「は? ジブリールを紹介して欲しい? 何で?」

エルウィンの長兄、エイドリアンと仲良くなった私は、エルウィンを通してではなく二人っきりで会うことが多くなった。
エルウィンは兄エイドリアンをお茶会に呼ぼうか?と聞いても、嫌そうな顔をするのだ。隊長の従兄弟ながらアレクシアとエイドリアンは夫婦円満なので肩身が狭い思いをするのが嫌なのだろう。

「その……エルウィンのところに遊びに行ったら、ジブリールという方がいて……エルウィンが素敵な下着を選んでいたので」

「素敵な下着って……エロ下着だぞ?」

エルウィンはパンツで自家発電を隊長にさせるためにセクシーパンツを好んで購入しているが、エイドリアンには必要ないだろう。

「分かっています……でも、はいたらアクレシア様が喜ぶかなって」

そりゃ、喜ぶに決まっているだろう。鼻血を噴出するはずだ。
今でも一族中から嫉妬の嵐なのに、エロ下着まで必要ないだろう。

「そこまでアイツを優遇してやらなくても良いだろう。今でも過分なほど幸せなんだから」

「でも……私のような魔力の低い者を娶っていただいて、領地も任せっきりなんです。せめて、私でできることで、アレクシア様が喜んでもらえたらと思いまして」

だからそれはそれは喜ぶだろうが、そこまで甘やかす必要があるだろうか?
あんな幸せな男を見た一族の男が、また嫉妬をし、更に余計な希望を持って後に失望するだろう。ここまで奥ゆかしく、夫を熱愛する妻なんて公爵家一党にいただろうか。いや、いたはずがない。

「まあ、そうしたいんだったら紹介しても良いが……エルウィンに紹介してもらえば良かったのでは?」

ジブリールは私の部下だが、下着販売という点では、エルウィンが御用達なのでエルウィンに紹介してもらうのが筋だろう。別に紹介しないわけではないが。

「その……恥ずかしくて」

エロい下着を買っているエルウィンのほうが恥ずかしがるべきだろう。

「実は……私、無いんです……あそこの毛が」

うん、何となく想像ついていた。アレクシアが秘密の花園素晴らしいとか言っているのを聞いたからな。
エルウィンと兄弟だし、不思議じゃないだろう。隊長といい、アレクシアといい、パイパンが大好きみたいだしな。

「なくてもはく下着に変わりないだろう。エロい下着はエロいんだ」

「その、色々エルウィンが下着を選んでいる時に、ジブリールさんが、毛がない人用の際どい下着を開発したって聞こえてきたんです。アレクシア様のために、そのP用下着というのを手に入れたいんですが、エルウィンにも言えないし。できれば内緒で手に入れたいんです」

P用下着……常にパイパンを強いられているフェルナンに、ジュリアが喜んで買い占めそうな下着だな。我が隊でもパイパンを愛する会のメンバーが着々と増えているようだし。ジブリールは商売に成功したな。

「分かった。凄くエロい下着を持ってくるようにジブリールに伝えておく。P用をな」

しかしエルウィンに言うのは恥ずかしくて私には良いのか? まあ、他人のほうが恥ずかしくないかもしれないな。
三つ子を産んだばかりなのに、P用パンツでサービスとは、どれだけアレクシアの奴愛されているんだ?
もう子ども5人もいるのに、どれだけ子どもを増やすつもりなんだろうか。

「パイパンは遺伝なのか? その、伯爵家は皆そうなのか?」

「え?……分かりません。私はそんな恥ずかしい事聞けませんでしたし、デリケートなことですから」

エルもそうだし、次男エドガーさんもそうなら完全に秘密の花園家系だろう。
この様子で子どもを増やしていったら、パイパンが増産されるかもしれない。
妻になるのだったらまあ良いだろうが、夫になるやつまでパイパンになったら、ただでさえ公爵家の男は妻に迷惑をかけるのに、パイパンだったら……私なら夫にしたくない。

しかしすでにパイパン妻が二人も公爵家に嫁いでいる。このままだとかなりの確率で、パイパンが遺伝子に輸入されるのではないだろうか。

誘拐公爵なら畏怖の対象だが、パイパン公爵なんてことになったら……嘲笑の対象にならないか?
まあ、怖くて笑えないだろうが。隊長を見ていると、パイパンだろうが堂々とまっぱで歩きそうだが。

と、秘密の花園について一族の遺伝をなんとなく心配していた。更に嫌な家系になりそうだと。

しかしエミリオは知らない。将来、自分の息子が隊長たちと同じように秘密の花園に魅了されることを。


「エミリオ様、ありがとうございました。アレクシア様、とても喜んでくれました。六人目ができてしまうかと思いましたが、避妊の方法を覚えたそうで、当分はあの下着を楽しみたいって言ってくれました」

「そうか……役に立てて良かった」

秘密の花園……それは一族の男を魅了して止まない、桃源郷だ。





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