僕はロベルト7歳、小学校に入学したばかりです。

僕の両親は……少し変わっています。

まず母上がとても強いことです。母上が全ての権力を握り、親戚を掌握し、父を服従させています。

父はこれでも婿養子じゃないそうです……


最近僕は夜の父上の声が気になって眠れません。

「あっ! メ、メリアージュ様っ! そ、そこは駄目ですっ!」

父上の喘ぐ声が不気味に響き、僕の安眠の邪魔をします。

防音の魔法くらいかけておけばいいのにと思うのは、余計なお世話でしょうか?

僕も早く、防音魔法を覚えて静かに眠りたいと思います。


翌朝の朝ご飯、父上がなにやら胸の辺りを気にしてご飯を食べていません。

「どうした、ロアルド? 食欲が無いのか」

「……乳首が腫れて……シャツに擦れて痛いんです! (´;ω;`) 」

そうか、昨日の父の喘ぎ声は、母上が父上の乳首を弄くるせいだったのか……

「メリアージュ様が私の乳首を開発しようとするから、乳首が腫れて、気になって仕事に集中できませんっ」

その後、母は男性用(しかも夫用)ブラを開発し、伯爵家の商会で専売品として売り出し、莫大な収益を上げるようになったらしい。
世の中には男性用ブラは需要がある。しかしそれは妻用ブラだ。妊娠中、敏感になった乳首を優しくケアしてあげるブラや、授乳用ブラなど。勿論これもうちの商会で売っているらしいが、夫用ブラは世界初の開発だったらしい。おかげで我が家の財政は、かつて無いほど利益を上げたらしい。母上が嫁いできてから、かつての規模の二倍以上になったらしく、親戚からは良い嫁を貰ったなと父は褒められていたが……

勿論、ブラの初の使用者は父だ。母上は優しく、乳首がシャツに擦れて気になるのだったらこれを着けろと、開発したばかりのブラを父に強制した。
おかげで、母は何も気にすることなく父の乳首開発に慢心することができたらしい。


僕は最近、防音魔法を覚えて夜快適に眠れるようになりました。父の喘ぎ声が聞こえてこないのは、とても良いと思います。

「おはようございます! お迎えに上がりましたが、お父さんはどこにいますか?」

「え?……母上、父上ってもうお仕事に行きましたよね?」

なんだか今日は物凄く憂鬱そうにご飯をもそもそと食べて、部下の迎えを待たずにとっくの昔に仕事に行ったはずだけどな?

「ああ、もう1時間は前に出かけて行ったぞ。出勤していないのか?」

「おかしいですね……いま、確認しましたが職場にはいないそうです。しかし、職場に退職届と共に、探さないで下さいというメモが置いてあるそうです……」

いきなり、退職? どうしたんでしょうか、父上は……大抵、父上が怒る、ことはないんですが、落ち込んだりするのは原因は母上です。

「母上、父上に何かしましたか?」

「何もしていない! くそ! 何処に消えたんだ! 俺から逃げられるとでも思っているのかロアルドのやつ!!!!!」

「メ、メリアージュ様、落ち着きましょう! たぶん、昨夜何かあったんじゃないですか? 何時もと違う事何かしませんでしたか?」

「昨日か……昨日は、何時もとは違った事は……ロアルドにたくさん奉仕をしてやった。そう、前立腺を」

「あああああああああ、駄目です! お子さんには聞かせてはいけません!!!! って、それですよ!! 駄目ですよ、メリアージュ様! ロアルド様にも夫としてのプライドというものがあります! いくら、メリアージュ様が全ての主導権を握っているといっても、そこは指は踏み込んではいけない領域と言う奴ですよ!」

よくは分からないけど、母上が父上のプライドをへし折ってしまったため、父上が涙の失踪をしたらしい。

「ロベルト、母は父上を追うから、長い旅になるかもしれん。お前には学校を休ませる事になるが、父を探す旅に出るぞ」

母は父のストーカーをしていた。それはもう、毎日父の行動を監視し、少しでも綺麗な男性が近くにいるだけでも嫉妬し、父にお仕置きをしていたのだ。しかし僕が生まれてからは僕の世話もあり、少しは父の監視を緩めたそうだが、今回その緩みが仇になったそうだ。

こうして、僕と母上の父上を探す旅が始まった。


*****

私はロアルド、もうすぐ伯爵になる身で、妻子がいる。

賢い息子に、凛々しくハンサムな妻。世間の男達が……誰も羨まない生活だ。

親戚には、良い奥さんを貰ったねと褒められるが、実際にメリアージュ様が家政や領地の経営、商会を一手に引き受けるようになると富が二倍以上に膨れ上がった。確かに良い奥様だ。私などにはもったいないほどに。

だが誰も、代わりになりたいとは言い出さない。メリアージュ様のような奥様を貰いたいとは口が避けても言わない。私がメリアージュ様に支配されている事を皆知っているからだ。

それでも、私は幸せだった。メリアージュ様はこんな私でもそれはもう、愛してくださっていて大事にしてくれていた。愛が重すぎて、毎日ストーカーをされていた時期もあったが、ロベルトが生まれて、妻と言う実感がわいたのか、少し監視の目が緩んできた。

しかしその弊害だろうか。夜のベッドでの拘束が寄り激しくなっていった。初めのころはただ、私が気持ちがいいように奉仕をしてくれていた。
それが最近、何故か私の乳首を開発する事にこだわりはじめ、私が泣いて嫌がっても乳首を弄くるのをやめてくれなかった。普通は乳首を吸うのは夫の役目だと言うのに、私は奥様に乳首を吸われすぎて……そして昨夜は乳首がそんなに嫌なら、前立腺マッサージだ!と言い出して、私の前立腺を弄び(´;ω;`) 

もはや、限界だった!
乳首はなんとか我慢できても、前立腺は我慢できないのだ!

そして翌朝、何も考えず職場に退職届を出し、出国をした……

貴族は外国へ行くことが禁じられている……許可無く出たら本来は厳罰なのだが……何故か、国境警備の仲間たちは見てみぬ振りをしてくれた。

―――どうされたんですか? 乳首じゃなかったら尿道開発ですか?

―――ぜん、り、つ

―――早く行ってください!(´;ω;`) 

こんなやり取りはあったが……私は自由の身になった。
息子まで置いてきてしまったが……すまない、不甲斐ない父親で。
息子が私とメリアージュ様のやり取りを見て、なんとなくトラウマを感じている事は知っている。だが、私は逆らう術がないんだ……お前は可愛い妻を娶れ。


しかし私が家出してメリアージュ様は、私をきっと探しているだろう。
落ち着いて考えてみると、たかが家出の原因は前立腺マッサージか……と、落ち込まないでもない。
メリアージュ様は私を気持ちよくさせようと……考えただけかもしれない。それが物凄く余計なお世話というか、私の心を傷つけるということを分かっていないだけなんだ。

あの方は、公爵家の方なのだ。妻にはなったが、あの家の血がもろに出ている方だ。基本相手を支配したくて仕方がないのだろう。全部を手に入れたくて、仕方がない血なのだ。

そう思うと私が我慢しないといけないのは分かっている。分かっているが、どうしても前立腺だけは死守したいのだ(´;ω;`) 

何時までも大人気なく家出をしているわけにはいかない事も分かっている。

私は伯爵家の実質的な当主であり、夫であり、父親なのだから。こんなふうに外国で可愛い男性に見惚れている場合ではない。

独占欲は強いが、それも愛だと思うと、やはり私はメリアージュ様を愛している……しかし前立腺だけは……

「父上!」

「わっ! ロ、ロベルト! ど、どうしてここに!」

「母上と一緒に父上を探す旅をして来たんだよ!……一緒に帰ろう?」

「し、しかし……私と母上の間には、解決しなければいけない問題が……」

「母上、父上を見て怒っていたよ。綺麗な男の人を見ていたって」

ひいいいいいいいい_ト ̄|○

家出した挙句、そんな場面を見られたら、私の運命は……

「は、母上はどこに?」

何時もならすぐに殴り飛ばされると言うのに……

「母上ね、皆に怒られて反省したんだって」

旅の間中、どうやら私の魔力を追って(逃げたのが妻ならとても追跡しやすいのだが、何故なら自分の魔力が相手についているから。逃げたのが夫の場合だと中々魔力の追跡が難しいのだ)旅をしてた時、何故夫が逃亡したのか行く先々で話したら、それは奥さんとして旦那にしては駄目だよ、と色んな人から言われたらしい。

「もう前立腺マッサージはしないし、乳首も舐めるだけにするから、帰って来いって」

「メリアージュ様……」

あれほど攻め気な方が反省したのか?

あの方ほどの気性で絶対に反省しないし、私に悪いなんて思ってくれないと思ったいたのだが……それだけ私を愛していてくれているからなのだろうか。

「母上はどこにいるんだ?」

「あっち」

メリアージュ様はすぐ近くにいた。相変わらず凛々しくて素敵な方だ。ここにいる誰よりも。皆が振り返ってみていく。

そんな方が私を見ると、どこかホッとしたような顔をして、戻ってきてくれたのかというような表情をしていた。

「メリアージュ様……」

「………悪かった」

「帰りましょうか」

私は退職届も出したので、どのみちそろそろ父が正式に引退して伯爵にならなければいけなかった。ほんの少し退職が早くなっただけなので、帰りの道は転移で簡単に帰るのではなくて、家族で楽しく旅をしながら帰ろうということになった。

メリアージュ様は本当に反省したのか、エッチの際には乳首は優しく舐めるだけになったのだが……これを機会に、私がメリアージュ様に対して主導権を握れるように交渉すべきだったのじゃないかと少し後悔をした。

しかし、変な攻め方をすることはなくなったが、代わりに絶倫とでも言うように私から絞りまくって……旅から帰ってきたらリフレッシュするどころか……げっそりとやつれて果てていた。(ヽ´ω`)

メリアージュ様、攻め気と絶倫が今までバランスを取っていたんですね。攻め気を奪うと絶倫に走るんですか……(ヽ´ω`)


「お父様、僕はお嫁さんには僕の乳首を攻めて欲しくないです」

「ロベルトよ……安心しなさい。普通のお嫁さんは夫の乳首を攻めたりしないものだ……普通は夫が妻の乳首を可愛がるものであって、妻が夫の乳首を執着したりはしない」

その割には夫用ブラがかなり売れたが……

メリアージュ様はしばらくは大人しくしていてくれたが、のどもと過ぎればなんとやら……で、また私の乳首に執着するようになった。
乳首では家出しなかったから、乳首まではいいと勝手に判断したようだ(´;ω;`) 

夫用ブラ……それは恐妻家が身につける究極の下着


END




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