ハンドクリーム
「お前の手、なんかいい匂いする」
皿洗い中のコーンの手をとり自分の顔に近づけるポッド。
「やめてください。今コーンは見ての通り皿洗い中です。というかそれって洗剤の匂いでしょ?」
とパッとポッドの手から自分の手を離した。
自分はなにもしないくせに、仕事をしているコーンにちょっかいをだしてくるとは。
全く腹立たしい
「いや、そーゆーんじゃねぇ。フローラルっつーの?んな感じの匂いがふわーっと…」
あなたの説明では漠然としすぎてわかりません。
とでもいってやろうかと思ったが、
なんとなくこいつの言いたいことは理解できてしまった。
これが三つ子の定めなのでしょうかね?
言いたいこと、伝えたいことがわかっちゃうんですから。
どんなに分かりにくくても。
「ハンドクリーム塗ってるから、ですよ。荒れやすいので。」
「ハンドクリームねぇ…」
なにか言いたげな顔をしながら、皿洗いを続けるコーンの手をじっと見る。
「なぁなぁ、俺もつけたらいい匂いすんの?」
「え、つけるの?」
「じょっ冗談だよ!ばか!」
いやはや、まさかこのような言葉が飛んでくるとは。
冗談だとしてもビックリにしちゃいますよ。
こちらもてっきりハンドクリームなんて女々しいと言われると思っていたし。
そうは思ったのですが、口にはしませんでした。
どうやらポッドは本気でいっていたようなので。
「つけたら?」
「はぁ?」
「だから、ハンドクリームつけてみてはどうです?貸しますよ。」
「いっいよ…別に…」
一度否定的なことをいったからでしょうね、若干拗ねてます。
こうなると、めんどくさいので皿洗いを一時中断し、ハンドクリームを自分の手に出して、ポッドに塗ってあげた。
「ポッドっぽくない匂いですけどいい匂いでしょ?こんど一緒にあなたに合う匂い探しましょ?付き合いますよ」
そういえば、無言で照れ臭そうに皿洗いを手伝ってくれた。
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