最近の一族のマイブーム。それは誘拐ではなく、お淑やかで美人でパイパンの花嫁を迎えたい! 

アレクシアという一族の男が、羨ましくもそんな素敵な妻を向かえ、セクシーパンツでお出迎え(お出迎えはしていない)してくれるなんて! 男の夢過ぎる! 花嫁の塔は過去の遺物だ!!!


「あれがアレクシアの妻と子ども達……」

一族の集まり(前当主アルフ様の誕生日パーティー)に、公爵家の男達は集まっていた。ちなみに、一族は男しかいない。異性愛者がいなかった公爵家は貴族女性率0%だ。

「おお、アーサー。可愛いな」

前当主アルフの弟であるロージーは、兄のひ孫に当たるアーサーを抱いて離さなかった。系譜的にはアーサーはアルフの次男ブランシュの孫だが、ロージーのひ孫でもあった。そのため、もう二度と見ることがない息子の孫をそれはそれは可愛がっていた。

「アーサーね、ケーキが食べたいの」

「おお、ケーキが食べたいのか。誰かアーサーのためにケーキを持ってまいれ」

公爵家では魔力の弱い子は、それはそれは保護をして可愛がって育てる。当主になれなくたってお嫁にすれば良いだけなのだ。
まあ、これは他家とは違って、ほとんどの場合他の兄弟で魔力の高い子が生まれるので、別に一人や二人魔力が弱い子が生まれたって良いし、可愛いし。という魔力が高い家柄という自負からくる猫可愛がりだった。

「はっ! この私がアーサーのためにケーキを!!!!!!」

「あ、おじさん。ありがとう〜」

別にこの男おじさんという訳ではない。まだ学生で18歳になったばかりの青少年だ。公爵家の男は落ち着いて大人びて見えることが多いので、18歳といえども25歳でも通りそうな外見だったりする。老けているわけではないが。

おじさんと呼ばれたアデールは、特に否定もしなかった。そう、一目惚れをしていたからである。
当主の弟の腕の中にいたため、ケーキを持っていくまで見えなかったアーサーを見た瞬間、結婚するしかないと4歳の子に真剣に思ったのだ。

「ア、アルフ様!! アーサーをぜひ、私の妻にっ!!!」

「う、うむ……私は構わんが」

一瞬どうしようと思ったアルフだったが、可愛いひ孫アーサーが同じ一族の男に嫁ぐのなら。他家に嫁に出すより良いだろうと即答してしまった。

「ロージーはどう思う?」

「アーサーが良いと思うのなら」

息子の意向を汲んでやれず、不幸な運命に押しやってしまったジゼルのことを思うと、ジゼルの孫の結婚は本人の意向次第と思うしかない。

「おじさんのお嫁さん? アーサー分かんないよ」

「おお、そうだな。アーサーはまだ四歳だからな。アーサーの結婚は父親のアレクシアの承諾を取り、尚且つアーサー本人が18歳になって結婚しても良いと、と言った場合のみ許可をしよう」


★アーサー4歳(出会い)

「おじさん、アーサーの夫になりたいんだけど、なってくれるかな?」

「アーサーはね、やさしくてお金持ちでかっこういいだんなさまが欲しいの」
(一族の男は大抵当てはまります)

「おじさんもお金持ちだよ! アーサーに不自由はさせない!」

「……おじさんは、年寄りだからお父さまが駄目だって」

「じゅ、14歳しか離れていないのに(´;ω;`)」


★アーサー5歳

「アーサーはね、おじさんと結婚してもいいよ」

「ア、アーサーっ!! おじさん、嬉しいよ!!!」
(突然の変化に驚く!)

「お母さまが、良いよって言ったらね」

***

「お母さまが駄目だって。おじさんが変態だからって」

「アーサー! おじさんは変態じゃないんだよ! これが普通の男なんだ!!!(´;ω;`)」


★アーサー7歳

「アーサーね、小学生になったの」

「早く大きくなって、おじさんと結婚しよう!」

「同じクラスのマックスくんがかっこう良いの! 旦那さまにしたいってみんな言っていたの! アーサーもマックス君のお嫁さんになりたい」

「ア、アーサー!!(´;ω;`)」

「かも?」


★おじさん22歳

「何時までも8歳の子の尻を追っかけていないで、同じ年頃の子を探したらどうだ? 14歳差などは」

「父上だって母上と22歳も違うくせに!!! もう定年退職する母上を、永久就職しませんかって無理矢理結婚したんでしょう! 私のほうが14歳差なだけに何も言われる筋合いはありません!」
(軍の定年退職は40歳から満額退職金と年金もらえます)

「私は無理強いではない! 泣き落としだ!」

「なら、私だって泣き落としをっ!!」

*******
「アーサー!! おじさんと結婚の約束だけでもしてくれ!!! (´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)じゃないと、おじさん、死んじゃうっ!」

「お母さまが、変態は死んでも良いって言っていたよ?」

「おじさんはっ変態じゃないんだ!!!(´;ω;`)(´;ω;`)愛の戦士なんだよ!」

「騎士じゃないの?」


★アーサー12歳

「おじさん、僕ね……好きな人ができちゃった」

「(´;ω;`)……」気絶

「アーサー、そんなにおじさんを虐めるなよ。失神しているだろ」

「だってノエル……おじさん、面白いんだもん」

★アーサー14歳

「おじさん……僕ね、悩みがあるんだ」

「な、なんだい? おじさんに何でも言ってごらん?!!!」

「……あのね、クラスの皆……あそこが生えてきているのに……僕だけまだなんだ? 何かの病気だと思う?」



「あのな、だからそうおじさんを虐めるな。鼻血だして気絶しているだろ。おまけに……」下半身にマントを被せてやる、何気に親切なノエル。

「だって……」

★アーサー15歳

「おじさん……僕ね、跡取りになれないんだ。僕が長男だけど、魔力が低いから……ノエルが跡取りって決まっていて……あんまり頭も良くないし、将来どうしよう……おじさんみたいな騎士にもなれないし」

「お、おじさんのお嫁さんになれば良いんだよ! 昔から言っていただろう? アーサーはおじさんのお嫁さんになるって決まっているんだ!!!」

「でも……僕の魔力が低いから……子爵家くらいの当主のお嫁さんになったほうが幸せかもしれないって、お母さまが」

「何を言っているんだ!!! 同じ血を引くアーサーが私の花嫁に相応しくないなんて誰も言わない!!! 私の花嫁になって、おじさんに全部任せておくんだ!!」

「駄目だよ! だっておじさんが僕を好きなのって……僕がパイパンだからなんだ!!! おじさんなんて大っきらい!!!!!!」

「(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)パ、パイパンが好きなのは否定できないが、だ、だがアーサーの全てが好きなのにっ(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)」


★アーサー17歳

「おい、おじさんと喧嘩して2年だろう? そろそろ許してやれよ。おじさん泣いてお前のストーカーしているだろ」

「だって……」

「おい……おじさん、実はアーサーのやつこの2年で生えてきてパイパンじゃなくなったんだ。もうアーサーのこと好きじゃないか? パイパンのアーサーじゃなきゃ、価値はないか?」

「そ、そんなわけはないだろう!!! ボーボーに生えているアーサーだって私は愛せる!!! どんなアーサーだって構わない!! 愛しているんだ、許しておくれアーサー!!!」

「……あんなに泣いているから許してやれよ」

「おじさん………」

「アーサー(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)」

「良いよ、許してあげる。18歳になったらおじさんの花嫁になってあげても良いよ」

「感涙(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)」


★アーサー結婚前夜18歳

「おじさん……ごめんなさい! 結婚できなくなってしまいました」

「なっ!! ど、(´;ω;`)どうしてだっ!!!!」

「……実は……弟に、やっぱりお嫁に行かせたくないって言われて……僕、もう純潔じゃあ」

「過去に戻って、アーサーを助けてくる!!!!!!!!!!!」

「ちょっと待ってください!そんなことで貴重な時空魔法使わないで下さい。アーサーもいい加減に、おじさんをからかうの止めろ」

「……だって…」

――僕の一言で右往左往しているおじさんを見ると……愛されているんだって分かるんだもん。


こうして、4歳の頃からアーサーに振り回されていたおじさんだったが、アーサー18歳、おじさん32歳(あれ?大きくなってみるとそれほど年の差あるように見えない)が、やっと結婚することになった。

「アーサー……おじさん、アーサーの夫になれて……(´;ω;`)(´;ω;`)う、嬉しい」

それほどアーサーに翻弄され続けてきたので、本当に結婚できたのか夢のようであった。
義理の母であるエイドリアンにも何度も反対をされ、だがアーサーがおじさんに構うのを見ているうちに息子もおじさんを好いているのだと分かり黙認するようになっていった。

「おじさん、ずっと虐めてごめんね? 泣いちゃうおじさんを見るのが可愛くて……アーサーはね、キュンとしちゃったの」

おじさんは思った。アーサーになら一生泣かされても良いと。

「おじさん、今からアーサーを抱けるかと思うと……ぶはっ!!!!!!!!!!!!」

おじさんは何度もアーサーに嘘をつかれてきたが、パイパンじゃなくなったと言われたそこを覗き込むと……素晴らしい秘密の花園があり、初夜は鮮血で彩られたという。(NOTアーサーの純潔の血)



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