「あれ、お前の父親じゃないか? フェンディのヤツ、何しているんだろ?」

俺の父親は別の部隊で働いている。
騎士の定年は40歳からで、40歳を迎える前に退職していく人も多く、入れ替わりは多い。
そんな中で俺の父親は40半ばになっても部隊に所属していた。

そんな父の側で何かを話しているフェンディは俺たちの同じ部隊に所属し、友人だったりする可愛い顔をした可憐な男だ。

「なんかモジモジ話しているようだよな。ひょっとしてフェンディのやつ、親父さんのことを狙っているんじゃないのか?」

「馬鹿を言うんじゃない。既婚者だぞ、俺の父は」

俺と言う息子がいるのだから、当然父は結婚しており、母という妻もいる。伴侶をなくしたわけでもないので、再婚も出来ない。

「まあ、そうなんだけどな。けど、なんか恋する目をしていないか? フェンディのやつ」

確かに、フェンディの可憐な目は潤み、モジモジしながら何かを一生懸命語っていた。

「恋する乙女みたいな様子だぞ」

俺の父親と何の用があるって言うんだ? 部隊も違うし、俺も紹介をしたことすらない。ただ、たまに会った時に俺の父親なんだ、くらいはいったかもしれないけど。

「おい、フェンディ! 仕事だっ! 何時までも無駄話をしているな!」

「う、うん。ごめんね、バートリー」

「いったい、何を俺の父親と話していたんだ?」

「……な、内緒」

内緒だと?
昔から何でも話してくれたのに、俺の父親との会話を秘密にするって一体何なんだ?

「なあ、フェンディお前顔真っ赤だぞ? ひょっとして」

「もうっ」

まさか本当に俺の父親に恋心を抱いているのか?
確かに俺の父親は今でも充分ハンサムだが、母と仲睦まじく、この国民として当然離婚してフェンディと再婚などできるはずはない。

「でも、お前の顔どう見ても恋する乙女って感じだったぞ? 茨の道なんだから止めえおけよ」

「……そうだよね。僕なんて……結婚なんかしてもらいないんだよね」

当たり前だろう。父が母を捨ててお前と選ぶなんてあるはずないじゃないか。そもそも年が離れすぎているだろう!



「でもなあ……フェンディのやつ諦めるって言っておきながら……あれから何度も、バートリーの父親に会いに行っているよな」

風呂場に行く途中で友人がそんな事を言った。

「え? 俺はその現場見ていないけど、フェンディそんなことしているのか?」

「ああ、何度も見かけたぜ? 相変わらずモジモジしていたけど……」

そういえば、今朝父はぎっくり腰になったとかで有給を取って安静にしているといっていたな。普通の怪我なんかすぐ治癒魔法で治せるのに、治せないのは……まさか、フェンディと道ならぬ恋に落ちて腰を使いまくったせい?

まさかそんなことあるはず無いだろう!!!

「おい、フェンディ。今から風呂に一緒に行くぞ」

「え? 僕は…後でいいよ」

通りすがりにフェンディの官舎の扉を開けると、フェンディを無理矢理連れ出そうとした。

「なんだよ。そういえばお前何時も一人で入りに行くよな。男同士の付き合いだろ? たまには一緒に入れ」

嫌そうな顔をするフェンディを有無を言わせずに風呂場まで連れ出し、俺は脱ぎだした。が、フェンディはモジモジして脱ごうとしない。

「おい、早く脱げ」

「う、うん」

しかし、ちょっと目を離した隙にフェンディは湯着を厳重に着込んでいた。おい、この風呂場は独身+夫専用で妻専用風呂ではない。従って湯着なんか着込んでいるアホはいない。

「何、そんな物着込んでいるんだ! さっさと全裸になれ!」

「だ、駄目だよ。僕……裸を見せちゃ」

裸を見せられない事情でもあるのか? まさかキスマークが体中にあったりして、他人に見せられないとか言うんじゃないだろうな? そして相手は父とかいうオチがあったりしたら……

「うるさい! そんなものは禁止だ!」

「おい、止せよ。フェンディにも事情がっ」

「どんな事情なんだ! 俺の父との不倫関係がばれるような事後の……ごめん」

フェンディは泣いていた。俺が無理矢理脱がせたからだ。そのことを謝ったわけじゃない。

凄い大根が股間にあったからだ。何に謝ったかって、股間の凄さに謝ってしまった。
思わずごめんなさいとしか言いようがない物凄い物があった。

「って、何なんだ!!! 何で貴様、勃起させているんだ!!!??? まさか、この大根を父上に突っ込んだとか言わないよな??? 父上のぎっくり腰の理由がお前の大根にあったらっ!!!!!!!!!」

この大根が使用済みかじっくり調べなければならない。謝った事も忘れて俺は目の前の大根に集中することにした。こんなもの、父に使用されたら父は死んでしまうのではないだろうか。今朝のぎっくり腰程度で済むのだろうか。いや、だからこそ医者にもかかれるに休む羽目になったのかもしれない。

「あっ、やっ」

そもそも何故でかくしているんだ!!!

「やじゃないだろう! 脱衣所で勃起なんかしているほうが嫌だろう!!! 見せてみろ!!! 使用済みか未使用か見れば分かる!!!」

いや、何を判断に基準にすべきか分からないが、未使用なら綺麗なはずだろう!!!

大根をつかむ!!!
何て太いんだ!!!!
太いし血管が浮いたりしているが、色はフェンディの白い肌の色に似合うピンク色だ。綺麗な色だからこそ、異常に大きいのがミスマッチだ。

「あっ…駄目っ!」

掴んだ瞬間大根は大量の液体を噴出すると、俺の顔に……

「ひっく……ひ、酷いよ、バートリー」

「泣きたいのは俺のほうだ!……顔に…」

「おいおい、お前が怒るのは筋違いだろ? どう見ても被害者はフェンディ…」

「フェンディなんか、勝手に勃起させて人の顔に顔射したんだろう! 何が被害者なんだっ!」

顔がベトベトになって汚いだろう!! 大体なんでフェンディのやつ勃起していたんだ。こっちは使用済みか検査したいだけだったのに、何も分からなかった。

「ひ、酷いよ…もう僕お婿にいけないっ」

「誰か分隊長呼んで来い! 部内裁判を要求しよう!」

「フェンディ、大丈夫だからな? セクハラで断固バートリーに責任を取らせないと」

「あ〜あ、セクハラってどんな罰だったっけ? 強姦は死刑。セクハラっていうか、準強姦罪だから死ぬまで強制労働だっけ?」

「いや、魔核破壊されて放逐だろ? たしか」

……俺のやったことって、準強姦になるのか?
確かに、無理矢理レイプしようとしたら、なら分かるが。

「分隊長、俺はただフェンディの大根を握っただけです。あいつが勝手に勃起をして勝手に射精をしただけです!」

「いや、しかしだな……嫌がるフェンディの服を脱がせて性器に触れたのは事実だろう? 善意に解釈をしてもただのセクハラだし、悪意に解釈をすれば強姦未遂だ。処罰は免れない」

迅速に裁判が開かれ、俺は被告になってしまった。

「分隊長殿、発言をお許しください。まず、フェンディはわが一族の人間で、身体的にコンプレックスを抱いています。だからこそ、肌を見せないように他人に不愉快な目にあわせない様に、注意深く生きているのです。ですが、そのバートリー殿は、フェンディの身体的特長をあざ笑い、大衆に曝し、挙句の果てにフェンディを結婚できない身体にしました。厳罰を望みます」

「辺境伯殿、お気持ちは分かりました……バートリー、目撃者も多数いる。事実関係に相違はないとし、処罰を言い渡す」

「待ってください!!! バートリーを死刑なんてしないでくださいっ!! 僕が、僕が我慢すれば良いだけなんですっ……僕は一生…」

「そうですよ。こんな、大根で毛深い男の遺伝子は残すべきじゃないです。考えてみてもくださいよ。遺伝力が強すぎてこのまま繁殖を許し続ければ、この国中毛深い大根の男しかいなくなりますよ。それはちょっとどうかと思うから、フェンディは一生独身で」

俺の異母兄弟・・・いや異父兄弟?とにかく、父とフェンディに間違いが起こって、弟が毛深く生まれたら可哀想だし、無理だ。開国の名門一族かもしれないが、繁殖行為をするべきじゃないと思う。

「うっ……僕たちは結婚する資格もどうせないんです」

「そうそう、大根は結婚する資格は」

「いい加減にしなさい、バートリー!!! 加害者が被害者にきく口の聞き方ではないだろう! フェンディ殿申し訳ありません!! バートリーには責任を取らせて、結婚させます。どうか不束な息子ですが、嫁に貰ってください。バートリー、お前の責任だ。潔く責任を取るだろう? でなければ勘当の上、分隊長殿に厳罰を申し入れる」

「ち、父上っ」

「あ、ちなみに処罰は国外追放だから。嫌なら責任を取るんだよ」

フェンディは良いって言っているのに、何で責任を取らないといけないんだ!
そもそも大根なんて……

「我々は、バートリー殿が責任を持ってフェンディを婿に娶っていただけることを条件に不問にすることに同意します。フェンディもそれで良いな?」

フェンディのやつ、僕は我慢しますと言っておきながら、当主の言葉に頷いていた。頬を赤らめて。
そうか!
義理でも父が側にいるから、それで良いという乙女心からだろう!
父のために息子の俺が処罰を受けないように、結婚をすれば丸く収まると思って同意したのだろう。なんて姑息なヤツなんだ!

しかし、俺がフェンディと結婚をすれば流石にフェンディも父とどうこうなろうという考えは捨てるだろう。

「分かりました……男らしく責任を取ります」

俺がそういうとその場にいた全ての者たちが安堵したような顔をした。まあ、分隊長たちも結婚をさせ上手く丸め込めば面倒が無いと思ってのことだろう。今までこういう事件で処刑や処分された者達いないからな。


そういえば父はぎっくり腰なのにこんな裁判出でていて大丈夫なのか?と思ったが、本当は痔で恥ずかしく医者にかかれなかったそうだ。痔って……やっぱりフェンディのやつ??!!!

新居は官舎で良いと言ったのだが、フェンディたち辺境伯家の者は大勢の人の中では生活し難いので、フェンディの城で暮らしたいといわれた。まあ、そうか。肌を見せられないというのはなかなか辛いのだろう。

「あ、あの……」

「なんだよ」

「あのね……そ、その」

「……」

「今日、しょ、しょ…」

初夜だって言いたいのかよ?
だが、お前、父のことが好きなんだろう?
なのに結婚したからって、俺とするのか?
形式だけのものじゃないのかよ。

だいたい父を痔にするくらい突っ込んだんじゃないのか?
使用済み大根を俺に使おうと思うなんてフェンディのくせに生意気なっ!

「もう寝るぞ!」

「……」

モジモジずっとしやがって。言いたいこともはっきり言えないなんて、何なんだ。ずっと友達だったが、何時もはこんなこと無いのに。

そして一週間が過ぎ、また部内裁判が開かれた。何で?

「何でまた、裁判にかけられないといけないんですか?」

「バートリー……お前ら仮面夫婦だろ?」

「え?」

「つまり、まだ性交渉をしてないだろ?」

「……そこまで干渉されるいわれは」

「あるだろう! バートリーお前はな、責任を取って婿に取るということで処罰を免れたんだぞ? それなのに結婚を正式な物にしていないとなれば問題に決まっているだろう?」

「ですがっ!」

「今夜、初夜を完遂しなければ見せかけの結婚をしたと見なして、処罰をせざるえない。良いな、今夜やれよ」

何でまだ初夜を迎えていないってばれたんだ?
フェンディのやつが密告したのか?
とも思ったが分隊長ほどになれば、魔力の流れでそれくらいは分かるんだそうだ。俺の体にフェンディの魔力の痕跡が全く感じられないので、一週間は様子見をしていたらしい。

くそっ!あんな使用済み大根を入れないといけないのか。なんて苦行なんだ。



- 355 -
  back  






×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -