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▼ 法医学部のお姉さん(探偵:松田?)

東都大学医学部法医学科。
当大学医学部においてもっとも異質な空気を醸し出す学科である。

そもそも、法医学とは。
簡単に言うと犯罪医学である。
殺人などによりご遺体が出た場合、医師による死亡宣言の後、検視官による検視が行われ、司法解剖が必要かどうかが判断される。
必要ならば、大学で法医学者による司法解剖が行われる。

法医学者は法医学の知識に基づき、死後何時間経っていて、死因は何なのか、凶器は何なのか、死亡に至るまでに何を食べたなどなど事細かに調べるのだ。
大半の情報は基本的には死因には関係ないものだ。
が、一粒の玉を見つけるためには砂をすくってみなければ始まらないのと同じで、見てみなければ始まらない。
亡くなってしまった方、ご遺族の方のためにも、犯人に近づくための大切な行為で、学問であると思っている。

もちろん、ご遺体を傷つけるこの行為に理解を得られない場合もある。
それが原因で死因が特定できず、犯人を取り逃がしてしまったことももちろんある。
しかし彼らは仇討ちよりも故人をとっていると割り切って、いる。、、、割り切るしかない。
犯人が野放しになろうとも、故人や遺族に捕まえられなかったことの責を負わせるべきではないから。
負うべきは警察機関なのである。それが仕事だから。

さて、私の母校は東都大学だ。そして所属は医学部法医学科。
今の私の大学の立ち位置は法医学科教授。
生徒に法医学を教えながら論文を書き、犯罪都市米花においてポンポン上がってきてしまうご遺体の司法解剖を行う、解剖医でもある。

「ああああ、終わった、、、」

今日も今日とて解剖三昧。
提出予定の論文は一文字も進んでいない。進むのは報告書のページと束だけ。提出日は一か月後。
真面目にやばいが犯罪都市が眠らな過ぎてそれどころではない。
解剖する前から犯罪性が強いご遺体なんて、そうそうあってほしくないものだが、ここは米花町である。
食中毒かもしれないからと、行政解剖したら司法解剖の方でしたとかいって引き取ることになるのはざらである。保健所的には衛生上問題ないことがわかっていいのかもしれないのだが、引き取るこちらは増え続けるご遺体に悲しくなる。
これで私授業も受け持ってるんだぜ。つらい。

前任がもう隠居する☆なんて言って教授職明け渡してさっさと逃亡したせいで、私にくる仕事量は常人のそれではない。
もともと私の所属する研究室は、教授を含め4人で業務を分担していたのに今は1人でそれをこなしているのだ。量は推して知るべし。

他の人はというと。
私を含め3人いた助教。
私は3人でそこそこ仲良くやってきたと思っていたのだが、他2人的にはどうも違ったらしい。
教授がいなくなるとわかった瞬間、殺し合いをはじめた彼ら。
仲良く共倒れをしてくれた。
私だけ残るやつである。
勘弁してくれ。何でみんなこんなに殺意高いのおかしいでしょ。

私が狙われなかったのは、単に順番の問題だったらしい。
私が教授職にさして興味を示さなかったのも理由の一つだとか。
確かに助教よりはお給料いいし、研究費も増えるけど、法医学の教授なんて東都において忙殺されるだけの社畜職である。ホントに勘弁して。
ちなみに前任は生きている。でも帰ってくる気はないらしい。解せぬ。

日本において、司法解剖、行政解剖の解剖率はそれほど高いとは言えないし、なんなら人手不足が叫ばれているのだが、その中でもここ東都の人手不足はダントツである。ホントに足りない。
なんなら安置室が核シェルターレベルでどんどん立派に大きくグレードアップいていくレベルでやばい。
そこにお金をかけるなら人増やして、、、増えないんですよねわかります。

そもそも苦労して医学部受かって、医師や医学者ではなく法医学者を目指す人材がどの程度いるのか。
少なくともここ東都では医師不足も深刻なので、この大学でも普通に医師を目指す人が多い。
、、、、犯人はお医者さん、なんてこともあって減っているのも突っ込んではいけないことなんだろう。
法医学も正直私自身ドラマを見て知ったくらいだ。
何のドラマ?海外の科学捜査班です。監察医の皆さんはどのシリーズも好きです。日本だと法医学部生が頑張るドラマがあったような。あのサントラ実は今でも好きだな。閑話休題。

現在この大学において法医学者を目指す人材がそれほどいないのは、教壇に立つ上でヒシヒシと理解している。
それでも必要なことなので、是非こちら側へ来てほしいものだ。

「せんせー、結果取りに来たんだけど―」
「あー、はいはい待っててー」
「ういーっす」

ひょこ、と研究室に顔を出したのは東都大学生、ではなく、警視庁の刑事さんである。
名前は松田陣平。
元機動隊員現警視庁捜査一課所属のイケメンさんである。

「うわ、今日は一段と荒れてんな。何徹目だ?」
「あはは、お恥ずかしい限り、、。まだ3徹目だよ。これから論文書かないと」
「いやその前に寝ろよ」
「これちゃんとしないとゼミ生来なくなっちゃう。人員が育たないのと研究費削られちゃうのは困る。
資材費はいっぱい下ろしてくれるのに、、、、解剖だけするのは私の精神が死んじゃうわ」
「あー、、、大学の先生も世知辛いんだな」
「日々研究費の取り合いだからねー」

だからと言って他の先生はこっちに来てくれないんだから世の中ホントに厳しい。
殺人なんか犯さないでこっちで解剖手伝ってよホントに。

――――
力尽きました、、、orz
この辺のデリケートなところは調べても限界が早くて知識不足がすごいです。
こういう系のドラマを見直したり見たりしないとダメかなあ、、、。

こんな感じで頑張る教授に、なんとなく気にかける松田さん。
松田さん的には惹かれているのを自覚しているので、チャンスを狙いつつ構い倒すけれど、教授的には何徹もしてボロボロの状態を見られすぎて意識する気がないのですれ違うとか。
え?松田さんがわたしを?ないない、ボロぞうきんみたいな女をあんなイケメンが好きになることなんてないでしょ、みたいな。
肩ひじ張らないで自然体かつ仕事に全力なところがいいようですよ。
くっつく山場でちびっこ探偵と遭遇、事件に巻き込まれ、ご遺体に触りに行くちびっこ探偵の手を教授が掴んで触るなと凄んだり、そのせいで目を付けられて、数少ないデートの度に発見尾行される、からの、大小なんやかんや事件に巻き込まれるとか、、
こういう系のお話書いてくれる人いないかなあ、、、
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