「そうか……」

「怖かったよ〜〜〜」

「あのな!……お前が隊長なんだろう? 何でそんなにクライス副隊長とエミリオ分隊長を怖がるんだ」

昔からイアンはあの二人を怖がっていたが。お前のほうが強いんだし、部下になったのに、何で今でも命令されているんだ?

「でも、怖いのっ! だから、ギルフォード王子とユーリ隊長にまた産休を取らせてくださいってお願いしてきた」

まあ、今まで部下だったから、急に上司だった人を使う立場になったのは違和感を感じるのは仕方がないだろう。けれど、そうじゃなくて本気であの二人の事を怖がっているからな。

「エミリオ分隊長はともかく、ユーリ副隊長はそう簡単に妊娠しないだろ!? しっかりしろ! お前はいまや第一部隊隊長なんだぞ! 第一部隊隊長といえば、代々公爵家の跡取りがなるポストで全ての部隊の中で最も格が高いといわれているのに」

本来だったら、隊長が国王になるので、弟のユーリ隊長が第3部隊から移動になるべきなのだが。色々事情があってこのイアンが任されたわけだが。
何でこんなに弱気というか、怖がりなのだろうか。あの二人も名門の出だが、お前もあの辺境伯家の出だろう。身分に不足はないのに。まあ、こんなふうだから、夫にしても都合が良いと言えば都合がいいのだが。

「だってだってっ」

「イアン、お前は俺の夫として、イリヤの父親として恥ずかしくない男になると約束しただろう! だったら、あの二人にも堂々としてみせろ!」

「………じゃあ、エッチな下着を着て僕にエッチなことをして?」

お前ここでオネダリか!
妻にエッチな事をされたいのか?
アホかと罵りたいが、こういう夫だと分かっているので……口で言えるようになっただけマシだろう。昔は僕の言う事を察して、というオーラを出していただけだからな。

「明日、あの二人に堂々としていられたら、凄くエッチなことをしてやるよ」



この国で、奥様が旦那様を愛している夫婦は凄く少ない(貴族限定)
しかし、その例外とも言える公爵夫婦がいた。

「アンリ様。おかえりなさいっ! 僕にする? 僕にする? 僕にする?」

選択肢は三つだが全てが同じだったりする。普通は、ご飯にする?お風呂にする?僕にする?になるのだが、このユアリス様のポンコツさ具合は、魔法のノーコンだけではない。
家事は勿論出来ない。掃除も料理も風呂を入れることすら出来ないのだ。子育ても勿論乳母任せ。可愛がってはいたが世話はできない。しかし、貴族の奥様は家事は自分ではやらないし、子育ても乳母に手伝ってもらうので問題はいと言えば問題はない。
しかしその家事能力の無さは、永遠のライバルであるメリアージュに匹敵するものがあった。
こんなノーコンポンコツ王子様を国王になどという話があったのがお笑いですらあるが、ユアリスのポンコツさ具合はばれる前に結婚しているので、それほど知っている人は少ない。
息子たちですら母親がポンコツであることを知らないだろう。

「勿論ユアリスに決まっているだろう? ただいま、私の美しい奥様」

そんなポンコツ美人妻を熱愛している夫アンリは、別段妻がポンコツだろうと気にしていない。むしろポンコツさ具合も愛しい熱愛振りなので何の問題もない夫婦だったりする。



さて、そのポンコツユアリスの永遠の敵であるメリアージュ様はというと。


日々絶え間ぬストーカーによって、夫がほんの少しでも可愛い部下に見とれている(視線をやるだけでアウト)のを発見すると、帰宅をすると同時に夫にお仕置きを開始する。
ロアルドは帰るなり全裸にされ、前掛けをかけられ妻に乗っかられるわけなので「ご飯にするか? 風呂にするか? 勿論俺に決まっているよな?」と聞かれることもないままだ。

「……母上、子どもの前で父上に前掛けを着せるのは止めて下さい」

勿論息子がいようが平気でお仕置きをするので、息子からクレームが入ることも多い。これで息子のトラウマが乳首だけで済んだのは奇跡かもしれない。

「メ、メリアージュ様っ! お願いですからせめて寝室へっ! 玄関でお仕置きは止めて下さいっ(´;ω;`)」

「うるさい! 何故お仕置きされると分かっていて、可愛い部下を見るんだっ!」

「不可抗力です! だって一応私は部下を指導する立場でっ! 真面目に訓練をしているか、見張っていないといけませんし! 可愛い部下だからといって見なかったらサボるでしょう」

「何故、マッチョな部下を外したんだ!」

「それは私の部隊だけ不公平だとクレームがっ」

「駄目だ駄目だ! 可愛い部下も美人な部下も見ることは許さんっ! 俺がお前の部下を入れ替えするまでお前は監禁するっ!」

こうして初期にはロアルドの部下はマッチョばかりだったが、途中でマッチョばかり集めるのは公平さに欠けるといわれ部下に可愛いのが混ざってしまったが、妻であるメリアージュの怒りにふれ、監禁されて出勤できないのを目のあたりにすると……メリアージュに夫の部下を選別する権利を与え。結果またマッチョだけの部下になった。

こうしてマッチョだけの部下になり奥様のお怒りに触れなくなったロアルドはやっと出勤する事と許された。

「行って来ます(ヽ´ω`)」

絞りつくされた父親を見送る息子は、今更なんとも思ってはいないが……母のようなお嫁さんは絶対に要らないと思ったこと抱けは間違いなかった。

「ただいま帰りました」

「ご飯にするか? 風呂にするか? 勿論俺に決まっているよな?」

「は、はい! 勿論メリアージュ様に決まっております!(ヽ´ω`)」

ちなみに通常のメリ様だが、怒っているように見えるがこんな感じで普段はツンデレっています。




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