僕の君


ねぇ僕が
口汚く君を求めたら
君はどんな顔をする?

本当は誰にも渡したくはないんだよ僕だって


ジャイボを見ている
僕の頭の中に軽蔑と頭大丈夫?って心配と若干の羨ましさが芽生える

本当好き勝手だよねこいつ
頭おかしいんじゃない?って思う判明
素直に素直すぎる程に感情を現して
周囲に悪影響を及ぼしたり八つ当たり出来る
脳みそが欲しくなったりする

常川も大変だな
僕はそんな事を考えながらも
親指の爪を噛むしか出来ずに
光クラブの隅でうずくまる

カンだけは良いジャイボが僕の顔を覗き込んだ
「カネダ、僕に何か用事??」
「べ…べつに」

この綺麗な綺麗な美しい顔が
堪らなく羨ましくなるのもいつも
だって僕と全然違うし
こんな綺麗な顔で自分が悲劇のヒロインのように
立ち回る、こいつがムカつくのも事実

知らず知らずに親指の爪を噛む力が加わった
「あ、」
プツンの皮が開いてみるみる赤い血が浮き出てきた
「噛みすぎだよカネダ」
ジャイボが馬鹿にしたように笑って続けた
「王子様が来たから手当してもらいなよ」

キャハ★っと残してお前に用はないよ、と
つかつかと僕の元から去っていく
入れ代わりに来たのがタミヤ君だった

「わりーカネダ、掃除当番が遅くなって」
太陽みたいなタミヤ君の笑顔は薄暗い灰色の僕には眩し過ぎる


「あ、カネダ」
タミヤ君は僕の横に腰を下ろして
僕の右手を奪った

「お前、また噛んだだろ」
タミヤ君の大きな手に捕まれた
僕の手は、親指はまだ血をだらだらと流してた
同じ所を噛むから中々治らなくなって

「リク痛い?」
急に下の名前を言われてビックリする
「ううん、痛くないよ」
僕はモヤモヤと形のない自分を傷付けないと
誰か、、いや、タミヤ君を困らせてしまうんだ


「リク」
「ん?」
「舐めてやるよ」
そう言ってタミヤ君は僕の指先に舌をはわした

「ん、くすぐったい」
「舐めたら治るって」
悪戯っ子のように笑ったタミヤ君の
赤い舌先が僕の爪と肉の間をつついた
痛いようなむず痒いようなくすぐったいような


「なぁリク、お前に傷がついたら、俺が舐めてやるよ」
顔を上げたタミヤ君の目が真剣で僕は吹き出してしまった
「ふふ、タミヤ君面白いね」
「笑うことないだろ」
しょんぼりした大型犬のように大袈裟に肩をおとした


僕の癖を知ってはいてもそれを否定しないタミヤ君
僕を否定しないタミヤ君
タミヤ君だけをもっと好きになる
重たい愛情を勝手に抱えこむ

ねぇタミヤ君本当に?
タミヤ君が慰めてくれるなら
僕は死ぬ寸前まで自分で自分を傷付けるよ
途中で死んじゃってもいいかもしれない

こんな事を口に出したら
君はどんな顔をするんだろ

僕だけのタミヤ君で居て欲しいんだ



2009/12/34/Web

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