今日もロアルドをしごいてしまった。
部下からもロアルドだけ贔屓して訓練(一般の目線では虐待)しすぎていると、批判を受けてしまった。
しかし、今日はロアルドが見合い相手と結婚しようと思う……なんていうから、つい。

こんなに俺があいつのこをと好きだというのに、何故気がつかないんだ!
こんなに特別扱いしているのに、気がつかないほうがどうかしている!!!!

「母上……お母様、好きな人ができました。嫁に行きたいんです」

「……それは難しいかもね。父上は許してくれないと思うよ」

「アルフも泣いて嫌がって癇癪を起こすだろうよ。お前の夫候補には命が無い危険がある」

「俺がちゃんと守ります!!! 絶対にロアルドに指一本触れさせたりはしません。もう彼の両親からも許可を得ています……母上やお母様たちには俺の覚悟を知っておいて欲しかったんです。公爵家を追放されようが、何をされようが、絶対に俺はこの愛を貫いて見せます!」

「そこまでの覚悟があるんだったら、嫁に行け! アルフのことは私がなんとかしてやるからな」

お母様は、兄上には『俺』と言っているのに、俺の前では威厳を保とうとして『私』になる。何時も何時も俺の見方でいてくれた。

「私もだよ。夫のことは任せておいて……メリアージュの好きなようにしなさい。お前には愛する人と幸せになって欲しいから」

「しかし、メリアージュが嫁か……閨では大丈夫か? 大人しくベッドに横になって、恥ずかしそうに夫を迎えることがお前にできるのか?」

「それは確かに心配だな。アンリの妻にと皆が言うから、アンリはメリアージュの性格を良く知っているから心配していなかったが。花嫁修業を何もさせてこなかったし……花嫁の心得を今からでも」

「必要ありません! 俺はロアルドを逃がさないように拘束して、押し倒して、のっかって事を成し遂げます! 絶対に逃がしたりはしません!」

「おいおい……花嫁は普通は夫を押し倒したりはしないぞ」

「まあ……メリアージュならそのほうが似合いそうだな。夫がそれで満足していれば良いが……」

勿論夫は満足はしていなかった。何時も、メリアージュ様をたまに押し倒したいです。たまには主導権を握りたいです。と思いながらも声に出来ないまま、常に妻に上に乗られ、乳首を弄られ、夫らしいことと言えば、なんとか妻に挿入させてもらっている事……だけだった。

「オーレリー様……何でちゃんと花嫁修業をしてくれなかったんですか? 不器用なのは良いんです。墨を食べさせられようが、城を掃除で吹き飛ばされようが、髪を洗って乾かしてくれたら、全部燃えていようがどうでもいいんです!(´;ω;`) でも、メリアージュ様の攻めは過酷で……特に妊娠している間は浮気しないようにって、R・M商会の商品を総動員をしてっ!(´;ω;`) 淑女を求めようとは思いませんっ けど、ベッドの中では攻めないで夫に身を任せるようにとかっそういう花嫁修業をっ」

「無理だろ? そんなメリアージュ想像できるか?」

「……雄雄しく、素敵なのがメリアージュ様ですからね……うん、無理だと思いました(´;ω;`)」

息子の妻のように、裸エプロンをしてくれたり、恥ずかしがってベッドに誘ったり、夫のためにエッチな下着をはいてくれたり……そんなことうちの奥様ができるはずない。

逆に私に裸エプロンをさせ、私にエッチな下着をはかせ、私にエッチな道具の数々を使用するメリアージュ様に、花嫁修業なんて、無理なんですよね。




「メリアージュと決闘をしてくるっ!」

「え? ユ、ユアリス?」

「だって、この国では愛する人のために決闘をしますよね!? 妻を奪われそうになったら間男を殺してもいいんだから、僕だって夫を奪おうとしていた元婚約者のメリアージュを殺す権利があります!」

アンリ様と無事結婚をし、ラブラブな生活を送っていた僕の耳に入ってきた驚愕の事実!それはアンリ様に婚約者がいたと言う事だった!
僕と出会う直前にメリアージュは別の男と結婚していたけど、内緒で結婚式にも参加してくれたアンリ様の叔父が実はアンリ様の婚約者だったなんて!

存在するだけで許せないっ!!!!!

「私とメリアージュはそんな仲ではないんだ。両親と祖父が勝手に決めただけで、私もメリアージュも結婚する気は全くなかったのだから、気にするな」

「でもっ! アンリ様は僕の婚約者になっていたディアル国王を殺してくれました!(廃人になった後、病死)だったら僕だってそうする権利があるはずです!」

「いや、だが。私にとってもメリアージュは大事な叔父だ。愛する妻と叔父の決闘は見たくないんだ。愛しているのは」

「いやああああ、僕のアンリ様がメリアージュを大事って言った! 絶対に殺すんだから!」


「止めなくて良いのか?……」

「母上……ユアリスは頭に血が上っているので、何を言っても無駄でしょう」

「だが、実際に決闘になんかなったら……」

「私の可愛いユアリスのほうが魔力は高いが……」


「ひどいっ! メリアージュがお前みたいな弱いやつ相手になるかって、デコピンで弾き飛ばされたっ!!!!」

「ユアリス、確かにユアリスのほうが魔力が強いが……メリアージュは部隊を率いていた戦闘のプロだ。剣の腕がユアリスが勝てるはずもないし、魔法のセンスや格闘能力で、どうやっても勝てないだろう。分かったら私の可愛い奥様として、もうメリアージュに手を出さず、愛されていてくれないか?」

「じゃ、じゃあ、もうメリアージュに会わないでっ。メリアージュなんかっ! もう一生アンリ様に会わせないんだからっ!!!!!」

こうしてメリアージュは両親や兄にロアルドのことを認めてもらった後も、公爵家に戻ることは出来なかった。ただデコピンをした本人は全く気にしていなかったが。


メリアージュVSユアリスの戦いは、孫の結婚の際、再びまみえる事になるのだが……



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