稀代の鬼嫁と公爵家で最も恐れられた人、それはオーレリーであった。
オーレリーの前までは誘拐花嫁ばかりだったので自由が無かったが、オーレリーは元々王国民であり、公爵家の一員でもあった。
そのためだろう。自由が初めからあり、そして長男アンリが生まれるまでは普通に夫婦生活を営んでいたため、夫であるアルフが今更花嫁の塔に閉じ込められないと思ったのかもしれない……
「ただい……」
「お帰り…オーレリー。オーレリーの顔を見た瞬間に出ちゃった」
「アンリ、お前はああなっちゃ駄目だからな」
夫が早いのは知っていた。結婚する前は仕事中だろうがしゅっちゅう勃起していて周りに心配をさせていたからだ。
だが、普通に夫婦生活をしていた間はそうは感じることは無かったが、アンリが生まれてからはずっと夫婦生活を拒んでいるせいで、顔を見た瞬間に出すってどこまで早漏なんだ?
何で俺はこんな男が好きなんだ?
と、頭が痛くなる有様だった。
アンリを連れて家出したのだが、どこに行くのにも着いて来るのだ。今日のように、城を移動してアルフから逃げてきても、すでにもう引越し先で待っているのだ。
「オーレリー、アンリももう3歳だ。そろそろ次男を作らないと」
「別に跡継ぎがいるんだから、二人目は必須じゃないだろう」
貴族階級で、人口を維持する(魔力の高い)ために二人は子どもを儲けるのは義務のようにはなっているが、魔力が高い者同士だとなんとか一人跡継ぎを確保ということも珍しくない。まあ、俺の場合はアルフを遠ざけているからだが、すでに魔力の高い公爵家の跡継ぎとして申し分のないアンリがいるのだ。二人目がどうしても必要という訳じゃない。
「私的に必須なんだ!!! オーレリー! 股間が溜まりすぎてもげそう……(´;ω;`)」
「溜まり過ぎてって……さっきも出しただろう。見ていてやるから、さっさと出せ」
「そ、そんなプレイやだ……(´;ω;`)オーレリーと合体したい」
「うるう年に一回やらせてやるって言っただろう。あと一年待て」
「待てない……(´;ω;`)股間が爆発する!」
「股間が爆発しようが、もげようが俺は構わんっ!」
アルフのことは愛しているが、愛しているから遠ざけたいんだ。
「お願いエッチさせてっ!」
「……どうしてもしたいんだったら、一緒に死ぬのは無しだ」
「そ、そんなっ(´;ω;`)酷いっ!」
「この城もお前がいるなら出て行く」
家出→アルフが着いて来る→家出の繰り返しだった。
しかし、ある日義理の両親に呼び出されて、しぶしぶ公爵家に戻った。
「え? アルフに弟が産まれた?」
昔は花嫁の塔に閉じ込められていたという義母も、最近では義父と心を通わせ普通に公爵家の城で暮らしている。仲が良いとは思っていたが、かなりの高齢で、孫までいるのに三男ができたのか?
「そうなのだ……しかし母上は高齢なのを心配していて、私たちに弟の第二の両親として一緒に育てて欲しいそうだ。アンリの弟として」
「それは構わないが……」
莫大な魔力があっても寿命まではどうしようもない。ある日、突然、魔力が枯渇し、眠るようになくなってしまうのだ。こればかりは何時どうなってしまうかは、誰にも分からない。
「だからこの城で、もう私から逃げ出さず一緒に暮らして欲しい(´;ω;`)」
「……分かった」
「ついでに、メリアージュに弟をっ!!!!!!」
「頑張って、うるう年に種付けをしてみろ」
可愛いメリアージュに弟をプレゼントしてあげたいから、うるう年は解除じゃ駄目?と何度も強請られたが、うるう年はもうすぐそこまで来ていた。
「うるう年にできなければ考えてやろう」
アンリは出来にくかったから、一回じゃできないだろうと思っていたが、4年間、溜め込みまくっていたせいなのか(顔を見ると放出をしていたが)次男のブランシュはたったの一回でできてしまった。
「うわあああああああああああ(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)なぜ、一回で出来てしまうのだっ!!?????」
と嘆きまくっていた。
ちなみにこの繁殖力の強さは、孫に受け継がれた。ついでに、瞬殺力も………
こうしてうるう年に一回しか出来なかったアルフだが、老後、妻と両思いになれて、若い頃できなかった分まで頑張っているのであるが。
「マリウスもそろそろ生まれるな。名前は考えたのか?」
「はい。アルベルの名前もおじい様たちが考えてくれたと聞いて、この子もおじい様たちが名づけ親になってくれますか?」
楽しそうに、オーレリーとアルフが名前を考える光景が見られたとか。
「私たちにもオーレリーに似た子が欲しかった(´;ω;`)」
「仕方がないだろ。アンリとブランシュはお前に似たし」
「父上たちのように、愛の証だったメリアージュのような子が欲しかった(´;ω;`)」
「あの二人は、お前たち上二人を作った時は無理強いだっただろう。だが、俺の場合はアンリもブランシュも不本意ながらお前の事を好きだった時にできた子だ。充分両思いの証だろう?」
「でも、私は知らなかった(´;ω;`)今からでも」
「無理だっ! もう90代だぞ! メリアージュですら、大陸一の記録なのに」
「愛があれば、記録なんてっ! メリアージュに今度は第二の親になってもらって」
「そのメリアージュは、マリウスたちに第二の親になってもらっているのにか? もうお互い数年の寿命だろう。そんなに俺に似た子が欲しければ、孫たち四人に期待しろ」
オーレリー似の子が欲しいと泣き喚くアルフだったが、今のところひ孫でオーレリー似の子はいない。今、絶賛子作り中のユーリに期待をするしかないだろう。
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