私の名はカリム。
婚約者を非道な一族に奪われ、ボロ雑巾のように決闘に負け地面に転がっていたら、見知らぬ男に逆レイプされ今に至る。

どうしてこうなってしまったのだろうか……

「貴様!! 貴様のような下級貴族がっ! 私たちの可愛い息子に手を出すなどとっ!」

ここでもコテンパンにされました。

そしてうちの一族は奥様の実家に吸収されて、私は婿養子にされました。
下級貴族がっ!と罵られましたが、私の家も一応はそれなりに名の通った家なんですが……そりゃあ公爵家系の家に比べれば、貧民同然ですよね。

上に乗っかられてパンツ下げられたとき、私のほうが魔力が高いんで見知らぬ男を殺すことはできたでしょう。
ただ、何とかく魔力は勝てても、他にも何も勝てないようなオーラを感じたのと、この人を害すれば一家皆殺しに目に会うような予感を感じたんです。今思えば正解でした。

「父上っ! すまん! 俺は父上たちが勧める相手にはどうもときめかなくて。カリムのような可愛くて守ってあげたいような男を押し倒すのが好きだったんだっ!」

「うわああああああああああっ!!! 閨でのことなんか聞きたくない〜〜〜〜〜〜」

そしてまた私はコテンパンにされ……気がつくと私の奥様になった方が私に跨っており……


「勃起できなかったらどうしよう、どうしようと……家出をしてしまったんです」

「いやね……気持ちは分かるけど。ここに家出をされてもだね」

噂に聞く伝説の男、ロアルド殿の城を訪ね、どうかご指南をお願いしますと頭を下げた。

「一族は吸収され、親にはどうしてあんな高貴な方をお嫁に貰ってしまったのかと責められ……いっそ決闘で殺されていれば良かったとまで言われる始末。奥様は男気あふれる方で……私には勿体無いお嫁様でいらっしゃいますが……あのような高貴な方に勃起できるのか自信がなく」

というか、一緒に生活する自信すらない。素で強姦魔の血を引いているのだ。

「そうはいってもだね……一度も奥方と事を成していないのかね?」

ロアルド殿を訪ねたのは、ロアルド様は私よりも高貴な(直系)方をお嫁にもらい、奥様に何度虐待されても穏やかそうな顔で、今の今まで生き延びた伝説の方だ。親族からも相当虐待されていただろうに、私と良く似ている立場と思ったが私よりもよほどハードルが高い結婚生活を送らされていたはずだ。私の奥様よりもメリアージュ様のほうが……全ての点で伝説だからだ。

「それは……逆レイプというか、私が悲鳴を上げているうちにパンツを引き降ろし、何時の間にか合体していたというか……それからも奥様が私を押し倒し」

「私もだよ……私もメリアージュ様と初夜は勃起できるかたいそう心配したものだった。いや、メリアージュ様に魅力がないという訳ではない! だが私よりも高貴な方で上司でもあって恐れ多すぎて…下半身が言う事を聞いてくれない可能性が大だった。しかしメリアージュ様がリードをしてくれ、無事初夜は終わった……それからもずっとメリアージュ様がリードをし続けて……」

騎乗位しかさせてもらえなかったんですね……私もそうなるんでしょうか?

「だが、それほど難しく考えることも無いだろう。公爵家の血を引く方でもお嫁に行く方はいる。普通に嫁に貰ったと思って、婿として……気軽に……無理か」

はい、無理です。

「だいたい何で私のようなとりえの無い男を一目惚れをしたのか……不思議でなりません」

奥様の親族の方にメタメタにやられて格好悪い醜態を曝していた時に、何で一目惚れをするのだろうか。

「それは私も良く思ったものだ。周りには魔力の強い完璧な男ばかりがいるのにと……しかも、大事に大事にされて育てられたのに、どうしてこんな苦労?する格下の男と結婚しようと思ったのかと」

はい、その通りです。

「メリアージュ様もアンリ様と結婚させられそうになっていたそうだ。あの頃は兄弟は勿論甥・叔父との結婚はできなかった。それでも権力を使って平気で結婚させようと思うほど溺愛されていたのだ。しかしお互いその気は無かった……つまり、メリアージュ様やカリム殿の奥様のような……男気溢れる方は公爵家の方には人気が……ないのでは」

ロアルド殿の分析で公爵家の方で奥様になる傾向は三パターンあるらしい。

1、薄幸系・・・・(例・ジゼル)
2、小悪魔系・・・・(例・アーサー、サラ)
3、絶倫系?イケメン・・(メリ様、カリム奥様)

公爵家の男で人気があるのは薄幸系の美人だ。
1、は言うまでも無い。よく誘拐してくるパターンである。

2は身体も心も奥様タイプ。小悪魔で旦那様を翻弄するタイプだ。

3の絶倫系イケメンは身体は奥様タイプなのに、心は公爵家系の執着心バリバリのタイプだ。メリアージュ様のように、何を間違って奥様になってしまったのか?と思うような男気溢れるタイプなのだ。
1も2も人気があるが、3は公爵家系の男に人気は無い。需要が無いのだ。従ってチヤホヤして育てやれるが奥様に求められず、フリーのまま外部でロアルドやカリムのような温和な男を捕まえるのだ。

「た、確かにそういわれると……」

ロアルドもカリムも性格的には妻よりも妻になったほうが良かったのでは?と思うような性格なのだ。
奥様に逆らえない、害の無い性格をしている。むしろ、奥様が守ってあげたい!と庇護欲を誘うような、そんな旦那様なのだ。

「メリアージュ様も心は公爵家でいらっしゃるので、私をしっかり把握し、見守りたいとお思いなのだ。だから、何をいいたいかと言うと、奥様は夫にリードをされたくなく、自分がしたいので、勃起しないかとか心配する必要はない。そう、奥様の望むままベッドで横になっているだけで良いのだ……」

遠い目をして悟りの境地にいるロアルドを見ると、カリムは自分の未来を見るようで少し心が沈んだ。あそこまで悟りを開けるのかと。

「ようは……マグロ妻ではなく、マグロ夫でいれば良いということだ」

マグロ夫……それは公爵家から男気溢れる奥様を娶った夫の名称として、その後語り継がれることとなる。

ある意味悲哀を込めて……


「あ、あの……奥様……」

「カリムは可愛いな〜一生可愛がってやろう」

私はこの先、ロアルド殿と同じように騎乗位しか許されないのでしょうか? それはそれで楽と言えば楽そうですが……

あ、ロアルド殿からの忠告。2つやっておくべきこと。

1つ。身体を鍛えること・・・奥様の絶倫に付き合うために。
2つ。国境に飛ばされたとしても、子作りをしたければ一度だけは騎乗位以外の体位で奥様に挑むこと。じゃないと子どもできないかも……

は、はい。何年か先に頑張ろうと思います……



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