白黒


その日のタミヤは酷く不機嫌だった
それは別のクラスで廊下ですれ違うだけの僕でもすぐに分かるほどのものだ
理由は知らないが、大方風紀の教師に因縁をつけられたか
喧嘩をふっかけられたかであろう
僕はこの後の時間の身の振り方を考えてため息をついた


昼休みの時間に予想通りタミヤは現れた
次の数学の授業の準備をしていると一言
「行くぞ」
その言葉に返事をする前にタミヤは僕の二の腕を掴んで離さない
引きずられるようにして教室を後にした僕は
残された机の上の数学の教科書を思って、ため息をついた


タミヤが向かったのは3階の理科実験室の横のトイレである
移動教室として使われるので
生徒の出入りは他よりずっと少ない場所だった

そして3個目、入口から向かって一番奥の個室に
僕を連れ込み後ろ手で鍵を閉めた

殺風景な洋式トイレ
うすよごれたタイル
黄ばんだ天井
どれも今のタミヤにピッタリであり
自分の危機的状況を物語っている

「随分と悪趣味なんだな」
やっと言葉にだすと
不機嫌そうな顔をしたタミヤにおもいっきり叩きつけられ
僕は洋式トイレのフタに腰をしたたか打ち付けた


2009/12/34/Web

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