きっとあいつらのめでたい頭の中では、俺はあんなことされても簡単に許して、仲良く3人で3Pでも楽しむような毎日しか想像していなかったんだろう。

軽蔑されるとは思ってもいなかったのだろう。アホなんだろうか?

まあ分からないでもない。これまで俺は何かあの2人が仕出かしても、しょうがないなって感じで許してきたからな。今回も同じように俺が受け入れてくれるとでも思っていたのだろう。

馬鹿馬鹿しいとしか言いようがないが、あんなことされても簡単に許すような男だと思われていたらしい。

舜一は喧嘩早いし、揉め事をすぐに起こす。今は風紀委員長を務めているが、あんな性格のあいつがちゃんと務めてられているのが、子どもの頃から見ている俺は不思議で仕方がなかった。

玲人は甘えん坊で、困ってことがあるとすぐに泣きついて、泣けば俺が解決してもらえると思っている節がある。

この2人の面倒を見てきたのは俺だから。2人は俺への依存度も高いし、なんとかなると思うのも、俺の責任といえば責任だったのかもしれない。

我侭も仕方がないなって目で見てきたから、今回もそれで許してもらえると思い込んでいたのがありありと分かって、だけど今度ばかりは俺の逆鱗に触れた。


せめてもう少し俺への尊厳を感じられる抱き方だったら、これほどまでに怒らなかったかもしれないが、まるでショーを見るかのように喜ぶ彼らに、もう見限るしかないとまで思せられた。


玲人は顔を見せるなと言ったものの、同じ生徒会役員であるし、どうしても毎日といっていいほど顔を合わせる。

申しわけなさそうな顔で、涙ぐんで、ごめんなさいと、毎日言ってくるが、俺は『何が?』と言って、取り合わない。

そう赤の他人を見るかのように、かつ笑顔で答えてやれば、絶望したような顔でさめざめと泣いている玲人。

生徒会のメンバーからは早く仲直りしてやれ、とか俺が悪いかのように言ってくるが、あいつは泣いているだけで加害者なのだ。

仲直りするつもりは毛頭ないと、宣言し、風紀との仕事も全部副会長に押し付けた。
舜一は何も言ってこないけど、あいつは謝ることを知らない男だからな。玲人は謝って甘えて、舜一はこっちが折れてくるのを待つ男だった。

だが俺は折れない。何で俺を犯した男に俺が折れてやらないといけないんだ。

俺はあの2人が地獄に落ちても許さないと心に決めている。

今思えばあの2人に邪魔をされて、彼女もできなかったのであてつけに恋人でも作ろうかと思うくらいだ。

でもこの学園では無理だな。無理やりとはいえ男とセックスしたが、俺にはまったくそっちの方向に素地がないことははっきりした。男に入れられても感じないし、入れたくもなかった。

あれは男同士でやることではないと真剣に思っている。


「恭ちゃん……どうしたら許してくれる?」

またかよ。だから許さないって言っただろ。こう泣いて許してって言われて許さないと、こっちが悪者みたいだから嫌なんだよ。

「だから、もうお前は友達でもなんでもないし、許さないから。本当は顔も見たくないし、会話もしたくないんだ、俺。早く任期終わらないかそればっか思ってるんだけど」

会長とか会計だから毎日顔合わすし。教室では授業サボれば顔合わせないし、人数も多いからまあいいが、生徒会室では狭いからな。あと任期4ヶ月か。長い。

「本当に後悔しているんだ、恭ちゃん!ごめんなさい、ごめんなさい」

俺はそんなふうに泣いて、土下座するように膝を突いて身体を震わせている玲人を無視した。

それ以上何も答えてやることもなく、いないものかのように扱った。



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