メイに貰った風船の紐を少しひくと
ふわふわと浮く風船が自分のほうに流れてきた
柄にも似合わずドキドキと早鐘をうつ鼓動にアクロマは息をついた


アクロマさんに風船を渡したくて
そう言われてアクロマは複雑な気持ちになった

わたくしの為というのでしたら
それは…素直に喜べない自分と
幸せそうなメイとポケモン達に温度差を感じた
複雑な気持ちのままアクロマは笑ってみせた


カタカタとアクロマのモンスターボールが揺れる
気付いたアクロマが手持ちを部屋に放してやる


メタグロスが嬉しそうに風船をつけろと近寄ってきた

「嬉しいのですね」
ふわふわ浮くメタグロスにオーベムとロトムがじゃれついた

そしてジバコイルやギギギアルが
ずるいずるいと言わんばかりに鳴くのであった



「アクロマさんこんちにわー」
ワープゾーンを抜けたメイが見たのは
風船の取り合いをするアクロマとアクロマのポケモン達

「こら、ギギギアル風船割れるでしょ」
「ロトムは浮いてるから風船いりません!」
わーわーガチャガチャ音をたてる姿にメイは笑ってしまった

オーベムがアクロマの白衣を引っ張ったときに
アクロマはやっとメイの存在に気付いた

「あ…お見苦しいところをすいません!」
そういうか言わないかのうちにギギギアルがメイに向かって走っていった


「あはは、アクロマさん」
ギギギアルがメイにねだるようにじゃれついたのをみてアクロマは思う


きっとわたくしのポケモンの可能性も
わたくし自身の可能性も
きっと彼女が握っているだと

彼女を愛してやまないわたくしと
彼女を愛してやまないポケモン達は
連動しているのだと

彼らは私の心とシンクロノイズし行動に移すのだと
それは到底数式化することは不可能だが
確かにそうであると
心というのは説明するのが難しい


ポケモンに囲まれ笑うメイにアクロマは言う

「わたくしのポケモンは貴方が好きです

そして…



わたくしも貴方が好きです!」
弾かれたようにメイはアクロマの胸に飛び込んできた

「私もアクロマさんが好き」

震える小さな肩をアクロマは優しく抱き締めた






2012/ / /Web

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