶な男を真相愛している

「ただ優しくしておいた方がいい。僕は先に命が尽きるかもしれない」
タミヤはクスッと笑って僕の乾いた唇を自分の唇で被った
血の味はもう感じなかった
タミヤの傷が癒えたような気がして少し満足した

君を愛している
自分の中の結論に納得して目を閉じた


2009/12/34/Web



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