1人で色々考えたが、1人ではあまり考えも思い浮かばなかったため、事情を知っている副会長と副委員長を呼び出した。
俺ほどではないが、2人とも、あいつら2人をよく知っている人間だ。
「なんとなく事情はつかめたけど」
「要するに、2人とも……お互いにけん制しあって、知らないところで一人占めされたら嫌だってわけですね」
「つきつめれば、一番初めみたいに3人でセックスしたいって言うことじゃないのか?」
「そういうことですよね」
「好きな人のことは何でも知っておきたいっていう、乙女心のようなものなんだろ?」
容赦なくまとめてくれた。
「そんなアブノーマルなセックスなんかしたくないんだけどな」
ただでさえ男同士のセックスは普通じゃないのに、そんな趣向も持ち合わせていないのに、子どもの頃と同じように仲良く何でも3人で、とは難しいものがある。
「私としての私見なのですが……中途半端が一番いけないかと思います」
「平等に接しているのにか?」
「普通の恋人同士なら、独占できるという特権がありますが、あなた達3人はそうではないでしょう?せいぜい、与えられる時間は普通の恋人の半分程度。しかも相手は自分に恋愛感情を持っていない。半ば義務感と同情で身体を与えて貰っている……これで、不安になるなというほうが難しいでしょう」
「こう聞くと、会長ってそうとう酷い男に聞こえるな」
「突き放すこともできず、中途半端にエサを与えているからでしょう。飼育するなら完全に躾けとエサをあげないといけないということです」
「俺としては、できるだけのことはしてやっているつもりだったんだが」
普通の幼馴染は抱いてやらないし、抱かれてもやらない。俺にだって男としての矜持ってものがある。
あの2人が相手でなかったら、身体を与えてやることなんかしない。他の男がセックスさせてくれないと自殺すると目の前で死のうとしても、俺は勝手に死ねばいいと思うだろう。
「あの2人があれでも大切だから、自分の趣向を変えてまで、あいつらに時間を割いてやっているんだけどな」
「そこまで自分を曲げられるんだったら、3Pも付き合ってあげたらどうです?いまさらモラルが、とかいう問題でもないでしょう。2人も男の恋人を持っている時点でね」
「副会長って、けっこう言うな」
性格の過激さなら、外見的にはどう見ても副委員長だが、この件に関しては副委員長のほうが常識的だ。
副会長のほうが真面目に見えるので、普通にしていたら、こんなインモラルなことを言うようには見えない。
「赤の他人事ですから言えることではありますが。だからこそ、結構客観的に的を得ているとも思いますよ」
「まあ、そうかもな。決めるのは会長だし。舜一くんのためとはいえ、自分でもやりたくないこと、強制できないしな。あとは、舜一くんの機嫌が直るように、祈っとくよ」
「私は、会計のことを何とかして欲しいですけどね」
「はあ……あんまタメにならなかったけど、アドバイスどうも」
2人を良く知っている友人からの、2人の心理解析はタメにならないと言ったけれども、タメにはなった。
俺じゃあ思いつかないような、発想ではあった。部分的には納得させられるものもないわけではなかった。