ライチひよこ★クラブ

俺、タミヤヒロシは保育園で先生として働いてます
今日も仲良く楽しい1日を送る為に…

””ギャアアァー””
教室からの大絶叫と
””ドンガラガチャガチャーン””という
すさまじい崩壊音に俺は教員便所からダッシュ
それはもう陸上部レベルのダッシュ
残尿感を感じつつダッシュ


ガラっ
「ハァハァ…」
横開き扉を開けるとそこはまさに地獄絵図
とっくみあいの喧嘩


「ハァハァ…ってストップ!!!」

乱れた息のまま俺は大声を出すと世界がフリーズする
そこには慌てて積木をぶちまけた田伏
よく解らないけどハイテンションで騒いでいる市川
暴れん坊で可愛いのは顔だけの雨谷
我が儘ですぐ拗ねてふて腐れる常川
泣き虫の金田がしくしく泣いていた


「ああ、もう」
俺はため息をつく
「僅か1分で何故こうなるんだ」

ガラッ
ドアの開く音がして振り返ると
隣のウサギ組のいかつい石川先生の姿が
相変わらずウサギのアップリケ付きのピンクのエプロン全然似合わねーな

「ごめん、タミヤ!雨谷と市川がこっちにきてないか?!?!」
鬼の形相で迫る石川先生に
”居る居る”とおちびさんを指さすと
雨谷がギャンギャン泣き出した
「やだやだ、僕、ゼラと一緒じゃなきゃやだぁぁ」
ゼラとは常川のあだ名だ
泣きわめく雨谷の顔を市川がティッシュでゴシゴシ拭いている
雨谷は涙と鼻水と市川の親切?でぐちゃぐちゃだ

「はいはい、雨谷君、ゼラは終わりの会の後に迎えにいくからねー」
石川先生はそう宥めつつも市川と雨谷を一瞬にして小脇に抱えた
「キャー高いっ高いわっ」
市川はなおもハイテンションで手を叩いて喜んでいる
「絵本を呼んでる途中で気付いたら2人居なくなってたんだ、スマン、タミヤ先生迷惑かけた」

「だって、先生の桃太郎説教くさくて、つまんなかったんだもん」腕の中で市川は呟いた

「ぅぅっひくっ…僕お腹空いたよー」雨谷は空腹をうったえた

石川先生はそのまま煩い2人を抱えてズカズカとうさぎ組に帰っていった


「はぁ…」
嵐のような2人が去っていった
あまりの騒音に隣のネコ組のカノン先生が顔を覗かせた

っていうか
「田伏はネコ組じゃ」俺を見てヘヘと笑う田伏
「あら、本当!すっかりヒヨコ組に混じってたわね」
天然ボケしてるカノン先生は田伏の手をひいた
「ところで、どうしてヒヨコ組にいたの?」
カノン先生が田伏の頭を撫でながら声をかけると
田伏はニヤニヤ嬉しそうに笑って
「だって、カノン先生が迎えに来てくれるから」
と呟くのであった
こいつはこの年ですっかり色ボケ
美人のカノン先生の気をひくための脱走か
「あら、田伏君プレーボーイ。さぁ帰りましょ」
俺はもう一度ため息をついた


ふぅと息を吐く
自体は大分収集がついてきた
あとは自分とこのヒヨコ組の泣き虫な金田と拗ねる常川か

「どうしたんだよ金田?」
左手で金田を捕まえて尋ねる
そのままでは常川がもっと拗ねるので右手で常川を捕獲

「…常川君が」
泣き声で金田が呟くと右手の常川がギッと金田を睨み金田はさらに萎縮した
ああ、話すすまねぇーよ


要約するとこうだ
金田「先生(俺)に絵を褒めて貰えたんだよ!」
常川「お前の先生(俺)じゃない」
金田「なんだよ常川君は雨谷君が居るからいいじゃん」
常川パンチ
金田キック
…地獄絵図

「はぁ、もうお前ら馬鹿だな」
とりあえず興奮状態から冷めさせないとな

俺は2人の間に座り小さな2つの背中を脈拍でさする
金田の息は整いだした
逆に常川は我慢してたのか大粒の涙をボロボロこぼした
「常川、大丈夫か?」
「タミヤが悪いんだぞ」
そういって涙と鼻水をぬぐった
俺のTシャツの袖で


しばらくすると2人は俺にもたれかかるようにして眠ってしまった
泣き疲れだろ

俺は2人を起こさないように細心の注意を払って
布団に移動させた
やれやれ
2人が起きたら、もう一度2人の絵を褒めてやろう
そしたら次は仲直りだ
考えつつも、やっぱり可愛い2人に自然と頬が緩み
しばらく、俺は枕元から動けずにいた


2009/12/34/Web



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