「なんか最近、陛下と王妃様が良い感じのような…」

「そうだよな、裸で(パンツはあり)正座が最近ないよな……」

王城で働く文官たちは、皆、制約の誓をしている。その中でも最重要なので、国王と妃の不仲を他言する事なかれだ。
例え夫婦といえども王城であったことを話すことは物理的にも不可能だった。
不可能だし、言いたくも無かった。この国の国王の股間がとても素晴らしいものというのも勿論だし、尊敬したいはずの陛下が……

従って、同じ文官同士、王城の中でのみ国王たちの話題を話すことができる。

同僚同士でしか話せないし、一歩城を出たら同僚同士でも話すことはできなくなる。家庭で虐げられている夫たちは、妻に自分のほうが国王よりはマシなはずと言いたくても言えない。

そんな会話を息子たち三人を連れて王城の庭を散策中に聞いてしまったエミリオは、二人の仲が良くなった?と激しい疑問を抱いていた。
最近のエルウィンはマタニティブルーが激しいのか、非常に隊長を邪険に扱って、それはそれは迫害していたのに。まあ、第三王子の妊娠のきっかけがきっかけなので仕方がないと言えば仕方がないが。

ただ、ユーリと比べて少し反省をして、パンツをあげるくらいの優しさは出て来たんだが。

怖い物見たさに、エルと隊長がお茶休憩をしているというシーンを盗み見してしまった。



「………」

何だか、物凄くエルウィンが伸び伸びと隊長に甘えているように見えるのは気のせいだろうか。
いや、以前からエルウィンは隊長に甘えていた。甘えていなかったらあんな態度を取れない。あそこまで鬼嫁できるのは、エルウィンが何を言っても隊長は怒らないし、呆れないし、嫌わないという自信があってのことだ。

いや、でも、何であんなに子どもたちがいないのにラブラブっぽく見えるのだろうか。激しい疑問だ。もしやまた変な魔法をかけられているのではないだろうか。

激しく聞きたいが、良い雰囲気を邪魔したらただでさえ何故か嫌われているのに、余計顰蹙を買うと思ってよらなかった。
ギルバードがサラと遊びたいとダダをこねるので、ギルを置いてギルフォードの執務室に寄った。ギルフォードは大使の経歴を買われてか外務大臣をしているが、いろんな国から怖がられるいること国のこと。はっきりって国交がない。貢がれてはいるが、行事がウザイので招待するな、こっちもしないから、が原則なので非常に暇な大臣である。

「ギルフォード……エルウィンはまた騙されていないのか?」

「ああ、ちょっと良い雰囲気ってやつ? そうじゃないみたいらしいよ。何でも、悲惨な公爵家の運命とか暗黒のブランシュさんの話を聞いたみたいで、お腹の子を産むのを怖くなったらしいんだ。でも、隊長がなんとしても守るって言ったら、安心したみたいで、何故だか隊長の側にいると安心できるみたいで良く一緒にいるよ」

あー、あの話を聞けば不安になるのは間違いないだろう。あの方は一族の中でも異色の人だし。
一族の私があれはちょっとと思うのだから、公爵家なんて雲の上の存在誘拐好きだとしか思っていなかったエルにしてみれば、最愛の人をレイプして殺害するなんて、子どもに出たらどうしようとしか思えないだろう。私だってギルたちがそんなことをしでかしたら、流石にどうしようと悩むだろう。

「なんだか思うんだけど、隊長ってエル君に頼られたり好かれていると、物凄い威厳があるんだよね」

まあ、そうだろう。初期は威厳があった。だからこそエルのやつも尊敬をしていたんだが……段々、無くなっていったが。

「そうすると、隊長の魅惑魔法ってやつ? 余計効果発揮するんじゃにかなあ。エル君も余計それで、隊長に甘えていると心地良いみたいだし」

「……隊長の不幸なのは、愛とか男性として見られるってことじゃなくって、父性を感じているだけのような気がするんだが……まあ、悪いことじゃないけどな」

隊長は尊敬に値するときは夫じゃなくって父親みたいに思われているんだろう。
普段の態度もそうだ。
子どもがある程度大きくなると父親を邪険にするって言うじゃないか。汚い物のように扱ったり、臭いとか言ったり。エルの普段の態度はそうだな。

「そういえば、ギルフォードも父性が高そうだな」

普段は甘えっこだが、父親としては子ども達に好かれているし、仕事も一人前以上にこなす。父親業と領主と外務大臣を兼任しているんだから、まあ、有能なんだろう。
最近ではギルに剣も教え始めている。この顔で剣の達人だからな。ギルもサラを守るために頑張ると言っていたが。サラが嫁か………いや、悪くないがユアリス様と同じ顔の嫁だと思うと、こう、何ともいえない重苦しい思いが。

「え? ぼ、僕は、隊長と同列??!!!」

「同列と言うほど迫害されていないだろ?」

初めは部屋の片隅に置いておくと言ったのに、真に受けて、部屋の片隅で毛布に丸まり始めて。



あざとい、と思ったな。こっちが譲歩をしないといけないような可愛そうな境遇にいますと、全身で主張していたし。

それで一緒に寝るぞと言い出してしまい、なし崩しに身体の関係を持ってしまい、今に至ると……。

「僕のことお父さんみたいに思っているの? 男としての魅力は?!」

「お前のほうが年下で犬みたいで父と思うはずが無いだろ。だいたい、男のしての魅力……ないな。好みじゃないってはっきり言っただろ?」

「ひ、酷い!」

「でもまあ、父親としても合格だし、好みじゃないけど……夫としても悪くないし……可愛い子どもたちも産まれたし」

「エミリオ! もう一人作ろう!!!!!」

「アホか! もう打ち止めだ!! 三人もいれば充分だろう!!!」

飛び掛っているギルフォードに押し倒されて、執務室でって………

まあ、良いか。私が子どもを作ろうと思わなければこれ以上できないし。



と、珍しく隊長も幸せそうで、エミリオも何時もどおり適当だからかそれなりに幸せで。

ただ一人、あまり幸せでないのが



結構全裸でいる監禁で忙しいユーリだった(ただしクライス様の前限定)





- 331 -
  back  






×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -