メリアージュ様が妊娠した。

メリアージュ様はずっと親友のイブちゃんや甥のアンリ様に対抗をして二人目の子を欲しがっていたが、ロベルトを出産後妊娠の兆しもなかった。

仕方がないだろう。ロベルトを授かっただけでも奇跡なのだから、二人目など望むほうが贅沢なのだと思っていた。

しかしお互い60代になって、思いがけず二人目を授かってしまった。

勿論嬉しくないわけではない。高齢出産とはいえ、魔力のない平民とは違い肉体的には何時までも若いままだ。だから妊娠することが難しいが出産に問題はない。

だからといって心配をしないわけはなく、私はメリアージュ様が出産するまでずっと側にいることにした。

何故って……メリアージュ様は、この歳になっても私を監視することを止めないのだ。
魔法が使えるときは常に監視をし、魔法が使えない今は私について回れないので、監視員を使っているが、自分自身が見張れない事に非常にストレスを感じていらっしゃるようで、胎教のために私はメリアージュ様から離れないことにした。


「メリアージュ様、朝ご飯ですよ」

妊娠してからメリアージュ様はとても良く寝るようになった。朝、私が起きてもそのまま寝ていて私が毎朝起こすことにしている。

「今日も……美味しそうだな」

物凄く不本意そうな顔で私が作った朝食を食べてくださる。メリアージュ様のために私が作った朝食を召し上がっていただいているが、メリアージュ様が何故不本意かというと……奥様は専業主婦だったにも関わらず非常に、その、家事が不得意なのだ。

ご飯を作らせたら墨にして、謎の味付けをし、謎の物体Xを作成した。服は魔法を使っても何故か破壊し、部屋の掃除もする必要がないほどになっていた(要するに城が無くなっていたのだ)

メイドや使用人がやるのでメリアージュ様は家事をする必要はございませんと何度も諭したが、自分がやりたいと言い出して(私が食べる物を、他人に作らせたくないそうなのだ)しばらく墨を食べさせられた事は、今となっては良い思い出だろう。

そして朝食は私とメリアージュ様だけではなく、オーレリー様とアルフ様も一緒だ。
以前だったら私が作った食事など食べれたものではないわ!とひっくりかえされそうだったが、オーレリー様と復縁?したせいだろうか。毎日満たされているアルフ様はそれほど嫌味を言わなくなった。私に嫌がらせをする暇があったらオーレリー様といちゃいちゃしたいだけだろうが。

アルフ様は始めは週一良い?と奥ゆかしく聞いていたのに、絶対に週一では済んでいないような気がする。そうではないと、ロベルトをメリアージュ様が身篭った時は毎晩のように邪魔をしに来ていたというのに、今は全く邪魔をしにくることがないのだ。

ちなみに、マリウス、ロベルト、アルベルはまだ別宅は出来ていないが、食事は別の部屋で食べている。同じ屋敷の中で暮らしていても部屋はたくさんある。今まで親子三人で暮らしていたのに、急に生活を変えるのもストレスになるだろうと、基本的には別の生活をしている。

ただお茶会や、アルベルが遊びに来てくれたりして、以前より賑やかな暮らしになってはきている。
メリアージュ様も孫は可愛いのかアルベルを可愛がっている。しかし孫が2人目生まれるというのに、また自分の息子が出来るというのはおかしな気分だ。

今日もお茶会を開いてメリアージュ様とマリウスとオーレリー様が楽しそうにお話をしていた。私は……マリウスと会話をメリアージュ様に禁止されているので(メリアージュ様のストレスになるので、大人しく聞いている)隅っこのほうで、何時ものようにアルフ様とアルベルの3人でお茶会をしていた。

「じーじ、遊んでっ」

「おお、アルベル。可愛いな〜」

余り可愛いと言っているとこれまたメリアージュ様のストレスになるので、目の前では余り言わないようにはしている。メリアージュ様は自分のご容貌が可愛くない事を気にされているのだ。とても凛々しくて美しい方だというのに、変なコンプレックスがあって困る。何度それで死線をさ迷ったか分からない。

アルベルを抱っこしていると、アルフ様に寄こせと言われる。一応、アルフ様もアルベルの曽祖父のつもりでいるらしく、猫かわいがりをしていた。

「アルベル〜私のひ孫の一人と結婚するか? たくさんいるからな、好きな婿を選ぶのだぞ」

「い、いけませんっ!」

「何だ? 私のひ孫が不満なのか? ルカとアンジェは跡取りだから婿には出せんが、それ以外の子だったら可愛いアルベルの婿にくれてやるというのに! アルベルはお嫁には行かないんだよ〜ひ孫のうちの好きな子を婿にするんだよ〜」

またメリアージュ様をアンリ様のお嫁にしようとしたのと同じように、他家に出さず内々で済まそうという魂胆なのか。失敗しても懲りるということを知らない方なのだな。
確かに良いご縁ではあるだろうが。

「お嫁を貰うというのが一般的なのですが……」

「こんな可愛いアルベルに夫は似合わないだろう! 婿を迎えるのが一番だ。ジュリスかユリアをやろう」

アルベルの母方の実の祖父の思い通りのように動くアルフ様……公爵家の血があまり感じられないアルベルには余り公爵家の人間と付き合って欲しくはないのだが。私が一番身をもって知っている、苦労すると。

そして夕食も私が作り、メリアージュ様に食べて頂いた。つわりがないようで何よりだ。

そしてメリアージュ様をお風呂に入れて差し上げる。基本トイレ以外は私は半径50メートル以上離れないようにしている。この屋敷から出る時は常にメリアージュ様を持参している。

しかし最近お風呂を一緒に、を、嫌がるようになってきた。何故だ???(´・ω・`)

「父上もデリカシーがないですね。体形が変わってきて母上も恥ずかしいのでしょう。はっきりと言葉に言えない人なんですから、父上がもう少し察してあげないといけませんよ」

妻であるマリウスも同じだったらしく、体形が変わってからはエッチも恥ずかしがるようになったらしい。

しかしメリアージュ様は夜は変わらず迫ってくるのだが……しかし、確かに服は脱がなくなった。

そして、妊娠中は大事にしないとと、私がメリアージュ様と交わることを拒絶すると、直接しなくても私を気持ちよくさせて見せると……お手に持っていらしたのは……にょ、にょう○バイブ(´;ω;`)

「そ、それだけは勘弁して下さい!!!!」

「お前は嫌な物が多すぎる!!! 前立腺系のは止めてやっただろう!!! 今は俺が相手をできないのだから、お前が満足できないと浮気をするかもしれないと思って、俺が作ってやったというのに嫌がるのか!!!!!」

「嫌な物は嫌なんです!!!」

それはメリアージュ様のストレスを無くすためなら私は何でもやりますよ(´;ω;`)
でも○道バイブだけは嫌なんです〜〜〜しかもなんですかその太いの!!!!???(´;ω;`)

「ストレスが溜まって流産しても良いのか!!!」

「そ、それはっ(´;ω;`)」



次の日

「ロベルト……昨日悲鳴が聞こえたような気がしたんだけど……」

「気のせいだ。今夜からは防音魔法をかけて寝たほうが良いな。俺も子どもの頃、よく悲鳴を聞いたものだ。きっとそら耳だったんだろうけどな……」

「あれ、お義父様……なんで、今日は蟹股で歩いているんだろう。なんか前屈みでもあるし」

「うちに住むようになれば、あれが日常風景だ」
(ちなみにトラウマの元でもある、とはマリウスにはあえて言わなかった)


「……メリアージュ様のストレス解消のためなんです(´;ω;`)決して私の趣味ではないっ」



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