「ギルフォード王子って、エッチって上手いんですか?」

「………何だ、急に」

そろそろ臨月なので、お茶会に出席するのもギルフォードに禁止されているので、エルウィン、クライスが城まで来てくれている。ギルフォードも子どもたちの相手で、同じ部屋で遊んでくれている。

「だって、エミリオ分隊長、ギルフォード王子のこと、変態変態って言っていたのに、何時の間にか3人も作っているし……それって実はギルフォード王子がエッチ上手いから、なのかなあって思って」

エルウィン、お前下世話だな……最近、周りがそういう下世話な人間が多くなったため慣れてきたが……

「最近、隊長がとみにエッチがしたいとか、ギルフォード王子が裏切ったとか、アレクシアが私の夫婦運を奪って言ったとか、わけの分からない事で泣いているんです。鬱陶しくなって……エミリオ分隊長にも隊長の鬱陶しい責任があるんで、教えてください。理由が分かったら隊長にびしって言ってやりますから!」

びしって言わなくても、普段から冷気がほとばしるほど、ビシっと言ってやっているだろうに……

「ユーリはどうだ? 上手いのか?」

「……俺のところは関係ないだろ?」

「エッチが上手ければ、夫婦生活が上手くいくんなら関係あるだろ? クライスは変化なしだが、クライスの夫婦関係もその理屈でいけばエルウィンの参考になるだろ? なあ、エルウィン」

「はい! ユーリ隊長ってやっぱり上手そうですよね? 凄く丁寧そうと言うか、ロマンティックにことを進めそうだし」

「……エルウィン、お前の夫と俺の夫は兄弟だ。基本同じ物からできているわけで、ユーリも同じような変態紳士だと思え」

「じゃあ、早いんですか?」

隊長の速さは有名だからな……

「………ユーリの名誉のために黙っておく」

「教えてくださいよ!」

「あのな! うちの夫は変質的なストーカーで、この会話も全て聞いているんだ。俺の平和のために言わせないでくれ」

まあ、聞いているだろうな。ユーリはクライスのことで知らないことがあるのは嫌だろうし。

「まあ、エルウィン、それくらいにしておいてやれ。変質的なストーカー体質の夫を持つクライスは、へんなことを言うと夜、しつこいだろうから」

「はい……」

「それに、早いのはお前の夫だけじゃない。ギルフォードは早漏だ」

「えっ!?」

会話に入ってこないはずのギルフォードが目を丸くして、ショックを受けたような顔をしている。お前が早漏だったのは嘘偽りのない事実だろうに。

「ギルフォード王子って、この国では経験人数が多くって、凄くテクニシャンってイメージなんですけどね」

「それはな、経験人数だけは多いが、奉仕させていただけなので、何も学んでいないんだ。テクも持続力もない、早漏男というのが真相だ。それに、絶倫という余計なおまけがつく」

「良いとこなしですよね……経験人数が多いという時点で、他は隊長と一緒だけど、更にマイナスだし……俺よりも低条件のはずなのに、どうしてエミリオ分隊長のところは円満なんですか? 子作り頑張ってますし」

「………それはな……子どもが可愛いからだ」

「違うな。エミリオがいい加減な人間だから、惚れられて懐かれると、何となく可愛くなっていって、流されてまあ良いかと思ってしまうだけだ」

「おい、私はそんないい加減な人間か?」

「だからな、エミリオを参考にして隊長を叱ろうとしても無駄だ。同じように王子がエッチが下手でも早漏でも、受け止める人間が違うんだからな」

そう、お前ほど鬼嫁はそうはいないんだから、私達夫婦の関係度とエルウィンのところを比べて何の意味があるんだ。

それにしても隊長、最近、こんな私でも可哀想になってきたな。エルウィンの二人の兄を見ていると特にだ。


「酷いよ! 酷いよ! 僕ってそんなにエッチが下手? 早漏? 隊長と同じレベルなの?」

二人が帰って、子ども達を寝かせた後、盛大にギルフォードが泣いていた。まあ、全部の話を聞いていたしな。

「まあ……そこまではないだろうが……」

「だって、あの二人の前で下手だって良いところなしだって言っていたよ!!!!」

「お前な、外交官をしていたんだから分かるだろう? 人の妬みほど恐ろしいものはないと……妬みは戦争の最も大きな要因の一つで、そういう噂一つで国の運命が決まった事もあるほどにだ」

まあ、うちの国は関係ないが、外国ではそういうことも多い。あちらのあの土地が豊かだから、欲しい……そうやって戦争が起き、国が滅んだりするわけだ。

「それに、人が喜ぶのは他人の不幸で……他人の幸せなんか聞いても何も面白くないどころか、嫉妬するだろう? 隊長のように。だからな、円満な友人関係を築くためには、夫の悪口を良い、夫がいかに不出来かを楽しんで言い、自分のほうがマシだと思わせるのが、大人の付き合いというものだ。特に最近は隊長にお前、いじめられているんだろう?」

「虐められているほどでもないけど……でも、ということは、エミリオは僕のために、ああ言ってくれたの!!!???」

そういうわけでもないんだが……まあ、それなりに幸せな結婚生活をしています……とあの二人に言うのも恥ずかしいし、夫婦生活を赤裸々に言いたくなかっただけでもあるが……

「まあ……」

「だよね! だって、エミリオ僕とのエッチでちゃんと気持ちよくなってくれるもんね!」

「まあ……最近は早漏でもないよな」

「えへへ!!!……エミリオ、やっぱり格好いい。僕、エミリオの顔を見ているのがとっても幸せっ……早く生まれてこないかな? 僕が早漏じゃないのをちゃんと認めてもらわないとね……ね、早漏じゃないよね?」

「まあ……」

「気持ち良くなってくれているよね? だって、ちゃんと喘いでくれているもん!」

「まあ……」

どこまで続くんだ、この話……

「僕、持続力もっ」

煩いので口で口を塞いだ。

「あっ……エミリオ……そ、そんなとこ」

早漏が治ったかと思ったけど、私からしてやると………全く治っていないんだが……だからエルウィンたちに言ったのは間違いではない。

間違いではないが、隊長と一緒かというと……

「好き、エミリオ大好き……愛しているよ」

態度が可愛いだけ、きっと隊長よりもマシなんだろう。




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