弟の夫の紹介でお見合いをしてすぐに結婚となってしまった。
アレクシア様は、少し変わった方だが礼儀正しく、ハンサムな青年で、身分も高く私の夫には勿体無い方だろう。
今でも恐れ多くて、こんな方を婿に迎えるのを躊躇ってしまうほどだ。

「兄さん、ごめん……隊長が余計なことをして」

「構わない。とても素晴らしい人を紹介してもらって身に余る光栄だ……ただ、日常生活とか一緒にするかと思うと上手く行くか心配ではあるけど」

下級貴族だった私が、上級貴族のアレクシア様と上手くやっていけるだろうか。

「大丈夫だよ。何とかなるから……だって俺なんて、そのうち王妃になるんだって言うんだから……でも、なんとかなってきたし」

エルウィンは本当だったら雲の上の存在の夫をいびりながら上手く暮らしているとは聞いていた。だが、私はアレクシア様をいびるなんて出来ないし、相手は誘拐公爵、変態家系で有名な一族だ。

「じゃ、じゃあ……夜のほうはどうしたら良い?」

弟とはいえ既に子どもまでいるベテランだ。同じ公爵家の血を引く夫をもつ身としてエルウィンはこれ以上なく頼りになる存在のはずだ。

「……そんなもの、ベッドに横になっていれ勝手にやってくれますよ」

「そうなのか? 何かする必要は?」

「ありません!」

エルウィンがそう言うのなら……でもエルウィンは恐れ多くもあの未来の国王に対して、鬼嫁と有名だからな。何度か注意をしたのだが、全く改まっていないようで。

「あと……噂で聞いたんだけど……その、あの一族あそこがでかいって本当なのか? 痛そうで、今から夜が億劫なんだけど」

「そうですね! すっごい大きいです。でも、大きくて入らない場合は媚薬使ってくれるみたいだし、けっこう何とかなりますから、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」

エルウィンよ。先輩らしく心配するなとは言うが、心配するなと言うお前は夫と上手くやっているとは言えないだろう……

お前が鬼嫁だと噂を聞くたびに、こちらは肩身の狭い思いをしているというのに。

そう思っているうちに時間は過ぎて行ってしまう。お見合いから結婚まで時間は短かった事もあって、アレクシア様という方がそれほど分かっていない。きっとお優しい方なんだろうとは思うけれど、夫としてどんな方までは分からない。

ショボンとしているとエルウィンの上司で公爵家の一族の出でもあるエミリオ様が話しかけてくれた。

「エイドリアン殿、何かご心配が?」

「その……今まで公爵家の方のような高貴な方々とお付き合いをしたことがないので……妻として夫にどう接すれば良いのか……不安なんです」

「……そんなことですか。簡単です……夫を拒絶しなければ、理想の夫が手に入ります! 頼もしくて、妻を愛し、変態ではなく、スマートで、良い父親になります。決して夫を拒絶しないように! 別にマグロだろうが構わないんです!」

「えっと……拒絶と言うのは夜の生活のことでしょうか?」

夫を拒絶し続けている弟を思い、そう訪ねた。

「そうです……夫の性欲を拒否し続ければ、変態しか出来上がりません」

「それだけで良いんですか? 何か、妻として奉仕とか」

「すれば天国にでも登るかのように喜ぶでしょうが、そこまで喜ばしてやる必要もないでしょう。ただ、夫に甘えて愛されていると思わせてやれば良いだけです。意外とチョロい男達ばかりなのですが、妻が皆夫を愛していない事を公然と言い放つので、変態ができるだけです」

同じ一族のエミリオ様の助言で分かったような分からないような……

特に、ベッドでは拒否しない。夫に甘える……愛している振りをする?


「あ、あのアレクシア様……」

そして時間は過ぎ二人だけの初夜の時間がやってきた。

アレクシア様が今日から二人の寝室になるこの部屋に入ってきた。

「どうしましたか? 私の可愛い奥様」

「……そ、その……私……どうしたら良いか分からなくて……上手くできるか自信がないんですが……優しく、して……下さいますか?」

そう、甘えるように恐る恐る言い出すと、何故か鼻血を噴出した。

「ア、アレクシア様?」

「す、すいませんっ……わ、わが一族でこんな奥ゆかしいことを初夜に聞いた夫は私が初めてかも知れませんっ……大抵、嫌がる花嫁を強姦したり、媚薬でおかしくさせて事に及んでいたらしいので……こんな可愛い奥さんを貰った私はっ……一族の物から殺されるかもしれませんっ」

そんな大袈裟なと思わないでもなかったが、公爵家の方々はあまり両思いで結婚する事がないらしい。こんな私でも大人しい花嫁と言うのは需要があるのかもしれない。決して大人しい性格という訳ではないが、アレクシア様の魔力と身分を前にすると、どうしても大人しくなってしまう。

「勿論優しくしよう……エイドリアン、愛している」

「アレクシア様……」

感覚が少し同じ階級とは違うかもしれないけれど、アレクシア様は優しい。一時は結婚を危ぶんだけれど良い夫婦になってくれるかもしれない。

「ぶはっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

アレクシア様が私の両足を広げていざ事に及ぼうとしたとき、また鼻血を先ほどの比ではないほど噴出して倒れてしまった。

「ア、アレクシア様っ?」

「こ、これが隊長が言っていた、神の神秘っ!? 失われた大陸の秘宝なのか?! こんな素晴らしい物が存在するなんてっ……はあはあっ。私は何て幸せ者なのだろうか!……これは我が家の家宝にしなければっ! いや、家宝にしたら一族に披露しなければいけないので、やはり私だけの秘密の花園にっ」

い、意味の分からない事を言いながらアレクシア様は鼻血を噴出し続けていた。何を言っているか分からなかったけれど、きっと私では分からないような高尚なことをおっしゃっているのだろう。

魔法で瞬時に飛び散った血をアクレシア様は消し去ると、再び私に圧し掛かってきた。

「あ、あの……私だけでは恥ずかしいです。アレクシア様のも……見せてください」

「い、いや……しかし、花嫁に、このようなものは見せるべきではないと」

私だって恥ずかしかった。何故か私は、そこに何も生えてこない。何時になったら生えてくるのだろうかと悩みながら、結局ないままだった。誰にも相談できず、弟達にもそうなのか確認するのができず、家系的なものかも分からない。アレクシア様は何も言わなかったが、他の人がどうなっているか、そして自分の夫の物を確かめたいと思うのはおかしいだろうか。

特に、公爵家の方々はかなりの物だという、噂を聞いてしまったのだ。

「夫になる方のです……見たいと思う私は……恥じらいがない花嫁なのでしょうか?」

「いいや……しかし……このようなグロテスクなものを妻の目に入れるわけには」

「一生見ないなんてありえないでしょう? お願いします」

するとアレクシア様は、私に嫌わないで欲しいと言いながら、裸になってくれた。
そそり立つそれは凶器のような大きさで、流石は支配階級、この国一の名門の出だと認識できる物だった。

「アレクシア様……」

「エ、エイドリアンっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

エミリオ様がもしできるのなら、こうして一発出してやると楽かもと言われたのでやってみる。嫌じゃなければの話で、無理にする事はないと言われたが。

「貴方がそんな事をしなくてもっ!」

「駄目、ですか?」

嫌じゃなければ、そうしておくときっと楽だと言われたけれど、別に嫌ではないからやってみる。

「駄目……では、ない、で、あっ」


******

「た、隊長っ! 素晴らしい婿入り先を用意してくれてありがとうございましたっ」

「ふむ……一族の長として当然のことだ……しかしエルウィンの兄であるから、きっと私と同じように禁欲を強いらているのだろう?」期待の眼差し´・ω・)(・ω・`

「いいえ、とんでもありませんっ……初夜で私を天国に連れて行くあの技術っ! 従順でありながら、魅惑的な小悪魔のように私を魅了して止みませんっ! 何度初夜にイカせられたかっ! 一族であれほど素晴らしい花嫁を持つのはきっと私一人でしょう!!!」

「わ、わが一族で、そんな幸せ者はいてはならないのにっ(,,#゚Д゚):∴;'・,;`:………(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)」

一族の希望の星になるはずだったアレクシアは、一族の嫉妬の星になった。

「どうして兄弟でこれほど態度が違うのだ………兄の100分の1でもエルウィンが私に構ってくれたら!(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)」


END



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