「うわっ!」

アレクシアは一族中の恨みを買い、一歩、自分の城から出ると、逆行魔法が降って来て、性器を赤ん坊レベルまでに時間を戻そうとする呪いや、インポにする花婿の毒薬などを仕込んでくるため、城以外では食べ物を口にする事もできず、誰もが敵になるため流石のアレクシアも逃げ切るのに精一杯だった。

「……自慢をしすぎてしまったのか」

「アレクシア、お前、不遇の身が多い親族達を敵を回し過ぎだ」

「それほど自慢をした覚えはないんだが……強いていえば、隊長にお礼を言いに行った時に、少し自慢をしたが」

又従兄弟のアレクシアと私はそれなりに仲が良かった。お互い次男同士であったし、歳も近い。
アレクシアが何故かエルウィンの兄と婚約したと聞き、何故だ? エルウィン兄弟には公爵家の血を引く男が惹かれるフェロモンでも出ているのか?と疑ったほどだった。

代々公爵家の妻は、誘拐されてきたのがほとんどだ。最近国内での恋愛結婚が流行っているわけだが、好みと言えば魔力が強い美人だ。どちらかというと薄幸タイプが多かったようなのだが、最近は鬼嫁も多く、エルウィンの兄も鬼嫁だったなら分からないでもないと思った。

しかし結婚式に親族として出席した時に見たエルウィンの兄エイドリアンは、鬼嫁とは程遠い、途方にくれたような目で佇んでいた。
遠慮をしてかエイドリアンの親族は少なく、王族や公爵家など上級貴族ばかりで広間は埋め尽くされていて、居た堪れないような表情でいたので思わず声をかけたのだ。

するとアレクシアとの夜をどうしたら良いか分からない。上級貴族で公爵家の出の婿の妻をどうやって務めたら良いのか不安だと言い出したのだ。
こういうことは同じ兄弟で同じような立場のエルウィンが教えてやるべきなのだが、どうせ自分のような鬼嫁視点でしか相手をしていないのだろう。エルウィンはそれでどうにかなっているが、エイドリアン殿のような繊細な人では、アレクシアを隊長のように扱えるわけはない。

そこで私が出来る限りの助言をした。
公爵家の男は生まれながらの変態という訳ではない。むしろ生まれて運命の相手に出会うまでは、ハイスペックで非の打ち所のない男なのだ。もてない一族と思っているようだが、憧れて嫁になりたいと思っている男性も多い。だが運命を感じた相手に限って嫌われることが多く、アプローチの仕方もまずい。
だが、アプローチの仕方がまずくても相手が受け入れてくれたのなら、変態化は止まる。理想の男のまま夫になれるのだから、エイドリアンにはそうできるだけの度量(チキンハート)があるので、アレクシアの好きにできるようにアドバイスをしてみた。とはいっても、そうたいしたアドバイスでもなかったが、心細い思いをしていた中で私がしたアドバイスのせいか、妙にエイドリアンに懐かれて、こうして時々遊びに来るようになった。

「男のひがみは恐ろしいのを知らないのか?」

エイドリアンの弟でエルウィンの兄エドガーも嫁に行ったが、夫の可愛い顔が好きで仲良くしているらしい。
辺境伯家の素晴らしい所は、あいつら顔は可愛いし性格も良いのが多いので、親族の慶事を自分のことのように喜んでくれるらしい。
しかし公爵家の男達の狭心のこと……嫉妬し、アレクシアを見かけるたびに嫉妬攻撃をしてくるらしい。

「だが、皆、ユーリやアンリ様の恋愛結婚を祝福していたというのに、何故だ?」

「それはな、自分に希望があるうちは、自分にも幸福が舞い降りてくるかもしれないと期待するものだ。しかし、いざ自分の運命の人が見つかってそれが鬼嫁だったり、全く愛してくれないとなると絶望し、嫉妬するわけだ」

ようするに物凄く自分勝手というわけだ。

特に隊長のひがみは凄い。自分からアレクシアや私の結婚を斡旋しながら、いざ自分に結婚運がないと分かると途端に嫉妬塗れになるのだ。

敵が多くなったアレクシアは、自分の兄ですら猛烈な嫌味を放ってくるため、自分の領地からなるべく出ないように過ごしているらしい。まあ、アレクシアもそうだが、基本自分の妻さえいればこいつら満足なので、何不自由ない生活らしい。

それにアレクシアとエイドリアン殿は魔力の差があるせいか、あっという間に子どもができて、いまや5児の父親だ。エルウィンよりも後に結婚をして、何でもう5人?という感じだが、アレクシアの作成能力は凄すぎる……

「双子に続いて今度は三つ子か……エイドリアン殿も大変だな」

「……はい。乳母がいるので、だいぶ助かっていますが……三人もお腹の中に入っていると重いです」

一番初めの子は双子で、もうすぐ出産する子はなんと三つ子なのだ。多胎児はただでさえ珍しいというのに……

「アレクシア様が物凄く過保護で……私が魔力が低いせいで、まあ、私だけじゃなくて一族皆そうですが、とても領地を維持するような魔力はないんです。だから今はアレクシア様お一人に頼りっきりで……アレクシア様も自分に何かあったらと、たくさん子どもを増やして私を守らせると……言い出して。今から、お母様を守るんだぞと、双子たちに言い聞かせています」

「ま、まあ……分からないでもないが」

エイドリアン殿は長男だからしっかりした性格だが、魔力が低いせいか私から見ても守ってあげたいと思ってしまう。庇護欲を感じさせるのだ。アレクシアから見たら、それはもう頼りなくて24時間警護をしてあげないとたまったものじゃないだろう。

そしてお見合い結婚で、初めは不安そうな顔ばかりしていたエイドリアン殿だが、今ではすっかりアレクシアに守られるのに慣れているのか、どう見ても夫に恋をする妻の顔をしている。

エルウィンにこの兄たちを少しは見慣わさせたいが……お茶会のたびにエイドリアン殿の話をすると猛烈に嫌な顔をされる。
世間では兄は貞淑な妻なのに、エルウィンは鬼嫁と言われるのが物凄くいやなのだろう。

だったら隊長に少しは優しくしてやれば良いものを。兄を見ていれば、普通に接すれば良い夫になることは分かるだろうに。まあ、異性愛者だから一緒にしないでくれといわれればどうしようもないが。

「でも、私、エミリオ様に凄く感謝しているんです。エルウィンには結婚式の日に色々聞きたかったのに……適当なことしか答えてくれなくて凄く不安だったんです。でも同じ一族のエミリオ様がアドバイスをしてくれて、初夜を乗り切ることが出来ました」

「いや、たいしたことは……」

本当にたいしたことは言っていない。一族の男が喜ぶような事を言ってみただけだ。

「そんなエミリオ様だったらアレクシア様のことをなんとかできないでしょうか? アレクシア様は、一族の方から村八分にされているようなのです……心配をするなと言われますが、アレクシア様を一族の方と仲直りさせてあげてくれませんか?」

「……それは、すごく、難しいような……」

仲の良い夫婦を探すほうが難しい一族なので……皆嫉妬に駆られている。あのユーリですら、アレクシアに嫌味たらたらだったし。

「お願いします……駄目もとで、アレクシア様を庇って差し上げてください」

別に庇うほどあいつは弱くないだろう。一族に村八分にされていようと幸せそうだし。むしろ、嫉妬されるという事は、自分がそれほど幸せなのだからと自慢に思っていそうだ。


「という訳で、アレクシアの奥方が物凄く心配しているので、そろそろ馬鹿な嫉妬を皆解いて、攻撃するのをやめ、、よう」

止めようと一族の集まりの際提案した所。

「馬鹿を言うな! あんな奥様に奉仕をしてもらっているアホは今すぐ死ぬべきだ!!!!」

「そうだ、そうだ! わが一族にあんな幸せ者は存在をしてはいけない!!!!!!!」

「死刑にすべきだ!」

「初Hがお口奉仕とか、どこの天国だ!!! 俺なんか、未だに奥様から腐れちんこ、汚物、入れられただけで死にたくなると毎回言われているんだぞ!!!!!」

「私など、オーレリー様を見習って、どうかうるう年に一回にして欲しいと奥方に懇願されてっ! (´;ω;`)毎回、奥方を強姦する身の私にアレクシアの仕打ちは酷すぎる!!!!」

「そうだ!!!! 自慢もいい加減にしろ!!! お口奉仕なんて死んでもして貰えない身分だというのに!!!!!」

「しかも奥方が夫の身を心配して懇願だと? どこまで大事にされているんだ! 俺なんか毎回早く死んでくれないかな? 死んでくれたら再婚して、お前以外の男に抱かれまくって、中出しされまくって、子ども産みまくってやると言われ……中出し嫌がるくせに(´;ω;`)俺は絶対に妻よりも先に死ねないっ! だがアレクシアは爆死しろ!!!!!」


嫉妬凄い………手に負えない……しかも隊長が扇動しているのだから、もうどうしようもない。
あの人国王じゃなくってもはや妬みの王だろう。

「エイドリアン殿、無理だった。余計嫉妬心をあおっただけだったような……」

「いや、構わない。どうせ、幸運を持たないものたちの僻みだ。放っておけ」

「そうか……」

アレクシアが全く気にしていなかったので、もうどうでも良いとばかりにしておいた。

「最近、僕も実は隊長から風上がりが強いんだよな……」

「ん? お前、隊長の親友をやっていたんじゃなかったのか?」

誰とでも上手くやっていくギルフォードは、隊長の良い相談役兼友人をしていたはずだった。

「そうなんだけどね、最近運命の親友を見つけたらしく。どうせ、僕はエミリオと上手くやっているから私の気持ちなんて分かるはずないと拗ねているんだよ」

隊長、貴方のあほな嫉妬はどこまで……

エルウィンよ……兄を見習えまでは言わない。言っても改善されないからな……だが、あえて言いたい。見習えと!

しかし、最近分かった事だったが、アレクシアの嫉妬の半分は秘密の花園……つまりパイパンなのだ。
そうか……なぜ、公爵家の男が好みじゃないと思っていたエルウィンの血筋に一目惚れをしたのか。それはエルウィンの家系がパイパンだからだ。

公爵家の男を魅了する魔性の家系、それは秘密の花園らしい。





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