他人の夫婦事情なんてどうでも良いだろう!
責任を取って結婚してやったのだから、文句を言われる筋合いは無いって言うのに。
だが明日やっていなければ、本当に処罰を受けかねない。
フェンディは分隊長の言葉に大人しく従うようで、夜ベッドの上で正座をして待っていた。
俺はそんなフェンディを黙ってみた。夫婦になったけど、フェンディと性交渉になることなど考えたことも無い。
あくまでも形式だけの物で、フェンディの父への邪な思いを監視する目的で結婚したのだ。
そもそも父と穴兄弟になるつもりはなかった。
「……仕方がない……するか」
「バートリー!!!!!」
「脱げ」
俺のその言葉にフェンディはいそいそと服を脱ぎだした。脱衣所では散々抵抗していたが、流石に上司命令だからかてきぱき脱ぎ始めた。
それにしても……せっかく可憐な顔をしているのに、身体は凄いな。
全身、金髪だから剛毛というわけじゃあないだろうが毛むくじゃらだ。これ、服を着なくても体毛だけで保温ができるんじゃないのか?
それに、もう勃起している大根は、やはり遺伝を許可するべきとは思えない物だ。
俺は尊敬する。辺境伯家の男と結婚した勇者達を。
「汚いな……」
「っ……、ひ、酷いっ」
俺のポツっと言った言葉にフェンディは泣き出した。
「僕だってこんな身体に生まれたくて生まれたわけじゃないのにっ……毛だってもっと少なかったら……股間の物だってもっと小さかったらっ」
「いや、そこじゃない。百歩譲って、毛深いのも大根も仕方がないとしよう。確かに生まれつきだ……生まれる先を選べないから仕方がないしな。だが…やはり使用済みは汚くて嫌だな」
しかも使用先が父親じゃあ…さっき覚悟を決めたが、やはりなあ……。
「使用済みって何っ!!?? ぼ、僕の大きくてグロテスクかもしれないけど、新品だよ!!! ピカピカの新品で、誰にも使ったことないよ! そういう意味では、綺麗なんだからっ!」
モジモジ君の割りには、使用済みじゃないと、切々と訴えてきた。
「本当なのか?……」
父の痔の原因を作ったんじゃなかったのか?
だが、フェンディは嘘をつける性格でもないし、そもそもこのモジモジ君だ。父が好きでも、そこまでアタックできなかったと言われればそうかもしれない。
父も自分で使用したものを俺に押し付けるわけはないか。
じゃあ、痔は偶然なっただけか?
「綺麗なんだもんっ!」
「まあ、信じるか。よし、出せ」
俺は大根を握ると、今度こそ顔に発射されないように方向を定めると、爆発させた。さすが童貞だ。早いな。
「あっ……バートリー」
そして、俺は買ってきた道具(大人の玩具)にフェンディの精液をぬり付けた。
「そ、それで何をするの? ぼ、僕がそれを使ってバートリーのを」
「もう後はいい。これで、お前の精液を中に入れれば、取り合えず魔力を取り入れて性交できたって思ってもらえるだろう。ちょっと入れるの怖いが、フェンディの入れるのよりは無理は無いだろ」
やはり大根は怖いのでこの手でいくしかない。
俺も処女だしな。道具とはいえ少し抵抗があるが仕方がない。
「そ、そんな嘘すぐにばれると思う……の」
「ばれたらでかすぎて入らなかったから拡張している最中ですとでも言うから良い。とにかくお前のは無理だ」
う〜ん。細いから、な、なんとか入ったか? ちょっと痛いな。しばらく我慢しよう。
「ぼ、ぼく……それじゃあ、一生……ど、童貞なの?」
「当たり前だろ? お前の大根は使用するべきものじゃない」
ついでに言うなら遺伝子を残してはいけないものだ。
「僕、僕っ……一生は嫌だよっ……え、えっちなことしてみたい」
なに!? フェンディのくせに?
すばやく却下をしようと思ったが、このまま却下し続けると、父にせがみにいくかもしれない。
俺に邪険にされているので、責任を持って童貞を父で捨てさせてくださいとか。すると父は息子の不祥事なのでフェンディの言う事を聞かざるを得なくなる。なんせ、フェンディは王国でも有数の毛深一族の出だ。権力だけはある。
当主リオン様はやり手で、最近毛深一族を増やして勢力を拡大していっている。
父にそんなことをさせるわけにはいかない!
こんな大根、ただせえ痔の父が受け入れたらっ!
「……分かった。俺もお前の妻だ。今夜童貞を捨てさせてやろう」
仕方がない。父のためだ。父が大根を突っ込まれないために……
「バ、バートリー…キス…して良い?」
「好きにしろ」
「バ、バートリー…この玩具…動かしても良いですか?」
「黙ってやれ!」
キスは良いんだ。可愛い顔をしているからな。たとえ、髭が濃くても。
大根さえなかったらなあ……大根入れるのか。
黙ってやれと怒ったので、フェンディは黙ってしている。
大根、大根、大根…ああ、とうとう大根がっ!!!!!
「バートリー…気持ちが良かった」
大根は凄かった。俺のほうこそ痔になってないか?
「最初で最後だから、余韻にでも浸っておけ」
「えっ………」
翌日俺は、やってきました!と申告をしてこれで全部終わるのだと思った。
「……おい、バートリーお前、一度やれば済むと思っているわけじゃないよな?」
「分隊長、一度でもやれば夫婦でしょう?」
「フェンディが泣いて申告してきたぞ。バートリーは一度で終わりって言ったと。お前週二法案を忘れたわけじゃないだろうな?」
「なっ、あ、あれはあってないがごときの」
「お前は、処罰を免れるために結婚をしたんだぞ。お前には他の夫婦よりも厳しい監視があるのは当然だろう? 良いな、週2を怠らないように、毎回何回やったか週の終わりに報告をするように!」
ひ、酷い! だいたいフェンディのやつも、何で密告をするんだ!
大根を入れる快楽に負けたのか!
父でなくてもエッチができればそれで良いのかよ!
「バートリー……その」
今週は後二日で終わるな……二回のノルマを達成するには、今日と明日しないといけない。どうせやらないといけないのなら、今日が終わる前に一回やって、12時過ぎてもう一回やって。それで済ませれば、手間が一回で済む。
「僕、赤ちゃんが欲しいです……」
なに! 大根の遺伝子を産めだと!?
童貞を捨てたからって調子に乗りすぎだ!!
「あ、赤ちゃん駄目?」
********
「バートリーのやつ、何だかんだ言ってもフェンディに甘いよな」
「大根の子どもなんて死んでも産むか!って言っていたけど、二人目もできたし」
「そろそろ、フェンディの好きなのバートリーだって誰か教えてやれよ」
そう、誰が見てもフェンディの愛しているのはバートリーなのである。彼の父への恋慕は明らかに勘違いであり、フェンディはバートリーと結婚したいとモジモジとバートリー父い相談していたのである。
フェンディとしてはバートリー父が決めた結婚ということで、話を纏めてほしいと懇願していたのだ。
本人に直接言えと言いたいところだったが、辺境伯家の男は言えないのである。
「いや、止めておいてくれたまえ」
「でも、おじさん」
「息子は勘違いしているから、フェンディと結婚する気になったし、こうやって結婚生活を続けているんだ。フェンディが自分の事を愛していると知ったら……どうなると思う?」
普段から大根なんて人間じゃないと公言しているバートリーのこと。
父というストッパーがなくなれば、フェンディと再び仮面夫婦になると言い放つだろう。というのが大半の意見だった。
「でも、ちょっと可哀想ですよね。フェンディ」
直接愛しているといえない性格なのが悪いのだが、妻に全く自分の気持ちが伝わっていないのだ。
バートリーも自分が愛されているとは思っていないが、こちらは全く皆の同情を得ていない。そんな事実を知ってしまったら、喜ぶどころか、余計フェンディを虐待するだろうと思うからだ。
「でも何だかんだ言っても、バートリー、フェンディを可愛がっていますよね」
長男は奇跡的にバートリーに似て、毛深一族に似なかったのに気をよくして、えっちを強請るフェンディの言うがまま二人目を授かってしまった。文句を言いながらも纏わり着いて来るフェンディの面倒をよく見ているバートリーを見ていると、誰も本当の事を言わないのである。
「バートリー……今度の赤ちゃん、僕に似て大根でも……可愛がってくれる?」
「自分の子だからな。流石に繁殖する権利はないとか、これ以上遺伝子を広げるのは駄目だなんていわない。まあ、慣れれば毛深いのも可愛いしな」
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