ふたりじめ


バレンタイン


それは世の女の子にとって大切な1日
それでいて男の子にとってはそわそわしてしょうがない日


でも俺には、
ちょっと辛くて寂しい日

チョコがもらえるもらえないと言うよりは
好きな人がチョコをもらってしまうのが
ちょっと切ないわけで。


そりゃ女の子だってそれなりの覚悟があって
祐介にチョコを渡すんだろうけど
でもやっぱり自分も祐介のことが好きだから
嫉妬めいた感情を抱いてしまう。(ものすごく申し訳ないんだけど!)


「駆、待たせちゃってごめんな。」
部室の外で、祐介がでてくるのを待っていた。
いつもは逆だけど、
祐介は荷物整理に時間がかかるようだったから。
でてきた祐介の手には入らなかったチョコがいくつかあった。

嫌、だな、と思ってしまった。
祐介がモテるのなんてわかってたけど。
俺、気に食わないんだな。祐介がチョコもらうの。
「へーき!それにしても、チョコたくさんもらったね!」


「そうだね。返すのも食べるのも大変なんだけど。まあせっかくもらったし。」
そういってニコッと笑う祐介。

「もらいすぎるのも大変だね。でも祐介優しいからみんなくれるんだろうね。」
「そうでもないよ?」
「えっ?」
「だってこれ駆に嫉妬されたくてもらったんだもん。」

祐介は俺と目線を合わせずに顔をうっすら赤くしていた。
それにつられるようにして俺も祐介から目を逸らした。

「嫉妬するみにもなってよ。辛いんだから。」
「ごめん。でも、」

いいかけた言葉の続きを聞く前に俺は祐介に抱き締められていた。

「またやっちゃうかも。俺、駆のいろんな顔見たいから。
嫉妬した顔も辛い顔も笑う顔も抱き締められた顔も。全部、全部。」
「そんなの俺だって一緒なのに。」

少し不機嫌そうな顔を浮かべながらいった。

「ホントにごめんよ?でもおんなじ気持ちで嬉しかったよ。駆」









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