「どうしてそう性行為が嫌いなんだ? 別にリオンさんのことを嫌いとか、エルウィンのように異性愛者というわけじゃないんだろ? いくら性欲がないからって言っても、週2まではいかなくても月に一回くらい夫に答えてやろうとは思わないのか?」

「分かりません……でも、もう子どもはいるので跡継ぎという点では問題ありませんし、する必要が思いつきません」

「年に二回なら我慢できるのか?」

「なんとか……」

なんとなく兄御肌のエミリオはラルフの淡白さ具合というか、鬼嫁さ具合が気になり、原因究明にあたっていた。

ちなみにクライスはラルフに余り積極的に話しかけていない。頭の中でユーリが、見惚れられていたよね(^▽^)彼の視界に入っちゃ駄目だよ、という声が響いているからだ。ユアリスの夫自慢の話し相手にされており、ゲンナリとしていた。

「前の奥さんに性欲を感じた事なかったわけか?」

「フェレシアにそんな感情を抱くなんてっ……俺のために身を粉にして働いてくれていたのに……フェレシアは聖母のようで、そんな感情を抱いていい相手じゃないんです」

じゃあ、何で結婚したの? 愛し合っていたんでしょ?
性欲ないのに、夫としてどうするつもりだったの?
と一堂は思ったが、病気のせいで触れ合うこともできなかったので、セックスするとか考えもしなかったのだろうと結論付けた。

『元奥さんを神聖視しすぎているのが原因じゃないか?』
『まるで性欲とかエッチが悪いことだと思っているみたいですよね?』
『奥さんの清らかさと、リオンさんのゴキブリのような性欲の差が激しすぎて余計ギャップがあって駄目じゃないのか?』
『奥さんと和解しても駄目だったみたいだし……奥さんだって今はリーセットとやりまくっているのに、神聖視しすぎじゃないのか?』
『長年の闘病生活の上のトラウマでしょうかねえ……』
『でも、吐くわけでもないし、今までイヤイヤながら何とか数回はこなしているんだったら、リオンさんがもっと積極的に行けば……』

ラルフはトラウマになるほどリオンとの性行為を嫌っているわけではなく、できればしたくない、というレベル。
抱かれて吐きそうになるわけでもなく、ただ軽蔑するレベルなので、リオンが初回のように強引に押し倒していけば、回数をこなしていきこんな物か……となるかもしれないのに。
隊長と一緒で、初回は強引にいけても、その後の妻の冷たい対応に、強引にいけなくなるのが玉に瑕なのだろう。

「リオンさんじゃなければ、誰だったら妻になっても良いと思うんですか?」

「それはリオン以外だったら、誰と結婚したいという事でしょうか?」

「そうです。どんな人だったら拒否反応を起こさないのかなあ……と思って」

「……特に思いつかないですね。ただ、フェレシア以外の誰かと結婚するんだったらリオンです」

一堂は、えええええ???あれほど嫌っていて????と疑問で一杯だった。
ラルフは別に嫌っているわけではなく、性欲を嫌っているだけなのだが。性欲を厭う=だんだんリオンも嫌いになっていっているだけである。

「リオンは子どもの頃からずっと俺のことを好きでいてくれたみたいですし、俺のために何でもしてくれました。リオンが望むなら、リオン以外と結婚するのは……」

「でも、結婚してもエッチはしたくないと……」

「はい」

「アンリ様みたいな方がいればきっと抱かれたくて仕方がなくなるのにね」

それまでクライスに夫自慢をしまくっていたユアリスが、夫とエッチをしたくないというラルフの会話に加わってきた。

「まあ、アンリ様みたいな方だったらラルフさんでも……」

公爵家らしくないスマートさを持つ、一族期待の星一代目アンリならラルフのような妻を持ったとしても、リオンのように性欲むき出しにせずに妻を抱く事ができるだろうと皆は思った。

「でも、アンリ様みたいな方はそうそういないですし」

「当たり前だよね! 僕のアンリ様のような素敵な方はどこにもいないよ! だから、辺境伯夫人は永遠にエッチ嫌いなままなんだろうね」

それからは、ラルフのエッチ攻略法ではなく、いかにユアリスの夫が素晴らしい人が聞かされ続けた。


さて、嫁入り前のローワンといえば………弟といでども最近というか、肌を見せないという家訓は子どもの頃から徹底されており、兄といえども弟のイチモツを見たことがなかった。
辺境伯家に生まれた以上弟もデカイのだろうと推測はしていたが……

父も見せようとせず、具体的な大きさまでは知らなかったわけだが……

「何時、兄と結婚するのか? 祝いを贈ろう」

「ありがとうございます! 陛下。僕が18歳になったらって考えています。両親も、卒業した日に結婚すれば良いって言ってくれていて」

どんなに反対した事か分かりはしなかった。兄弟で結婚なんておかしいでしょう!と常識に訴えようとしたが、常識は愛に勝てなかった。
『だってこのままじゃあ、きっと一生独身になってしまうんだよ? 弟がお兄ちゃんのことを思って一生一人身なんて可哀想だろう?』
『お兄ちゃんだったら結婚してあげなさい。そんなにかっこ良く生まれてきたせいなんだから責任をとってあげなさい』
と誰もみかたがいなかった。

弟は弟で
『お兄ちゃんと結婚できないんだったら、自殺するんだから! お兄ちゃんが誰かと結婚するのを見るくらいだったら命を絶つ!!!』
と脅迫してきて、いまいち断わりきれないのだ。
当主であるリオンは、弟が嫌なら他の一族の誰でも良いと言うが……そもそも一族が嫌で家を出たいのであって、一族と結婚したら意味ないし、他の男と結婚したら弟が死ぬと言うし……と頭の痛いローワンであったが………しかも、一族は優しい男が多いので、兄に恋をしている弟がいるのに、自分がとるわけにはいかないと辞退されまくって、結局一族の中でも候補は弟しかいないという有様なのだ。
その頭の痛い状況の中で………
公爵家・王族・辺境伯家の面々が、股間を全く隠さずブラブラしているのを見て……ローワンはある歌を思い出した。

さいた さいた
おうこくの棒が
ならんだ ならんだ
あか くろ ぴんく
どの棒見ても おおきいな

作詞作曲ローワン

流石一流貴族ばかりで、高位魔力保持者ばかりだ。その股間の物は、皆素晴らしいものを保持していた。

採点のために全ての股間を見て、ローワンは気を失った。

「お兄ちゃん大丈夫!!!????」
「大丈夫かい?」
「どの棒見ても おおきいな〜………はっ? 俺は何を」
「お兄ちゃんは、湯あたりして倒れたみたいなんだよ。この方が助けてくれたんだ」
「そうだったんですか、ありがとうございます……あのお名前は?」
「名乗るほどのものではありません。通りすがりのただの一般貴族ですので (ヽ´ω`)」

と親切な一般貴族はまた風呂場に戻っていった。

「あれが……一般貴族????」

公爵家や辺境伯家というのだったら分かる。しかし、一般貴族のイチモツがあれほどなら………ローワンは他家に嫁ぐ意味ってあるのだろうか、と頭を抱えた。

そして湯上り後、ローワンによる品評会?の結果は発表される事になっていた。
ここで一位を期待しているのはギルフォードだけである。他の夫たちは別に一位に拘っていない。むしろリオンのように絶対に一位になりたくない夫のほうが多かった。妻の反応が怖いからである。

「さあ、ローワン一位は誰だ?」

「……そ、その。皆様、素晴らしい物をお持ちで、太いのから、長いのから、カリが大きいのから……甲乙つけがたく……っ。何を持って一位にして良いのか、皆目検討がつかず……体積を重要視するのか、長さか太さか……」

一本一本見て行ったが、どれもが極悪な持ち物ばかりで、こんな夫嫌だと思うようなイチモツしかなかった。

「そもそも、平常時の物を比べても意味がないのでは? 重要なのは膨張率でありマックス時の大きさかとっ」

ローワンは逃げた。一位をつけたくなかったからだ。

「ローワンさん、そうやって逃げるのはリオンが一番だったからでは?」

ラルフは不当な圧力がリオンからローワンにあったのではないかと疑っていた。

「違いますっ! えっとあるじゃないですか? こんな歌! ナンバーワンにならなくても良い、もっともっと特別なオンリー棒って! それぞれが物凄く素晴らしい物で、オンリーワンなイチモツってことでっ」

「「「「「あのおじさんが一番太かったよ!!!」」」」」

子どもたちが通りすがりのヨロヨロと廊下を歩いている貴族の男性を指差した。
指をささされた貴族青年は、何を言われているのか分からなかっただろうが子どもたちに手を振って歩いて去って行った。 (ヽ´ω`)

それは皆に比べて特別大きかったわけではなかったかもしれない。だが、穏やかそうな顔に比べてその股間の太さとのギャップを感じたのかもしれない。あとは子どもたちの父親から、あのおじさんだって言いなさいという圧力があったのかもしれない。関係ない通りすがりのおじさんがスケープゴートにあげられたのだ。

「そ、そうですね! 俺もあの青年貴族が一番太かったような気がします。あの通りすがりの方が一位でどうで」

「駄目!!!!!! ぜ〜〜〜ったい駄目!!!!!!!!!!! メリアージュの夫に僕のアンリ様が負けるなんて〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「アンリ様が一番なんだもん!! 僕のアンリ様が世界一のはずだもん!!!!!!」

と泣き喚いて収拾がつかなくなっていた。

「そうですね、ユアリス様。アンリ様が一番のはずですよね? なあ、エル?」

「そうですね! 公爵家の当主がやっぱり一番ですよね? 隊長?」

「おお、そうだな。やはり父上が一番だろう、なあそう思わないか? ローワン、リオン」

「ええ!!! 公爵家のご当主がやはり一番でしょう! なあ、ローワン」

「え? はい、そう思います」

「そうだもん! アンリ様が一番だもん!!!!!」

「ユアリス、私はユアリスの一番であれば、それで良い」

「アンリ様っ!!!!!!!!!!!!」

こうして一位は無難な所?でアンリということになった。

そしてこのチンコ品評会は、意外な効能があった。
公爵家の妻たちはどうせ誰が一位になったって、夫のでかさは変わらないんだし、どうでも良いやと思っていた。

だが、批評家をさせられたローワンは……

「お兄ちゃん、陛下が結婚式のお祝い何が良いって聞かれたんだけど、欲しい物ある?」

「お前の好きなものにして良いぞ……」

「えっ! それって僕のお嫁さんになってくれるってこと!?」

「(−_−)なんかもう……どこに嫁入りにいっても同じかな……どの棒見ても、同じかな〜♪って歌が、脳裏に浮かんで……どうでも良くなってきたような……」

ある一人の兄が大人しく弟に嫁にいっても良いような気持ちにさせたのだから、チンコ品評会は成功したといえるだろう。

そして辺境伯リオンは4年に一回の危機を脱し、なんと年に4回を勝ち取ったのである。

「幸せ (*´▽`*)」

年に四回はラルフを少しはエッチ好きにさせることができるだろうか?

END

「貴様っ!!!!!!!!嫁入り前の男を介抱したらしいな!!!そんなに可愛い子だったのか!!!」
「ち、違います! どちらかというとイケメンでっ!!!!」
「イケメンも守備範囲に入ってきたのか!! 許さんっ!!!!!!! 今夜はもう寝かさないからな!!!」

とばっちりを食ったのは、通りすがりの温泉に来たある伯爵だけだった。

「何もしていないのに何で……(ヽ´ω`)」





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