拍手再録@(実弥) 

最近実弥さんと同棲を始めたばかりの部屋、ソファの上で、私はもう随分長い時間スマホの画面と睨めっこをしている。通販サイトでコーヒーメーカーのレビューをしらみつぶし。
私も実弥さんもコーヒー好きでよく飲むから、なるべく美味しいのがいい。だけど予算の都合と実物の大きさによって置けるかどうか、その中からいちばんレビューで評判のいいのは…でも上位機種も気になるし…と探し始めるとこれが結構沼でして。

「金は俺が出すっつってんだから、どれでも好きなの買っちまえよォ」
「うううでもね、高ければレビューもいいって感じでもないみたいなんだもん。高いのに美味しくないって悲しすぎる」
「高いやつは期待値上がってっからだろォ」
「あーそういうこと?うーん…」
「なァそれより、」

じゃあもう割り切って価格帯を真ん中辺りに絞って、と検索をやり直そうとしたけど、ダメだ、集中力が切れちゃった。コーヒー飲みたい!
思い立ってソファから立ち上がると、腕の半端なところを実弥さんの手が掠っていった。「あ、ごめんね、なぁに?」と振り返ると、「…ナンデモ」と少しご機嫌斜めのご様子。

「コーヒー淹れるね!」

私にはリフレッシュが必要、実弥さんにはリラックスが必要。つまりコーヒーが最適解だと思うのです。
いつも通り薬缶にお湯を沸かしつつ豆とマグカップの準備、クリームは私だけ…としているとお湯が沸いて(IHって速いよね)、コーヒー豆の真ん中に人差し指の先をちょんと置いて『か〇め食堂』の真似でおまじない、慎重に、豆の真ん中に向かってお湯を下ろした。
ふんわり立ち昇るコーヒーの香り。好き。
コーヒーを淹れる作業も好きだし正直ハンドドリップのままでも困りはしないんだけど、でもなぁ、レビューで褒めてあると気になるじゃない?
と、思ってると、いつの間にか背後に実弥さんがいて、私の背中にぴったり覆い被さった。

「…なァ、やっぱコーヒーメーカー買うのやめようぜェ」
「うん?そうだねぇ、場所取っちゃうし決められないし…うーんでもなぁ…」
「置き場も機種もいいんだけどよォ、コーヒー淹れてるお前見るのが好きなんだよ俺ァ」

ほんと手元が狂うからやめてもらえませんかそういうこと!!好き!!

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