僕の母は病弱で、物心ついた頃からずっとベッドにふせていた。
治療が出来ない不治の病だったらしい。
父は母にずっと付きっ切りで、母が死んだときに父も一緒に死んだ。

同じ場所同じ時に死ぬ魔法は、高位魔力の持ち主ではないとかけられない。
そして大抵は子ども達が成人した後に、かける。そうではないと不慮の事故でどちらかが死んでしまった場合、幼い子ども達を残して両親がいなくなってしまうからだ。

ある程度子ども達が自立し、誰にも迷惑がかけないようになった段階で魔法をかける。

若い頃に伴侶をなくした場合は、残ったどちらかが子ども達を育て、爵位を継承させ、何の憂いもなくなった時にあとを追うことが多い。

しかし父は母を失うことに耐え切れず、一緒に死んでしまった。

残された僕は叔父に育てられる事になった。父の弟に当たる方で、僕が一人になった7歳時にまだ20歳になったばかりだった。7歳の子どもがいるにしては若すぎる父親になった。

叔父は善良な方で、こんな小さな僕を押しのけて伯爵になりそのまま領地を乗っ取っても仕方がないと思うのに、僕は大人になったら全てを渡すと言ってくれた。そして養子にもしてくれ、僕は叔父のことをお父様と呼ぶようになった。

「リリア、ルーカスがお母さんになったら嫌かな?」

「え?」

ルーカスは僕の友達で、同じ7歳だ。ルーカスがどうやって僕のお母さんになるんだろうか?

「ルーカスが僕のお母さま?」

「そう、駄目かな?」

「ルーカスのことは大好きだよ」

僕はこのときは意味が分からずに、そんな返事をしたが、数年後この意味が分かった。

僕は14歳になっていて、そろそろ恋愛のことを意識し始めていた。僕の初恋の人はルーカスで、今もルーカスのことが好きだった。
良い友人だし、将来結婚できたら良いなと思うほのかな恋心だったと思う。それは結婚は難しいかもしれない。お互い跡取りだし、魔力も同じくらい。たぶん結婚は無理かもしれないけれど、好きでいるくらいは良いだろう、そんな気持ちだったと思う。

そんなルーカスが最近何か悩んでいるようで、でも僕には何も話してはくれなかった。

学校が終わって家庭教師の先生が帰ると、城の中でルーカスの魔力の痕跡があって遊びに来てくれたんだと思い、ルーカスを探した先はお父様の部屋だった。

何をしているのかと疑問に思い、透視と盗聴の魔法を使ってルーカスとお父様の話を聞くことにした。


「何を悩んでいるんだい? ルーカス。私に話してごらん?」

「あの……俺……」

「精通が来ない? 随分可愛い悩みだね」

「俺はっ、真剣に悩んでいるんですっ」

ルーカスにまだ精通が来ない!
何でそんな重要な悩みを僕じゃなくってお父様に言うんだ! 
親友だったはずじゃないのか?

「なら私が手伝ってあげよう」

「あっ、駄目ですっ」

「可愛いよ、ルーカス。私がルーカスを男の子にしてあげたんだよ……」

「俺、もうっ……結婚できません」

お父様に可愛い下腹部を弄られて精通を迎えたルーカスは泣きながら、結婚できない体にされたとお父様に泣きついていた。
そんなルーカスにお父様はキスをすると、私の花嫁になりなさい、約束だよ。と結婚をすることになっていた。

ルーカスが僕のお母さまになるのか……

僕の好きだったルーカスが……

いずれ父にあの体を暴かれ、処女を散らされる!

そんなこと! 愛するルーカスが僕じゃない男に犯されてしまうなんて!

僕はその夜、初めて精通を迎えた。


僕は自分が変態だったんだと思い知った。初めての精通が、初恋のルーカスが父に犯されるシーンを想像していってしまうなんて……

普通だったら自分が相手を抱く姿か、または抱かれる姿を想像するだろう。でも僕は常にルーカスが父に抱かれる姿しか妄想できない。
嫌がって無理矢理抱かれる姿とか、逆に無理矢理父に迫って抱いてもらうルーカスなど、その妄想は多岐にわたった。

『伯爵様、俺ずっと伯爵のことが好きだったんです。抱いてください』
『駄目だよっルーカス。私は君のことを大事にしたいんだ……まだ君は14歳だろう。危険だ』
『俺、伯爵に抱いてもらえるんだったら、死んでも良いんです』
そういって、無理矢理父に迫って、父の肉棒をしゃぶり、そして乗っかり……
恐ろしい14歳だ。

またある日の妄想は……

『駄目です! 伯爵! 俺が好きなのはリリアなんです!』
『息子のことが好きだって? 許さない! 君は私の花嫁になるんだ』
『リリアに見せてやろうか? 君が父親に抱かれているのを知ったらリリアはショックだろうな?』
『止めて下さいっ…俺、言う事を聞きますから』
ルーカスの可憐な蕾に、男を知らない純潔の場所にお父様の肉棒が突き刺さり……

『ルーカス、どうして最近僕を避けるんだ?』
『言えない……』
『親友じゃなかったのか!』
『だって言えないよ! 俺、リリアのお父様にっ……しょ、処女を奪われてっ……た、たくさん抱かれて……中出しもたくさんされちゃったんだっ! こんな俺、もうっ』
『嘘だっ! お父様はそんなことしない!』
『だったら、今夜伯爵の寝室をのぞいて見ろよ』

お父様の寝室で、無理矢理お父様に抱かれ、泣きながらお父様の肉棒をくわえ込まされるルーカスを見てしまった。

『本当だっただろ?』
翌日学校でルーカスが自嘲的に笑って、でも僕に助けを求めてきた。

『僕は無理矢理だとは思わない。だってルーカス物凄い感じていたじゃないか! あんあん言っていて、お父様にもっと動いてとか、中に出してとか言ってっ! 大きいのが大好きってとも言ってたよな!』
『好きでっ、そんな体にされたんじゃない!』

僕はルーカスが無理強いされているのを認めなかった。だって認めたら、ルーカスの媚態が見れなくなるからだ!

と言うような妄想を毎夜、してしまい、僕は常にルーカスを寝取られる立場だった。
毎回淫乱なルーカスを罵ったり、お父様に抱かれるルーカスで夢精し。

どうして僕はルーカスを抱く妄想ではなく、ルーカスを寝取られる妄想ばかりしてしまうのだろうか。

悩んで色んな文献を漁ったがどこにも回答は無かった。学園の禁書コーナーに無断で侵入し調べた所、やっと分かった。

僕は『寝取らせ』という体質だったのだと。
寝取らせとは、愛するものが他の誰かに抱かれる姿を見て興奮すると言う体質なのだ。
他国では妻を他の男に抱かれるのを見るのを喜ぶ王侯貴族がいたり、妻を身分の低い男たちに輪姦させたりする事もあると言う。
それを見て興奮したり喜んだりするただの変態だ。

そして僕はただの変態なのだ。

この国ではただ一人の人を愛して、一生その人だけを守る。他人に妻を抱かせたりしない。なのに、僕はルーカスが僕以外に犯されるいる姿でしか興奮できない。
こんな性質、この国では受け入れられない。誰にも話せない。

だから僕はルーカスの顔を見ることが出来なくなった。ルーカスも何故か僕から距離をおくようになり、親友だったのに何時の間にかライバルとなってしまった。


そしてそのまま仲たがいをしたまま、何故か全然興味のなかったマーリーンを取り合って決闘まですることになってしまった。
ルーカスがマーリーンってちょっと良いなと言い出したところから、決闘にまで発展してしまい正直どうしたものか悩んでいた。
僕はマーリーンと結婚したいわけじゃないし、ルーカスにもマーリーンと結婚してほしいわけではない。
ルーカスが結婚するとしたら、お父様としかないだろう!
ルーカスは抱かれるのが似合うのであってマーリーンを抱く姿なんか想像したくもない!


「お父様! 一体何時まで、ルーカスを放っておくんですか! ルーカスを花嫁にするんじゃなかったんですか?」

「どうしたんだ? リリア一体」

「ルーカスがマーリーンなんかと結婚しても良いんですか? いいえ、良いはず無いですよね?! 今からルーカスを襲ってきてください!」

「どうして事情を知っている? いや、そうだな。そんな事はどうでも良いか……分かった、今までルーカスは私から逃げていたが今から捕まえてこよう」

そうだ!
僕はルーカスの部屋を昔と同じように盗撮&盗聴をして、お父様がルーカスを襲うシーンをニマニマしながら見ていた。
やっと本物を見れる!
お父様に襲われるルーカスは可愛い!

「へえ、リリアはそんな趣味があったのか?」

「え?……誰だ!?」

結界を張っておいたが、気がつかれない様に進入してきた侵入者を見た。どこかで見た顔だが、どこで見ただろうか?

「ルーカスの弟のルバートだ……今夜、貴方を襲いに来た」

「ルーカスの奴! 僕を決闘に行かせないように、そんな卑怯なことを?!」

自分は父に襲いに行かせたが、決して決闘に勝ちたいからというわけじゃない!
純粋に、父に抱かれる姿が見たかっただけなのだ。それなのにルーカスは卑怯な真似までして勝ちたかったなんて。

「違う! 兄貴はそうかもしれないが、俺がずっとリリア貴方のことを!」

そういえばルーカスの弟は何時もルーカスにくっ付いて遊びに来ていた割には、自分から話しかけもせずに小さくなって僕を見ていただけな気がする。
可愛い可憐な顔をしていたが、成長しても可愛い顔のままだな。ルーカスの母方の実家は辺境伯家と聞いていたが、隔世遺伝でルバートに遺伝したんだろう。

「残念だが、僕が好きなのはルーカスなんだ。君じゃない」

「分かっているさ! ずっとリリアが兄貴を見ていたことくらい! だけど、自分から兄貴を手に入れようとは思わないんだろう!? そうじゃなければ父親に襲わせたりしないはずだ!……魔力が同等で、結婚しても子どもに恵まれないから諦めたんだろ? だからせめて父親と結婚させて親戚になりたいんだと思ったんだろ? だったら俺と結婚すれば、兄貴と兄弟になれる!」

そんな理由でルーカスと結婚しないわけじゃないんだが。僕はルーカスを愛しているけど、ルーカスを抱きたいわけじゃない。抱かれているのを見たいだけなんだ!

けど、ルーカスが義母で義兄弟になれば……近くで見る機会があるし、父から色んな話を聞けるかもしれない。

僕が黙っているのを見て断わられると思ったのだろう。

「兄弟になれる、なんて言葉でプロポーズを受けてもらえるなんて思っちゃいない……今夜は無理矢理でも手に入れるつもりで来たんだ! リリア、貴方を犯す! 兄貴から奪ってみせる!」

「なっ!……僕をルーカスから奪う?……」

それは僕をルーカスから寝取ると言う事なのか。僕がルーカスから寝取られる……僕は奪われてしまうのか……

気がついたら僕はろくに抵抗もせずにルバートを受け入れていた。

「ほら、兄貴もあんなふうにリリアの父親に抱かれている。ルバートも同じように抱こうか?」

「うん……同じように奪って」

僕はルバートに強引に奪われて、強引に純潔を散らされ……犯されて。寝取られて……

僕って、『寝取らせ』癖だけじゃなくって自分も『寝取られ』るのが好きだったんだ。
あとでまた文献を漁ったら、僕の性癖はMというものらしい。

ルーカスに散々淫乱だとか言われたけど、僕はMなだけだ!
ルーカスが好きな僕が、その弟に純潔を無理矢理奪われるというシチュエーションに萌えただけなんだ!


「僕はルーカスが好きなんだから、ルバートを愛さないよ」

というと、嫉妬に燃えてくる年下夫に乱暴に抱かれるのが好きなだけなんだ!


END
その後、リリアの嗜好を色々聞きだした夫は……

「リリアって他国で男同士の結婚が少ない地域によくいる腐男子っていうのによく似ているような……?」

リリアの正確な性癖に悩む年下夫がいたらしい。





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