エルウィンに勝る鬼嫁と評判だったラルフを改心させ、愛する夫の役に立ったエルウィンは更に夫のために身をやつすことにした。

「ここがあなたの実家で、言う事を聞かない鬼嫁の巣窟なんですね?」

公爵家の親族の夫たちは両思いの夫婦などほとんどいない。ほとんど誘拐か、策略で結婚して妻に嫌われているのだ。
そのためこの週2法案を泣いて喜んだわけだが、エルウィンのように無視するというわけではなく、国王の命令なのだから、と努力はしていたのだ。しかし、何の罰則も無いザル法案だというエルウィンの記憶喪失前の主張が噂になって聞こえてきて、妻たちはこの法案を無視し始めたのだった。

「お、王妃様っ」

夫の親族の一人である、イケメン妻をエルウィンは直撃をした。

「俺の愛する陛下の勅命を無視する不届き妻のいうのは貴方ですか?(^▽^)」

「え?でも、無視するように嗾けたのは……」

王妃様だったはずと言いたかったイケメン妻だが、仲の悪いはずの夫と手を繋いでいるエルウィンを見ると、いったい何が起こったのか分からずそれ以上言えなかった。

「いったい、旦那様の何が気に入らないんですか? 陛下のご親族なんですから、きっととても素晴らしい夫なんでしょうね?」

イケメン妻は物凄い重圧を感じた。

「そ、その………強姦されたんです! しかも、出会って三分後!……俺は夫の名前も知らなかったのに、入隊式で出会ったばかりなのに、隣の席に座って入隊式に今からという時点で、突然名乗りもせずに転移をされて、有無を言わさずに汚されました!!!!!! しかも汚された時間はわずか10秒……入れて二擦り半で!!!!!!」

「二擦り半も持てばいいじゃないですか(^▽^) 陛下なんか、入れて瞬殺ですよ。でも愛するあなたですから、瞬殺でも、一擦りでも、俺は全然気にしません。ね、あなた」

「そ、そうか……(´;ω;`)」

「二擦り半とかで俺の人生は変わってしまったんですよ!!!??? あんなやつが夫になってしまい………たったの2.5秒のせいで、俺の人生は……」

「要は、早漏なのが気に入らないという訳なんですね?」

「いえ! 妻になった身では早漏のほうがどれだけありがたいか! むしろ改善をされてしまったら泣きます!!! というか、本当に夫が嫌いなんです! 夫に中出しされると吐き気がするし! 中出ししないように要求しても無視されます! エッチの間中、好みの男に抱かれている妄想をしてようやく凌いでいるんです!!! 早く死なないかなあと毎回思っています。こんな俺にとって陛下の週2法案は本当に苦痛に満ちて」

「じゃあ、今まで週何回だったんですか?」

「…………え……そ、それは」

「何回だったんですか?(^▽^)」

「週4くらいです」

「え? じゃあ、法案関係ないじゃないですか?」

「違うんです! 今までは夫が強姦して週4だったんです! けど、この法案ができてから、夫から迫ってこずに……俺から強請るのを待っているんです。待ったって無駄なのに!!!! 罰則が無いと気がついてから夫を無視し続けて、凄く清々しているんです。清々しているところに王妃様が……」

「俺が何ですか?」

「……いえ」

「アベルさん、奥様に強請ってもらいたい気持ちは分かるんですが、この奥様相手には無理なので、今までどおり強姦で行きましょう♪ で、奥様は感じない事が問題なんですよね?♪なら感じるように花嫁の」

「使ったら自殺するって言われているんです……(´;ω;`)」

「アベルさんがテクがないのと、奥様の不感症が問題と言うことですね……なんか解決策ありますか、あなた?」

隊長は、昔の自分を見ているようであった。隊長相手にエッチしたって気持ちよくないです。早いですよね、とせせら笑われた事もあった。しかし、エルウィンは異性愛者であったが、正気の時でもハネムーンの時などは、普通に感じていてくれたように隊長二は思えた。つまり不感症ではないのだ!だからこの問題に対して解決策など思いつかない隊長であった。

「特定の人物に発情するようにはできないのだ。例えば、誰彼構わず男を欲しがる、というのならできないわけでもないが」

隊長も考えたことがないわけでもなかった。淫らに男を誘うエルウィン……しかし、そんなことをしたらどうなるかと考えて、きっと怒られるし、エルウィンが自分以外の男に欲情するのなど見たくはないと、泣く泣く諦めた経緯がある。

ようはこの魔法は花嫁の媚薬の魔法版ということになる。

「そんな便利な魔法があるのなら、それで解決ですね♪」

「お、王妃様!?」

「だってアベルさん、奥さんを強姦して結婚した日から監禁して他の男に会わせていないんでしょう? だったら欲情する相手はアベルさんしかいなくなるので、万事解決ですよ。これで、強姦しなくても済みますね。ね、あなた?」

「王妃様、俺の人権はっ!?」

「え? だって奥様、ずっと監禁されて強姦されているんでしょう? その時点でもう人権無いですよね? 強姦されていて気持ちよくないんだったら、気持ちよくなれる魔法をかけてもらって、どうせ強姦されるんだったら気持ちよくなったほうが良いですよね?」

「まあ、そうだな」

「そ、そんなことっ、俺の自尊心とかっ!」

自尊心のために気持ちがよくなりたくない奥様なのだが、勿論エルウィンに無視されて、旦那としか会わないため旦那限定で淫乱にされてしまったらしい。

その後もたくさんの嫌がる奥様に会って、カウンセリングをし、エルウィンはたくさんの奥様を救った。

「これで週2法案を皆守ってくれるようになりましたね、あなた」

「エルウィンのお陰だっ!」

王妃の内助の功に皆、感涙(夫たち)をしたのだった。


「おい……止めさせなくて良いのか?」

「無理だ……あの有無を言わせない話法に、隊長の後ろ盾もあって、誰も反論できない恐怖政治を行っているんだぞ」

「なんかこの調子だと、エルウィンがこの大陸を統一しかねないな」

「ザル法案だった、あの法案をここまで実効支配をしてしまうとは……エルウィンは政治家としての才能があるのかもしれない」



政治の才能と言うよりも人を不幸にする才覚が勝っているの間違いなのだが。

「暴走を止めなければいけない隊長が、エルウィンのパイパンを餌にされて、エルウィンの言いなりだからな……」

「私の情報だと、隊長はこの3日間、エルウィンのパイパンを堪能しているらしい。エルウィンのやつ異性愛者だと前々から言っていたわりには、いざ隊長と事をなすと、それなりにやっていたし……実は異性愛者のくせに一番淫らな体をしているんじゃないのか?」

「その淫らな体で隊長を支配するのか……記憶がないほうが平和だと思っていたが、戻したほうが良いのか?」

「いや……本人物凄く生き生きとしているし、他人には被害が甚大だが……夫たちは喜んでいるし、このままのほうが隊長にとってもエルウィンにとっても良いんじゃないか?」

経済も活性化しているし……。
ちなみに今まで芋ひもじい思いをしていた夫たちが、ジブリールのエッチな下着屋で散算したり、R・M商会で色んなグッズを買い込んだり、また妊娠する奥様も多くなるだろうと、貴族の人口が増えれば、またお金が動くのである。

悪魔なエルウィンはそう思うと夫を支える良い妻なのだ。

そして隊長もエルウィンとエッチをするための奇行をしなくなる。

被害者も多いが、これまでたった一人の被害者隊長だけよりも、大勢の被害者(妻)がでたほうが、全て平和に行くのである。


「ラルフっ……愛している」

ちなみに一番の被害者であったラルフは。

「あの……リオン、お願いがあるんです」

「な、何だっ!?」

これから数年ぶりの合体予定で鼻息が荒くなっていたリオンは何でもラルフのお願いを聞く気でいた。

「フェレシアと、お互いの子どもたちを結婚させれたらな、って話していたんです。リオルとフェレシアの子と結婚させてもいいですか?」

正直、あのフェレシアの子と??と思わないでもないリオンだったが、息子の嫁に来るくらいだったら構わないし、何よりも合体のほうに目がいっていってしまっている。

「何でもラルフの良いようにして良い」

「なら、誓約の誓をして下さい。俺の願いを何でもかなえてくれると」

「勿論だ、ラルフ! 愛しているっ!」

本当〜〜〜〜に久しぶりに合体できたリオンはご満悦だった。なんせこれから週2回できるのだから。

「ラルフ、良かったか?」

「……正直に言っていいですか?」

「……ああ、勿論だ」

嫌な予感はしたが……

「ごめんなさい。正直にいって、フェレシアのことは片付いたんですが、これまで拒否していたのはフェレシアが原因じゃなくってやっぱりリオンの性欲というか、俺性行為自体が好きじゃないみたいなんです。だから、年に一回にして下さい」

「な、なんだと! だって週二法案がっ」

「じゃあ、年に二回で……」

「週二、王妃様と約束をしたじゃないかっ!!」

「でも、リオンは俺と誓約の近いをしてくれました。王妃様との約束よりも夫婦の約束のほうが、尊いでしょう? リオンは俺の願いをなんでもかなえてくれると約束しました」

「や、約束はしたがっ……それは婚約のっ( ;∀;)」

「俺は何でも、と言いましたので……ごめんなさい。俺、リオンを尊敬したままでいたいんです。それには年に一回くらいが限度なんです。毎日その性欲で迫られたら……俺、リオンのことを嫌いになってしまうかもしれません」

リオンはそんなに性欲がいけないのか!? だって男なんだから抱きたいの当たり前なのにっと号泣した。

ラルフがフェレシアと抱き合うことなく、自分のものになったのは凄く嬉しかった。しかしその代償は……清く美しい日々を送っていたラルフにとって、フェレシアのような性欲を感じさせない伴侶が理想であって、性欲塗れのリオンは……相変わらずゴキブリにしか見えない。それがラルフの純潔との引き換えであった。



「本当に俺は二番目なのかっ! フェレシアっ!……まだラルフのほうを愛しているのか?」

フェレシアとラルフとのキスをショック死しそうな思いで見ていたリーセットは、二番目に愛していると言われた喜びよりも、二番目なんだと落ち込むしかなかった。
そもそも全くリーセットは今回の法案に無関係であり、王妃とも隊長とも縁の無い生活をしていたのに、とばっちりを食ったのである。
普通ならあれほど鬼畜なことを妻に繰り返したのだから、二番目でも愛しているといってもらえたら感涙の涙を浮かべないといけない所なのに、ラルフよりも下なのかとつい妻を攻め立ててしまった。

「ごめん……あれ、嘘なんだ。ラルフを納得させるために……」

「そうだったのか……やはり俺のフェレシア」

「二番目に愛している、じゃなくって……本当は一番愛しているよリーセット」

「フェ、フェレシアっ(`・ω・´)」

「……後ろから一番目にね」



子どもを産んで強くなったフェレシアは、些細な事で夫を虐めるのが楽しくなってきていた。

「後ろから一番目に愛しているなんて言ったら、ラルフ俺が可哀想で再婚するって言ったかもしれないから………って、冗談だよ(^▽^)」





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