何時ものように恒例のお茶会をしていた時のこと。

「エルウィン、持ってきたぞ!」

エルウィンの元にかばんを持って、突然現れた男がいた。
王宮に、それも王妃の間にこんなふうに現れることは非常に無礼なことなのだが、誰だ? と思い男を見ると、見覚えのある顔だった。

「ジブリール?」

「クライス様、俺とジブリールは同期なので仲が良いんです。でもな、ジブリール。来る時はアポイントを取ってからにしてくれ。俺一人の時だったらいいけど、それでも王妃に無礼なとか言われるとお前が気の毒だし。今回みたいにクライス様やエミリオ分隊長がいる時もあるんだから」

「申し訳ございませんでした。隊長からは許可を頂いていたので、つい……」

と俺やエミリオに頭を下げる男は、エルウィンの同期で、一番若い分隊長をしているジブリールだった。別名パンツ仮面のほうが分かりやすいだろう。妻のパンツを被りながら仕事をしていたアホだ。

「いいや、構わんが……そのカバンは何なんだ?」

いくつものカバンを持って現れたジブリールに、何を持って来たんだと少し気になった。

「はい! 副隊長閣下っ! これは王妃様に献上をする、エッチなパンツです!」

「………そうか」

ジブリールが自慢そうに、自分がデザインして作ったオートクチュールの一品なんです、と目をキラキラさせて……

「凄いな、こんな下着あるんだな。凄いハイレグとか、スケスケ・レース・下着なのに穴が開いている? 二股のも??」

エミリオは興味しんしんで見ていた。
エルウィンは……

「う〜んと、じゃあ、これとこれと、あとこれにしようかな」

とエッチな下着を選んでいた。何でお前こんなのはいているんだ?

「エルウィン、お前意外にセクシーな下着を着けているんだな……見せる相手もいないのに、何でこんなのつけるんだ?」

「ジブリールが作る下着はフィットして意外に気持ちいいんです。軍時代から、ぴったりとしたのつけていましたし。それに………オカズなんです」

「「オカズ?」」

「そうです……隊長にね、使った下着を下げ渡してあげるんです。だから、王家御用達ジブリール下着屋は出入り自由なんですよ」

「意外に……優しいんだな」

「隊長の相手をするくらいなら、パンツをあげたほうがマシなので」

「……パンツで自家発電をさせるために、エッチなパンツを購入しているのか? それはちょっといくらなんでも隊長が可哀想な気が……」

「昔はパンツもあげなかったんですよ? でも今は洗い立てのパンツをプレゼントしています。自由に使って良いとまで言ってあげているんです」

確かに……昔は隊長にパンツを捨てさせていたな……隊長は公爵家の宝物庫にパンツをしまいこんでいて……あれ、王城に持って行ってくれたんだろうか……

「パンツで誤魔化しているだけじゃないか。隊長に暴走されるよりは、パンツを与えて誤魔化しておけばいいとか思っているんだろう? 最近、隊長の扱いが雑すぎるぞ?」

「なら俺はどうすれば良いって言うんですか?」

「隊長の祖母のオーレリー様のように、4年に一回でも夢を与えてやったらどうだ? 4年に一度くらいなら、我慢できないのか?」

「……オーレリー様は最近アルフ様とよりを戻して、毎日のようにしていると情報が入ってきています。オーレリー様の真似をするということは、いずれ隊長に老後毎日できるという儚い野望を植えつける事になるので嫌です」

「儚い野望くらい抱かせてやれよ。パンツで自家発電している国王なんて、凄く嫌なんだが……」

「隊長の味方なんですね、エミリオ分隊長は。クライス様はどう思いますか?」

「………エッチなパンツは止めてほしい」

「おい、そっちか?」

「だって、エルウィンがそんなパンツをはいているのを知られてみろ! ユーリがジブリールのパンツを買いにっ」

「あ、来ましたよ。ユーリ隊長ですよね? たくさん買っていってくれました。うちの店は王家・公爵家御用たしの看板を掲げる許可も下さって」

「………あの、すいません。クライス様………」

「もういい……もういいんだ」

俺の運命は決まった。

「似たもの兄弟だからな…………」

「エミリオ分隊長もどうですか? これで旦那さんを悩殺しちゃいましょう!」

「私は妊娠中なので、結構だ」

「別に出産してから使えば良いじゃないですか。うちはブラは扱っていないので、パンツ専門ですが、専門なだけにパンツだけには拘っていますよ!!!!!」

エミリオはジブリールに試供品だと言われて、いくつかセクシー系パンツを持たされていた。
お前もな、ただだから貰ったんだろうが、絶対にギルフォード王子は目ざとく見つけて、無邪気にはいてはいてと頼むんだろう。するとエミリオは断われずに、はいてやるのが目に見えている。

そして俺は近い将来、無理矢理エッチな下着をつけさせられて……ユーリに言いようにされるんだろう。

それもこれもエルウィンがこんな下着を御用達にしていると思うと、物凄くエルウィンに対して怒りが……


「エルウィン、あのな。俺はお前のパンツのおかげで、ユーリに無茶苦茶にされることが確定している……」

「え……そ、そうですよね。申し訳ありません」

「だから、お前も隊長に無茶苦茶にされろ」

「……そ、そんなっ」

「これでお互い様になるだろう? もう一年はしていないはずだ。男同士の約束だからな。今夜は絶対にさせろ」

「い、いやで」

「諦めろ、エルウィン。クライスは本気で怒っているぞ。ここは諦めて、隊長にやらせてやれ」

「で、でも!!! 二回目伝説な隊長にさせてら、今度こそできちゃいますよ!!! クライス様の罰でできた三男とか、子どもに凄くかわいそうで申し訳ないです」

「………そう言われればそうだな……。騙されてできた子ばかりでは、気の毒な」

「じゃあっ!」

「素股か、口か選べ」


*********

その夜、俺はクライス様を怒らせてはいけないと悟った。何時もお優しかったのに、俺の巻き添い(隊長が好み=ユーリ隊長も)を食らうことがシバシバあって、怒りが最高潮に達したのだろうか。
それとも、純粋に隊長を可哀想に思ったのかただの八つ当たりか。

隊長がいそいそとベッドに入ってくる。隊長曰く、触れないけれど一緒に眠れる夜はたいそう幸せだとか。

「た、隊長……最後までエッチは駄目ですけど……素股なら」

「( ゚д゚)ほ、本気で言ってくれているのか?」

「……ほ、本気です」

「キスもして良いのか!!??乳首も舐めて良いのか?!ミルクもしゃぶって良いのか!?」

「駄目です!!!!素股だけです………」

「それでも……☆⌒Y⌒Y⌒Y⌒ヾ(´;ω;`)ノ 生きていて良かった!!!!(´;ω;`)感涙っ」

パンツとは……人を幸せにするものである。

そして時には……

「凄くきれいだよ、俺の奥様」

「死ねっ!変態がっ!」

人を不幸にもするが。


「隊長、素股だけだって言ったでしょう!!! 何入れようとしているんですか!!!???」

「さ、先っぽだけお願いっ(´;ω;`)」

「駄目です! 隊長の精子は先っぽだけでも妊娠できますからっ!」

先っぽも許してもらえない隊長だが、素股ができて最高に幸せな夜だったらしい。


(´;ω;`)不幸だけど幸せだった。





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