気が付いた俺は見慣れぬ天井に飛び起きた

…と言いたいんだが
「いってぇぇ」
切り傷をえぐられたような痛みに
そのままベッドに逆戻り
ベッドに寝てるだけでもずきずきするし
起き上がるなんて勿論無理

そのままベッドに身体を預けつつ目だけで
キョロキョロと周りを見る

俺を散々な目にあわしたゼラが見当たらない

「…ぜらぁ」
俺は掠れた声でゼラを呼んでみた
それで気付いた俺は喉が渇いていた


呼んで暫くすると
恐々とゼラがベッドの近くまで歩いてきて
俺の顔色を伺うよいに覗き込んできた

そのあまりに酷い顔に俺は吹き出した

「はは、お前なんて顔してんだよ」
見上げたゼラの顔は泣き腫らした跡でむくんでいた

「だって…タミヤ…僕は」
嗚咽混じりのゼラの言葉と涙が俺の頬に落ちてきた


あーかっこいい筈なのに
全然かっこよくねぇな
超エリートなのに頭いいのに、美形なのに
不細工過ぎて笑ってしまう

「笑うなよ…タミヤ」
「いやだって酷ぇ」
ゼラの乱れた前髪を指で救って
そのまま頭を撫でた
ゼラは大人しくされるがまま
鼻すすって小学生の時と同じ
喧嘩したあとのゼラってこんな弱々しさだったよな…


俺は知ってる
こいつが誰より繊細で傷つくのを恐れる
不安ばかり抱えるマイナス思考の塊なこと

馬鹿みたいな不安で押し潰され疑心暗鬼になるのに
人に嫌われるのが何より辛いのに愛されたいのに

慢性的な愛情不足に癇癪起こすガキだ
それを隠すように強がって見せて理論武装する

とりあえず、こいつは相変わらず情けない奴なんだ


「世界の終わりみたいな顔すんなよ馬鹿

なぁ、俺、喉が渇いたんだけど
お前が世話してくれんだろ?」

俺はゼラの問いにはっきりとは返答しなかったけど
そう言うとゼラはやっと安心したのか
強張った表情を解いて笑った
「勿論だよ、タミヤ」

ゼラの頭を撫でてた手を頬までおろして
ゼラの涙のあとを拭いた

俺はなんとなく自分の人生の歯車が少し揺れ動く…そんな予感がした
スローモーションになっていた時が動き出した


とりあえず今は早く水が飲みたい
「ゼラ、水」
ゼラは、はにかんだように笑って頷きベッドを後にした


俺はゼラの気持ちに答を出せてない
お構いなしに返事する前にやられちまったけど
でもまぁ、悪くねぇかと思うんだ
重たくなった瞼を素直に下ろし
続きはまた今度考えることにする
→continue…


2009/12/34/Web

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