桐野さまの頂き物
「ただいまー。」
大好きな恋人が、帰ってきた
「おかえり傑。どこ行ってたんだよ?」
「…コンビニ。アイス買ってきた」
「あ、はいよ。それお前のぶん」
そう言って渡されたアイスはチョコ味
何も言って無いのにちゃんと俺の好きな味を買って来てくれた。本当、こういうところ優しいんだよな
「…ありがとう、傑」
普段は言えないから言って見たくなった言葉。俺がそを言うと傑は若干吊り気味な瞳を見開いて驚いている。
たまには驚く姿をみるのも楽しいってもんで、もっといじってみたくなったけれど、傑が言った一言によって俺の願望は崩れ落ちた。
「言葉だけじゃ足りないからキスして?ほら、」
はあ?なんで?こいつ絶対面白がってるだろ
お礼のキス、なんてそんなベタな事したい訳がないけど、こっち向いたまま目を閉じて俺からのキスを待ち遠しそうにしてるお前を見たらキスしなきゃいけない気がして。
「…一瞬だけだから」
そう吐き捨て目を閉じて、ほんの一瞬だけ傑の唇に触れた。
俺が自分からキスすることなんて滅多に無いから、慣れなくて違和感があるキスだったけれど、目を開けばそこには少し驚きつつも満足そうな笑みを浮かべた傑がいた。
「まさか本当にキスしてくるとは思わなかった……」
「え、お前、もうちょっと俺の事信用しろよ…」
「だって荒木いくら言ってもしてくんないからさ。いつも俺がしてばっか、たまにはキスしてくれたっていいじゃん」
「だって……ほら、やっぱ自分からするのは慣れないって言うか…なんかこう…あー!!!もう、とにかく俺は傑からキスされんのが一番好きなんだよ!!」
本当はただ単に恥ずかしいってだけなんだけど、それは言えない。
だって傑がまた満足な顔し出したんだもん。
――ほら、また言い出した
「今の本当?それなら好きなだけキスするよ。俺にされんのが一番なんだろ?」