俺は一瞬眩暈がしたが、それもほんの数秒のこと。
玲人に圧し掛かっているやつをハイキックで昏倒させ、口を犯していたやつは腹を蹴り上げて股間を使い物にならなくなるほどにしてやった。
「玲人!」
とりあえず着ていたシャツを玲人にかけ、震えている玲人を抱きしめてやる。
「恭ちゃん来てくれたんだ……」
俺が助けに来た喜びなのか。それとも、陵辱されていた痛みで泣いているのか分からないけど、ああ、と言ってさらに抱き寄せた。
「汚れちゃうよ……」
「そんなこと気にしているときか!……悪い、もっと早く来ていてやれれば」
「ううん!来てくれたもん。恭ちゃんが、助けてくれたから……平気…それに最後まではされなかったからっ!恭ちゃんが来てくれたから」
ギュッと抱きついてきた玲人に、昔のように頭を撫でてやった。こんな酷い目にあって、平気じゃないだろうに。例え最後まではされていなくてもだ。
あのメールにもっと早く気がついていたら。あの写真も俺と玲人のではなくて、こいつらにされている物だったのだろう。
玲人の有様は酷いものだった。顔はあいつらの精液か何かがかかっているし、服にも同様だ。
そこまで思考がいくと、不可思議なことに気がついた。何故、やつらはわざわざ俺に玲人を強姦しようとしている写メールを送ってくる必要がある?
現在進行形でしている今に、俺がこうやって助けに来る可能性はどんな馬鹿だって考えられる。そして普通に考えれば自由の利かない玲人が送れるはずもない。
では誰が送った?
答えは、簡単だ。玲人が送らせた、または送ったのだ。これは無理やりの行為じゃない。合意のうえで、始められた行為だったんだ。でなければこんな不自然なことが起こるはずはない。
「玲人……どういうつもりだ?」
「え?」
「どういうつもりで、こんなことをした!こいつらがお前をレイプしようとしたわけじゃないだろ!何でこいつらが生徒会フロアのお前の部屋にいる?この階には厳重な警備を敷いている。お前が自分から招き入れない限り、入れないはずだろ?あのメールは?」
「あ、あ……怒らないで恭ちゃん」
「こいつら起こして聞いてみるか?どういうふうに誘われたってな?」
「だって、だって恭ちゃんが……俺の気持ちになって考えてみろって言ったから」
言ったがそれがどう繋がるんだ?俺がこいつら2人に辱めを受けて、人の気持ちになって考えもしないお前らなんかは要らないとは言ったが。
「だから、だから同じ目にあってみれば、恭ちゃんが許してくれるんじゃないかって、俺、思って……すごく、すごく嫌だったけど」
マジかよ。
マジなんだな。
この馬鹿頭で必死になって俺に許してもらおうと考えた結果がこれか。
もっと俺を欝にさせる方法を考え付くなんか、一体こいつの思考回路はどうなっているんだと、脳みそを混ぜ合わせたい。
そんなことをされて嬉しい訳ないだろ。同じ目にあったから許してくださいって、いい加減にしろ。こんな汚い男たちに俺と同じ事をされて、俺が喜ぶとでも思っているのか?
俺が子どもの頃からどんなに大切にしてやってきたか分かっているのかこいつは。俺が助けに来ずにメールを無視していたら、どんな目にあっていたか分かっているのか?
怒ってやりたい。アホかってぶっ叩いてやりたい。そんなことされて俺が嬉しい訳ないとはいてやりたい。でも、こいつはこいつで自分からこんな目にあっておいて、打ちのめされている。
「恭ちゃん以外とは、ほんとはしたくなかったの……でも、でも」
そう言って泣くから。ここで突き放すのは、流石にできない。こいつなりの反省を、馬鹿の一言で終わらせて、放置すれば、次はどんな目にまた自らあいに行くか分かりはしない。
「もう良いから……許してやるから、泣くな。な、今日は一緒に寝てやるから」
俺に怒られたりショックなことがあった後は、一緒に寝てやると喜ぶのを知っていたからそう言ってやった。
「本当?」
「ああ、本当だから。もう、元通りだ。そうだ、風呂に入ろうか」
こいつらで汚れた身体を洗ってやろうかと考え、そう提案すると、玲人は懇願するかのような目で俺を見上げてきた。
「じゃあ、俺のこと抱いてくれる?」
「え?」