爆豪とお疲れ彼女
「はぁ」
玄関でため息一つ。珍しく仕事で落ち込むことがあった。そんな日に限って彼は不在。別に慰めてくれるわけでもないけど。
今日みたいに帰りが遅くなる時は決まって先に帰っている勝己くんがご飯を作っていてくれるのに今日はそれもない。
「ご飯……お腹すいたけど作るのめんどくさいな……」
コンビニでなんか買ってくれば良かったと後悔してももう遅い。家から出る気力は無い。何かすぐに食べられるものはないかと冷蔵庫を開けるも、料理をすることが多い為火を通さずに食べれるものは生野菜と調味料のみ。
「……お風呂はいろ」
お風呂も掃除からか。もう何もかもが面倒くさい。いっそこのまま寝てしまおうかとソファで項垂れる。
「明日も仕事か……」
何度目かわからないため息とともに目を閉じてそのまま意識を飛ばした。




「………い……おい……」
遠くで誰かの声が聞こえる。寝ちゃったのか。でも家には誰もいないはず。これも夢か……?
「オイ!!」
大きな声に目を覚ますと目の前に眉間にものすごくシワの寄った勝己くんが立っていた。
「……夢? 」
「アァ?」
シワはさらに深くなる。現実?
「帰ってくるの明日じゃなかったっけ」
「早く片付いた」
「そっか……」
まだボーッとしている頭でなんとなく状況を把握した。それと同時にお風呂もご飯も何もできていないことを思い出す。
「ごめ」
「飯。どうせ食ってねえんだろ。作るから風呂行け」
「お風呂もできてないの……」
「沸かした」
「えっ」
「ンだよ」
帰ってきてソファで死ぬ私を叩き起こしたのだと思っていたけど、お風呂が沸いたから起こしてくれたってこと?なにそれ。勝己くんの優しさに思わずにやけてしまう。追求したところで怒られるのは分かっているため心にしまっておく。
「なんでもない。ありがとう、好き」
ニヤニヤしている私が気に障ったのか舌打ちをしてからしっしっと手で追い払われた。ルルンルンでお風呂へ向かった時にはもう仕事のことなんて忘れていて、勝己くんがいないとダメだなあと改めて実感した。




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