1と3分の1のホットケーキ
小さい頃大好きだったメープルシロップをたっぷりかけたホットケーキ。
お母さんの作るホットケーキはいつも大きくて、3人で一個ずつ分けても必ず一個余る。
だから、ポッドもコーンも僕もそれが食べたくて毎回大喧嘩。見た目も趣味も好みも全然違うのに、それだけは3人とも大好きだったから。
ある日、いつもみたいホットケーキ争奪戦が行われた。
「俺食べる!!」
「この間ポッドは食べたでしょ?今日はコーンが食べます!」
「それいうならコーンもこの前の前たべたよね?」
「でもデント母ちゃんに味見っていって少しもらってたじゃん!」
「少しでしょ?」
「貰ったは貰ったのでしょ?」
「そうだけど…」
今回もなかなか終着がつかず、呆れたお母さんが一個に残ったホットケーキを3等分に分けて「はい、これで3人分。」そう笑って僕達3人の頭を撫でた。
それからホットケーキ争奪戦はなくなり、最後の一個は3等分に分けるようになった。
そんな過去の事をふと思いだし、お母さんになんで最初から3等分に分けなかったのか聞くと、「あなたたちはここのジムを3人で継ぐんだから、協力して3人が得するやり方を見つけてほしかったのよ。」と言われた。
「結局、私がしてあげちゃったんだけどね。久しぶりにホットケーキ作ろうか?」お母さんはそう言ったけど自分たちで作ってみたいっていって作ってもらわなかった。
3人で協力してホットケーキ作ってお母さんが教えてくれたことが間違ってないことを証明したいしね。
「ポッド、コーンちょっといい?」
ジムもカフェも僕達3人の道はまだ始まったばかりだ。