俺にとっての最悪の時間が過ぎた。
「綺麗に撮れているかな?」
玲人が再生して、舜一と見て楽しんでいる。俺は薬のせいで、頭が痛くて身体が痛くて、ベッドに転がっていた。
一体この2人は頭がおかしいのか?こんな目に合わせた俺の目の前で、ビデオを見て喜んでいるのは。
俺は床に落ちた服を拾うと、浴室に一人で向かって、シャワーで汚れを落とした。
あ、ボタンが取れていると思いながらも、衣服を着込むと、先ほどまで淫らなことをしていたとは思えない、いつも自分が戻ってきた。
玲人の部屋から出て自分の部屋に戻ろうとしていたとき、あの2人がやっと俺がいないことでも気がついたのだろうか。追ってきた。
「どうして行っちゃうの!?俺、まだ恭ちゃんと一緒にいたいのに」
「お前たちの全てが気持ち悪くて、一緒にいたくない」
俺の静かな、それでいて冷淡なまでの怒りを感じ取ったのだろう。初めて彼らは、いけないことをしたのか?という焦りを表情に出していた。
「顔も見たくない。二度と話しかけるな。もうお前たちと友人だった過去もなくなったと思え」
怒鳴ることもせず、ただ淡々と要求をつきつけた。それが逆に俺の怒りの深さを感じさせるんだろう。
「……ビデオがある。二度とないだなんて、あれがあれば」
「何?今度はあれで脅すって?好きにしろよ。どうだって良い。真実は俺が知っているから、赤の他人になんて思われようが、俺は気にしない。ネットに流すなり、写真ばら撒くなり好きにすればいいだろ」
こういう時に脅しに屈するほうが馬鹿なんだ。一度脅しに負ければ、あとは転落しかない。なら、別に良い。どうせ、誰かに知られたって一時のことだ。
「ごめんっ。そんなに怒るなんて思ってなくて!ビデオは俺が処分するから、そんなに怒んないで」
「これだけ人を辱めるようなことを散々しておいて、そんなに怒る?俺はお前らの頭の中がどうなっているか、不思議で仕方ねえよ。最悪、自殺でもしたい気分だ」
「お前が……俺たちを選んでくれないから」
「そんな言い分通用しない。自分の良い様にならなければ、他人の尊厳を平気で犯せる、お前たちのその浅ましさに怒っているんだ。はっきりいえば、強姦されたことなんかどうでもいいほどにな」
舜一はビデオを持ってこんな展開になるなんて思ってもいないかのように呆然とし、玲人はごめんなさいと泣いていたが、簡単に許せるほどのことではなかったので、俺は冷淡なまなざしを軽蔑に変えて、去っていった。
*新連載です。初めて?3Pものです。ちょっと変則的なので、嫌いな人がいるかも〜とビクビクしていますが、気にいってくれるとうれしいです。