センチメンタル少年8

完全にしてやられた


俺の不安や悩みは呆気なく掻き消された
本当自分でも飽きれるくらいに都合のよい俺なんだが
ゼラの一言でフィルターがかかっていた世界が
一辺してクリアに見える…ような気がする

何より胸の重さや苦しさが
スッと抜けていって身体が軽くなったような気がする

唇はゼラの柔らかい感触を覚えていた


「しかし、タミヤの泣き顔は見物だったな

しつこく繋いだ俺の手を見ながらゼラが続けた


あれは小学生の時に僕がチェスでタミヤに勝った時以来だ」
ふふっとしたり顔でほくそ笑む姿がムカつく


「うるせーよ、必死だったんだよ」
ゼラに拒まれる事とか考えたら必死にだってなるさ


「ふふ、あの顔を女子共に見せてやりたい」


くそ、この野郎
さっきまで赤くなってたくせに
自分だけ冷静になりやがって


俺は今だにこんなに掻き乱されているのに
あんな情けない顔、お前にしか見せれないよ
あんな取り乱す俺だって、お前にしか見せれないよ

「言ってろよ、いつか泣かしてやるからな」
俺の立場はいっこうに変わらない


「ゼラ好きだ」
けど、今はもう少しこの気持ちに溺れてしまいたい

そして出来れば
もう一度俺から今度は柔らかいゼラに触れてみたい

「知っているさ」
ゼラは返事と言わんばかりに俺の手を強く握り返した


2009/12/34/Web

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