*ガチ近親相姦注意
*よく分からない話になった注意
*暇つぶしにだけご用立て下さい。



国王が発布した法律の中で一番喜ばれたもの。

そう、それは兄弟の結婚を許可する。というものだった。

王国では似ている兄弟もいるが、全然似ていない兄弟も多い。父母に似たせいで、全く似ていない兄弟もあれば、過去の花嫁に似たという例もある。まあ、要するに似ていない兄弟は、お互い好みのタイプという場合もあれば、片方が極端の片思いということもある。

昔から、弟や兄にはーはーする変態な兄弟は多かった。しかし、法律が許さないため、諦め……られないため、余程の上級貴族ではないと国王から特別結婚の許可が出ない。では、どうするかというと、戸籍を偽造するのである。

例えばA伯爵家で兄弟で恋をするカップルがいるとする。そして同じくB伯爵家でも兄弟恋人がいる。この場合お互いの利害の一致があるため、Aの兄とBの兄をそれぞれ戸籍上入れ替えるのである。

戸籍上名前をかえ別人になって、兄弟と結婚するのはこれが精一杯だったのだが、これからは堂々と兄弟で結婚できるヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━!!と、大好評の法改正だった。


「もう少し早く法改正してくれれば……パトリックを花嫁の塔に閉じ込めなくても済んだのに……」

「お前な、陛下から特別結婚許可状を貰えた俺たちは幸運なほうなんだぞ。皆は適当な親族や、兄弟で結婚したいペアを見つけて結婚しているのに(偽造)贅沢を言うな」

と一部には不評だったが、おおむね好評なこの法律だと思われていたが、ここにも不評を喚いている男がいた。

「何で、兄弟で結婚できるようになって、親子は駄目なんですか!!!!!!!!!!!!!?????」

「いやね……兄弟は平民は駄目だよ。でもね、上位貴族にもなると遺伝の問題クリアしているから……」

「なら親子だって良いはすでしょう!!! 平民みたいに奇形とか出ないんだし!!!!」

そう、いわゆるこの大陸で兄弟結婚が出来ない国は80%ほどだった。あとの20%は高貴な血を守るためや、財産を守るためなどで兄弟結婚を許されてきた。だが、親子の結婚を許可している国はどこにもいない。
この国の上流貴族ともなれば親子で子どもを作った所で問題はないのだが、兄弟同士は独身同士なので問題はないが、親子になると……子どものほうは独身でも、親のほうが妻や夫がいるので、非常に問題がある。

不倫も姦通も駄目なので、親子結婚は当然できない。

「普通に考えようよ……不義密通は駄目なんだから、妻がいる私がね、子どもと結婚できるわけは無いだろう。流石に陛下だって、重婚は許可してもらえないよ」

親子結婚を望むとなると、処女好きのこの国の貴族のこと。母親に恋をするのではなくて、父親に恋をすることになる。
ちなみに、親が子どもに恋をすることは何故か無く、息子が父親に恋焦がれるケースばかりが勃発するのだ。

「じゃあ、あの男を殺害しましょう!!」

「止めようよ……親族会議で、当主の妻殺害計画を話すのは」

ここで、親族一同頭の痛い親子を紹介しよう。

当主、ウィリアム。
長男、サラム。
当主夫人。
の三人家族である。

ちなみに、何故これほど問題となり、親族会議まで開かれ、この親子結婚が協議されているかと言うと、この家は独自魔法を持つ家系であり、直系でしか遺伝しない。今、この独自魔法を持っているのはサラムただ一人なのだ。サラムに子どもを作ってもらわないといけないのだが、サラム本人は父親に恋をしており、父親以外と結婚をしない、父親以外に子どもを産ませるつもりはないと言っているのである。

「あの男が邪魔なんです! 僕を産んだのでもうあの男に用はないでしょう!!! 殺害しましょう!!!」

サラムがあの男と呼んでいるのは、当主夫人であり、サラムの実母なのであるが、サラムにとってはにっくき愛する男の妻である男でしかないため母親だなんて思っていないのである。

「あのね、サラム……妻が死んでも、サラムと私は結婚できないんだよ」

「それがおかしいんです!!! 重婚や不倫が駄目なのは分かります! しかし父上が独身になれば再婚には問題ないでしょう!!! 親子結婚の特例として、双方独身なら許可をすると陛下に奏上をしましょう!!!!!」

サラムは一人息子である。独自魔法の家系なので、当主はできるだけたくさん子どもを作るべきなのだが、サラムが生まれて以来、妻とそういう関係になったことが無い。サラムが赤ん坊の頃から邪魔をしており、次男以降できるチャンスが一切なかったのである。
これでサラム以外の子どもがいたのなら、次男以降にあとを継がせ子どもを儲けさせれば良いのだが、今現在サラムしかいないし、これから先もサラム以外の子どもができることは絶望的なのだ。

したがって親族一同頭を悩ませ、サラムに子どもを作らせようとするのだが、肝心のサラムは父親以外と子どもを作るつもりが無いため、真剣に親族たちは親子結婚の可能性を議論しないわけにはいかないのである。

「そもそもね、サラムのお母さんだから、殺そうだなんて思っては駄目だよ。君が嫌いなのは知っているけど……」

「嫌いどころじゃありません! 僕を産みために存在しなければならない肉の塊なのは分かっていますが、僕を産んだ時点で用済みです! あの男の中に父上の物が入っていき、交わった過去があるなど到底許せず!!!!! 僕のMY棒で父上を清めてあげなければいけません!!!!! 早く殺しましょう!!!!」

今にも殺しかねないが、駄目だよといっているうちは行動には移していない。
サラムは父親に嫌われるのは嫌なため、殺そうとは言って迫害しているが、真剣だが真剣ではない。

「しかし、サラム様……たとえ奥方がいなくなっても、陛下も流石に親子結婚はお認めにならないのでは? 過去、親子結婚が認められた事例は一つもありませんゆえ」

「だったら父上には可哀想だが戸籍上亡くなって貰って、適当な戸籍を用意して僕の妻として嫁いでもらえれば良い。早くあの男を殺したいのだが、父上が私の妻になってくれるのなら、あの男の命だけは助けてあげましょう」

親族一同は、もうそれが一番良いんじゃね?
流石に親子で結婚したいんですけど(しかも息子だけ)と陛下に言うのもなんか嫌だし、認めてもらうのは無理だろうし、適当な戸籍を用意して、当主に息子に嫁いでもらうしかないよね?
という雰囲気になっていた。
モラルがとか、禁忌がとか、そういう話はとうに話し尽くし、過去の話題なので誰も今更そんなことは言い出さない。
サラムが5歳くらいから、母親を殺せ、父親と結婚すると良い張っていたので、誰もが諦めの極致にいたっていたのだ。

ここで一番かわいそうなのは母親だ。息子には嫌われ、夫は息子に寝取られるのだから。

しかし、もうサラムが父親以外と結婚しないのは、大分昔から決まっていたのに、今更偽造じゃなくって正式に結婚したいとわがままを言い始めたのは、兄弟婚が認められたからだ。兄弟で結婚できるのなら親子でなんで駄目なの?と駄々をこね始め、母を殺そうと会議でわがままをまた言い始めたのである。

余程母親を殺したいらしい。

「あのね、殺さないって約束しただろう?」

サラムは幼少時代真剣に母親を殺そうとし、魔力で息子に適わない父親は、妻の命と引き換えに純潔を失っていたのである。
重婚はしていないが、とっくに息子と不倫をする羽目になっており、息子曰くお清めの儀式で、母親に汚染された父の身体を自分ので清めるのだと、もう数え切れないくらいやられており、これが息子が母親を殺すと主張しながら実行できない理由でもあった。

「そう約束した気もしますが、やはり父上と正式に結婚するためには、あの男が邪魔なんです」

気がした、じゃなくて、ちゃんと約束したよね。どうして制約の誓を立てなかったんだろうと何度後悔した事か。

「サラム様、何がそう不満なんですか? 失礼ながら毎夜、ウィリアム様とズコバコし、夫人を辺境に追いやり、夫婦同然の生活どころか、そこらの夫婦より性回数が多いと言うのに……あとは戸籍上結婚していないだけで」

「あの男は正式に父上と結婚できるのに、僕だけ偽装結婚なんて許せない!!!!」

「それは分かりますが……現実的に難しいので……そろそろ子どもを儲けてもらわないと困りますし」

サラムはまだ10代で子どもを急かされる年ではないのだが、当主はもう40歳になる。魔力のお陰で外見は若いが、そろそろ子どもを儲けるのが難しくなる。サラムが父親以外とは嫌!!と言い張っているので、結婚も問題だが子ども急がないといけない。

悠長に正式に父親と結婚できる日を夢見てもらっては困るというのが親族の総意なのだ。だが結婚前に子どもを作ると私生児になってしまうし、早く偽装結婚をと急いでいるのだ。

「典礼省にそれとなく、無理かな?と聞いてみましたが、親子? 駄目駄目と言われてしまいました。しかも、重婚になるのに……」

「だからあの男は殺せと」

「サラム様、どうしても結婚したいのだったら陛下に直接お願いするしかないです。それで駄目だったら大人しく偽装結婚をして下さい!!!!」

しかし、王妃に関すること以外は真面目で常識的な陛下は……


「ふむ…そなたが父親を慕う気持ちは良く分かったが……父と子で結婚は。しかも細君はまだ生きているという二重苦では」

「しかし陛下! 私は13歳の時からずっと父上と結ばれています! 父上があの男のせいで穢れたお体を毎夜清めて差し上げて、はや5年!!! 夫婦生活は365日×5年=1825回 しかも朝昼晩と盛っている日もあったのでその数倍かもしれません! それだけ私と父上は番ってきた月日があります! それに引き換え、あの男はたった一回で私が出来たそうなので、父上とはたった一回しかしていないそうです」

勿論嘘だ。息子が『父上、あの男を何回抱いたんですか!!?? 僕はその数億倍貴方を抱かないと我慢できません!!!』と言い募ってきたので『一回だけだよ』と誤魔化したのだ。

「だから、もう父と子と言うよりは、妻と夫でしか有りません! 戸籍上も早く一心同体になりたいんです。どうか陛下! 特例を認め下さい!!!!」

ここでサラムはもう少し大人だったのなら、世慣れていたら……陛下がそれはそれは禁欲させられていて、弟や従兄弟をそれはそれは嫉妬していた事を知っていたら。性生活の回数を言わなかっただろう。しかし言ってしまったせいで。

「却下だ!!!!!!」

と、門前払いをされることになった。

しかし、門前払いされただけありがたかったのだということにサラムは気がついていない。
不貞を犯している事を自ら告白したので、国王がその気になれば処刑になったのだ。まあ、珍しい独自魔法を持つ一族なので処刑はないのを親族は知っていたからこそ、こういう無謀な事をさせたのだが。

「駄目でした……」

「まあ、そうだろうね。だからね、何度も言うけど親子だから結婚はできないんだよ」

親子でエッチしまくっているくせにウィリアムは何時までも常識的なことしか言わない。
親族からも息子の嫁になるようにと言われ、殆ど確定事項なのに何時まで経っても了承しないでいた。

「陛下も、王妃様からお願いされれば、許可を出してくれたかもしれないですが……王妃様は一般市民的な思考の方らしいので難しいでしょうね」

エルウィンは元上司たちの変態的結婚は知っていても(分隊長一同)近親婚とかドロドロの結婚までは知らない。
せいぜいクライスのところの陰険夫くらいしか知らないのである。


「は?……親子で結婚したい……それって俺がルカと結婚するのと同じだろ? 有り得ない!!!!!!!」

「で、でも、すでに父上と私は」

「帰ってください! 陛下にそんな非常識な結婚のお願いなんて俺から出来ません!!!」

と謁見数秒で拒否されてしまったのだ。

「ううっ、父上、僕ってそんなに気持ち悪いんですか? 僕が父上を好きなのはそんなにいけないことなんですか?」

どう見ても異常だし、気持ち悪いのだが、何度も諌めたが、聞かなかったし、最早ここ数年は親族も諦めて、早く子どもを作ってくださいよ、シフトしていったため、サラムは親子の愛が世間では茨どころか、キショい言われるものだと知らなかったのである。

「………そんなことはあるけど」

「ああ、父上にそんなことを言われたらもう生きていけない!!!!!!」

いや、何度も言ったでしょう……と突っ込みを入れたいところであったが、ツッコミを入れる前に、息子に息子を突っ込まれるのが日常になってしまったいたため、もう諦めていた。

「奥様からも、もう諦めて結婚してあげてください、と連絡が……」

どうでも良いことだが、何度も殺害予告をされ実の息子嫌われまくっている妻だがそんな息子でも可愛いらしく、息子に抱かれる切欠になったのも妻が、息子を受け入れてあげてくださいとお願いしてきたからだった。

きっと一生あなたしか愛せない可愛そうな息子なんです、一生温もりを知らないままは可哀想過ぎますと泣きながら訴えられ、ウィリアムは息子とする羽目になったのである。

「しかし、妻が不憫すぎるし」

産んだ子どもにも会え無いどころがこの世で一番に嫌われ、夫にも当然会えない。そして、夫は死んだことになり、今後は未亡人になるのだ。

妻に申し訳ないと言う気持ちもあって、息子とは結婚できないし、したくないという思いで一杯だった。


しかしそうは言っても、この独自魔法を捨てることはできないので、息子との間に子どもをもうける事は確定事項だし、妻の事もどうにかしないといけないと、決着をつけることになった。

「何で僕があの男に謝罪しないといけないんですか!!!」

「しかしだね……その、ほら……生んでくれたことの感謝と、私を奪うことの謝罪はすべきだろう? どこの家でもご両親に結婚の申し込みに行くだろう。それは一緒だよ……」

「僕があの男に父上をくださいと言わないといけないなんて!!!! 言わないと結婚してくれないなんて酷いです!!……父上!!!」

ケジメをつけるために、18年ぶりに妻(母)に、結婚の許可を得るために会いに行ったのであった。

「お礼なんて死んでも言いたくなかったんですが、一応僕をこの世に産んでくれてありがとうございます。父上の子として産んでくれた事だけには感謝しています。あと、僕に父上をくれるために死んで」

「こら」

「父上を僕に下さい!!!」

「すまない。短すぎる結婚生活しか送れず、18年も放置をしておいて申し訳ない……こんな変な息子を儲けるためだけに結婚をさせてしまって……何と詫びて良いか……」

「良いんです……サラムを幸せにしてくださいね。サラムも幸せになるのですよ……これはプレゼントです」

妻が差し出した二枚の書類……


「こ、これは!!!! 婚姻無効の書類と、特別婚姻許可証?」

この書類があれば、ウィリアムと妻の婚姻がなかったことになり(ただし、サラムは正嫡のままという特例)、そして特別婚姻許可証は父と息子の結婚を許可をするという書類だった。

「これはどういう……」

「王妃様にお願いしたのです。可愛い息子と夫が結婚できるようにしてあげたいと頼みました……始めは理解できないと言われましたが……」

それはあれだけ拒否反応を示していたエルウィンだ。妻のほうから、夫と息子を結婚させてあげて欲しいという希望など到底理解できるはずはない。

「僕が頼んでも駄目だったのに」

「正直にお話したんです。実は私は夫をこれぽっちも愛しておらず、本当は異性愛者だったことを……女性と結婚する事を反対され、ご当主様の子どもを一人生んだら自由にして良いと言われ……王妃様も異性愛者なのでとても私の気持ちが良く分かるとおっしゃっていただいて。サラムとあなたが結婚してくれれば、私も好きな女性と結婚できるのを知ると、王妃様は応援してくれました」

「くそ! 父上の純情を踏みにじった悪妻め!! さっさと汚らしい女と結婚をしろ!!!」

そういう息子は母から父を寝取った愚息であるが。

「ありがとう。祝福してくれて嬉しいよ。サラムも貴方もお幸せに……早く孫の顔を見せてね」

こうしてハッピーエンドに終わったかのように………

「妻に申し訳ない事をしたと思っていた私は一体……というか、私の存在が一番妻にとって必要ないというか邪魔で?……」

思えたが、ただ一人ウィリアムは妻に清清しく捨てられ、息子と結婚し、不幸に終わった。

『結婚おめでとうございます! 次は変な結婚をしたいと思う子どもが生まれないように。もし生まれた時のためにスペアをたくさん作っておいて下さい。ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━!! こんな変態結婚のためにもう会議開きたくないよ(BY親族一同)』

********
この結婚で一番不幸だったのはウィリアムで、一番幸せだったのはサラムと思いきや、そうではなかった。

「本当上級貴族って変態が多いんですね…まさか親子で結婚したいとか言いだす深窓変態が存在するなんて思いもよらなかったです。隊長のことを深窓変態とか、生まれつきのパンツ好きの変態とか思って申し訳なかったと反省しています。パンツなんて可愛いものなんですね……隊長が近親相姦とか息子が好きとか言い出さない普通の変態で良かったです」

隊長も普通に変態なのだが、サラム親子を見たエルウィンからしてみると、とても善良な変態にしか見えなくなるから不思議である。

「そ、そうだ! 私は良い変態なのだ!」

「そうですね。隊長くらいの変態で良かったと思います」

第三子を妊娠しているせいか、この国の深淵に気がついたせいか、最近ますますエルウィンは隊長を邪険にしなくなり、隊長は付け上がっていくことになるのだが……

END



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