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もし娘主がファミリーを抜けてたら

多分自力では抜け出せない(悪く言うと洗脳)なのでローと一緒にコラさんに連れ出してもらったんじゃないかな…でも子供二人連れて病院巡りは大変なので娘主の方はコラさんの知り合いに預けられた、みたいな。結局コラさんが迎えに来ることはなかった…切ねえな。
しかしドンキホーテファミリーで過ごした時間が短いからそんな強くない(特に剣術とか覇気とか)。まあ父親がドフィなんである程度は強そうだけど。



ということで麦わらに参戦してみた。


この首に懸賞金がかかった時点でやめるべきだった。たとえどれだけ仲間に引き止められようと、その仲間を傷つけてしまっては本末転倒だ。いや、そもそも海賊になど、そんな目立つことをすべきではなかったのだ。永遠に怯え、逃げ惑い続ける日々を送るのに変わりはないのだから。

だから、ああ。どうしてこんなことに。まるで、呼ばれているみたいだ。いや、呼ばれているんだ。

「―…。」

ずっと略称で生きてきたから、久しく耳にすることがなかった、もう捨てたつもりだった本当の名前を呼ばれる。平均より高い身長を誇る私でさえまだ見上げなければならないその長身は、距離が縮まっているというのにむしろ恐ろしく感じられた。

「久しぶりだな、俺の娘。」

その言葉に周囲がざわめく。違う、と否定したくても、事実を否定したところでそれは嘘に過ぎない。認めたくなくてもそれは事実だ。

「…ええ、久しぶりですね、お父様。」

笑みを浮かべて、そう返事をした。背に回した手で撃鉄を起こしながら。



ハートの海賊団に入ってみた

前提として、ロシナンテにローと娘ちゃんが一緒に連れ出される→娘ちゃんは知り合いに預けて、ローとロシナンテで医者巡り→ミニオン島→ハートの海賊団立ち上げ→娘ちゃん探し出して合流
・真改持ち
・この場合呼び名は『ルシー』ロシーではないしネアでもない。

inシャボンディ諸島

「そういう趣味でもお有りで?」

「さあ、どうだと思う?」

いかにも不服ですといった顔で、そう尋ねてきたルシーに、ローはにたりと笑ってそう答えた。

「わざわざここに来るなんて意味が分かりません。もし私達を知っている者がいたらどうするのですか?」

「ぶん殴れ。」

「医者とは思えない脳筋発言…。」

ルシーは、深くかぶったキャスケットのつばを持ち上げ、ステージを睨む。とても見覚えのあるマーク。それもそのはず、ここは、王下七武海ドンキホーテ・ドフラミンゴの管理下にある"職業安定所"、なのだから。

「なんだ、自分の腕に不安でもあるのか?」

「正直、幹部クラスに勝てる気はしないですね。」

「幹部はおれがやるから雑魚は全部お前がやれ。」

「ハードすぎでは?」


ドレスローザ後時間軸

ただ一つの武器、真改を全身で抱え込むようにして、娘は後部甲板に一人、座っていた。あの島を訪れる前後で最も変わったであろう少女。かつて隠されていたその顔は今や太陽のもとに晒され、しかしその表情から曇りが除かれることはない。

「泣き止んだか。」

「誰が泣いてるっていうんですかあほファルガー。」

「何か言ったか。」

いかにも"一人にしてくれ"と言わんばかりの少女のそばに腰を下ろし、ローは海を見る。すでに、ドレスローザは水平線の彼方へ消え去っていた。

あのとき、ディアマンテから学んだ剣で、父譲りの色彩を宿した少女がドフラミンゴに引導を渡したのだ。彼女自身の自由のために。しかし、それがどうだ。

「あの時の勢いはどうした。ドフラミンゴの操り人形にはならないって言い切ってただろ。」

「そうなんですけど……。」

俯けば、長く伸びた金の髪が少女の顔を隠す。少女は躊躇うように息を吐き、やがて、口を開いた。

「私がお父様のようにならないとも限らないじゃないですか。」

「世界を壊すと?」

「はい。」

少女の言葉が、どうにもローには理解し難かった。ドフラミンゴは、過去に受けた仕打ちあってこそ、世界を壊すなどという壮絶な願望を抱くに至った。だが、彼女にはそんなもの有りはしない―はずだ。

「私……お父様の悪行を糾弾する気にならないんです。おかしいですよね。悪いことだとは分かる、けれど、それがどうしたと言ってしまう自分がいるんです。」

ローは絶句した。あのドレスローザの惨状を見た上で、なおドフラミンゴの罪を―容認すると?

「きっと私は生まれながらにして悪の存在なんです。お父様がそうであるように。」

「性悪説か?」

「いいえ、そんな難しい話じゃないです。そして私はお父様よりも単純で、なんの理由もなく、世界を壊そうとするかもしれない。」

「それは…。」

どう返事をすればいいのか、ローには分からなかった。随分と長い付き合いのあるはずの少女が、まるで得体のしれない、怪物にでも思えてしまう。

「ローくん、そうなったら私を殺してくださいね。」



麦わらに参戦せずドフラミンゴに捕獲されたら
(又の名をヤンデレお父様に愛されて夜しか眠れないルート)
娘ちゃんの使用武器は太刀『真改』


暗い。真っ暗だ。
どうしたことだ、と身体を起こす。意識はあるのに、視界が暗い。何が起きているのだろう。アイマスクでもしていたか、と目元に手をやるが、瞼は正常に開いている。
まさか、真っ暗な部屋に閉じ込められているのだろうか。箱とか、地下牢とか。そんなところに閉じ込められる心当たりもない…?

そこまで考えてはっとする。そうだ、私は何をしていた?何故寝ていて、今どこにいる?

必死に記憶の糸を手繰り寄せる。思い出せ、早く。心のどこかがそう急かした。私は、そうだ、偉大なる航路を逃げ回って、時々賞金首を捕まえてお金を稼いで、また逃げて。気づけばシャボンディ諸島まで来ていた。そこで、私はあのジョリー・ロジャーを目にして、別の島に移ろうとして。

移ろうと、した。

脳裏に鮮烈なピンクが浮かび上がる。能力で作られた糸は、真改で辛うじて切ることができたけれど。曇り空。どこまでも追ってくるあの男に、私は…?

「よう。目が覚めたか、お姫様?」

ドアノブが回る音とともに聞こえてきた声に体を硬直させる。まさか、私は捕まってしまったのか。せっかくロシナンテが逃してくれたのに。

「………お父様」

できればもう二度と、この音を発することがないようにと願っていたのに。

「元気か?痛いところはないか?」

今更何を心配しているのだろう。こちらを捕まえる際になんの手加減もしてこなかっただろうに。

「元気ですよ。」

「そいつは良かった。シーザーのやつが薬を多くしすぎたかもしれないだのと抜かしてたからな、心配したぞ。」

「…何ですって?」

薬?何か投与されたらしいという話に全身の毛が逆立つ。しかも投与したのはあのMADシーザー・クラウン。もしやこの真っ暗な部屋と関係あるのだろうか。日光を浴びると瀕死になる薬とか。

「あァ。お前に逃げられると困るからなァ。」

ぺたり、とドフラミンゴの手が頬に伸ばされる。子供の頃と同じ。―あれ?
ドフラミンゴは、こちらの居場所がわかるのか。

こんなに真っ暗なのに?

何かがおかしい、と身体が震える。いくら常日頃サングラスをかけているドフラミンゴといえど、それほど夜目が効くはずもない。見聞色の覇気か?―そうだ、見聞色。ドンキホーテ海賊団から逃げ回る際に便利だからと独学で極めた覇気を展開する。極め方によっては未来予知もできるそうだが、未来ではなく、現在を知る方向に研ぎ澄ませ、一定範囲内の人物の視界を覗き見る能力を得た。
針の穴に糸を通すような感覚。一度、耳鳴りのような高い音がして、ドフラミンゴの視界を得る。

「…え?」

こちらを見上げる赤い瞳は、ルビーのように澄んでいた。
ドフラミンゴは両手で娘の顔を包み込み、親指で頬を撫でる。柔らかな白い陽光が差し込むベッドの上で繰り広げられる光景。状況が状況でなかったら、映画のクライマックスにありがちなシーンだと感想を漏らしていただろう。

―この父親は、娘の視界を奪ったのだ。

理解すると同時に、理解できないと心が、魂が、体が叫ぶ。喉が涸れんばかりに絶叫し、離れようともがく娘を、しかしてドフラミンゴは両腕で抱きしめる。

「おかえり。俺の可愛い娘。」

もう二度と離してなるものか。

かくして、12歳の王妃は戴冠した。

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