5分間のサンセット

空が紅い。ついでにいうと、傑と繋がる手も傑を感じる肌も紅くて、熱い。
空はいやというほど、綺麗なのに俺はというと繋がる肌から感じる温もりに浸るのに夢中で、空をまともに見れない。


たった五分。


忙しい身の自分達に許された自由な時間。その時間が好きで堪らなくて、愛しくて堪らなくて。でも馴れなくて。会えばあうほど胸の心拍数ははやくなる。そのたびに、「傑が好きだ」と再確認できる。


別れが近づき手にはより一層温もりがこもる。言葉はないけどなんとなく傑が「離れたくない」っていってるみたいで、俺も返事を返すかのように握り返す。
何気ないように見えるかもしれないけどそこには、言葉には言い表せないくらいの気持ちがこもっていて。俺にも傑にも何気ない時間ではないのだ。


別れが来れば、いつも永遠の別れみたいに感じるし、出会いが来れば、いつも死んでたと思ってた人に会うくらい嬉しい。いつだって、傑の暖かい温もりやキスがあるから別れたくなくても会ったときも幸せ。
これからもそれは揺るぎない自分の幸せとして、何処までも続く紅い空みたいに美しく続いていけばいいのに。








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